前米国国連大使:台湾と米国は国交回復すべき

【8月15日 台湾週報】

 台湾を訪問中のジョン・ボルトン前米国駐国連大使は8月14日に、台北市内のホテルで
台湾民主基金会の招きを受け、米国の外交政策と台米関係をテーマに講演した。

 ボルトン氏は講演の中で、「パン・ギムン(潘基文)国連事務総長は新規加盟申請を
拒絶する権利はなく、さらに国連第2758号決議の解釈は誤りであり、決議に中国の領土
の範囲は書かれていない」という点と、「米国は台湾と国交回復するべきであり、中国
からの干渉を止めることは、米国の利益を守ることにつながる」ことの2点を主張した。

 ボルトン氏は「一つの国が加盟するために、もう一つの国が追放されるという国連第
2758号決議の内容は正当性を欠いている。国連憲章の規定と手続きに照らし合わせるこ
となく、単一決議によって決定された」とし、「国連憲章には中華民国が国連創設国で
あることが書かれており、2758号決議で蒋介石政権が議席を不法に占拠しているとされ
たのは、事実からかけ離れている」と指摘した。

 国連第2758号決議が通過した当時について、ボルトン氏は「1971年米国は『二重代表
権』の議題を提案し、中華民国の国連における議席を尊重しようとしたが、表決前に蒋
介石氏が『国連を脱退する』と宣言したため、撤回せざるをえなかった。もしもあの時、
蒋介石氏がこのような誤った決定をしなかったならば、米国の二重代表に関する提案が
順調に通過し、現在の台湾国連参加問題は全く違ったものになっていただろう」との認
識を示した。

 その上でボルトン氏は「国連第3379号決議によると、国連決議は修正や廃止できない
ものではなく、台湾は国連2758号決議の修正を要求することも可能な方法である」と提
議し、さらに「1970年頃、インドネシアは一度国連から脱退したものの、再加盟した前
例があり、国連内においても『二つのコリア(韓国、北朝鮮)』や『二つのイエメン』
という例もあることから、台湾は国際法上の国家の条件を備えており、当然国連に正式
加盟する権利があり、義務を履行する能力もある。台湾は国連のいわゆる『一つの中国』
の原則とは無関係である」と強調した。

 このほかボルトン氏は「米国はパン・ギムン事務総長の国連2758号決議の誤った解釈
に相当失望している。パン氏は先に米国の意見を聞くことなく、中国の意見に首をタテ
に振り、明らかに中国側に立っている。国連2758号決議は『中国の定義』と、『中国の
領土範囲』には触れられていない」と指摘し、台湾がどのような名義で国連に加盟する
かについて、ボルトン氏は「台湾の人々が自己決定すべきもので外部の者に決められる
ものではない」とし、「台湾が現在国民投票の方式で意見を表明しようとするとき、米
国はどのような立場で反対できるのか。米国国務省が台湾の国連加盟国民投票に対して
明確に反対の態度を示したとき、私は非常にびっくりした」との認識を示した。

 ボルトン氏は「米国は台湾とできるだけ早く国交回復すべきだ。米国と台湾が国交回
復してこそ台湾を守り通すことができ、米国のアジア太平洋における地位を強化できる。
中国がタダで台湾を取得できるような誤解を与えかねない、中国を助長するメッセージ
を発してはならない。米国が中国と台湾を二重承認する世界初の例を作ることは可能だ。
中国は米国に対して断交や経済報復ができようか。このような二重承認のやり方が拡散
効果を呼び、その他の国々もこれに続くことができる」と持論を展開した。

 最後にボルトン氏は「現在の台米関係のような米国在台協会と台北経済文化代表弁事
処を通じた方式のままではいけない。米国高官と台湾高官の往来を制限することは、人
権国家がやるべきことなのか。このようなやり方は台湾を助けることにはならず、米国
の利益をも害するものだ」との考えを強調した。


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