今上陛下がビデオを通じてお見舞いと激励のお言葉

昨夕、今上陛下はビデオを通じ、今般の東日本大震災で被災された方々や復興に尽力
されている方々などにお見舞いと激励のお言葉を6分間にわたって語りかけられました。

 そのビデオを放映したNHKは「陛下がこうした形で国民にご自身の気持ちを伝えら
れたのは初めてです。両陛下は、救助活動の支障にならない時期を選んで被災地を訪れ、
被災した住民を励ますとともに災害対策に当たる人たちをねぎらわれることになってい
ます」と伝えています。

 編集子は昨日の放映は見逃しましたが、今朝のNHKニュースでそのビデオを拝見し、
これがいわゆる「大御心」だと思い、有難くも心強いお言葉に涙があふれました。李登
輝元総統のお言葉もそうでしたが、聴くものをして心の底から力が湧いてくる思いにさ
せる、慈愛に満ちた力強いお言葉でした。

 平成19年(2007年)6月、李元総統は「奥の細道」探訪の旅で宮城県の塩竃神社を訪れ
ました。地震後、海に近いこの塩竃神社を案内していただいた禰宜さんたちの安否が気
になり、何度か連絡を入れたのですがつながりませんでした。

 ところが、今朝になってようやくつながり、神社自体は高台にあるので津波などの被
害はなかったそうですが、塩竃市内は津波に襲われ惨状はなはだしい状況だそうです。
電気はとおっているものの、ガスと水道がダメだそうです。

 塩竃神社に奉仕される禰宜さんたち職員一同も昨夕、この今上陛下のお言葉を聞かれ
たそうです。そのときは皆さん不動の姿勢で聞かれ、「こういうときはやはり陛下です
ね」としみじみ言われたのが印象的でした。

 今朝の各紙でも伝えていますが、下記に今上陛下のお言葉を放映したNHKのURL
とお言葉の全文をご紹介します。

■ 天皇陛下 被災者にメッセージ【NHK:2011年3月16日 17時35分】
  http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110316/t10014717841000.html


今上陛下お言葉(全文) 平成23年3月16日

 この度の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地
震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は
日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事
が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬも
のであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切
に願っています。

 現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々
が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされてい
ます。その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好
転し、人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そ
して、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これ
からの日々を生きようとしている人々の雄々(おお)しさに深く胸を打たれています。
自衛隊、警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援
のために来日した人々、国内の様々な救援組織に属する人々が、余震の続く危険な状況
の中で、日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく思います。

 今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気
持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝え
します。

 海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が、取り乱すことなく助け合い、秩
序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆(みな)
が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。

 被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆(みな)が、様々な形で少しでも多く分
かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てるこ
となく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民
一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれ
の地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。



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