所長が、来年1月16日に投開票が行われる台湾の総統選挙では民主進歩党(民進党)による「政権
奪還は確実」と報告していたという。
また、中国国民党の総統候補である洪秀柱・立法院副院長を「人気のない二軍的な存在」とも論
評しているそうだ。下記にその全文を紹介したい。
ちなみに、台湾の中央通訊社によると、台湾のテレビ局TVBSが8月11日に発表した調査結果
では、民進党の蔡英文氏38%、親民党の宋楚瑜氏20%で、前回(7月19日)からそれぞれ4ポイン
ト、1ポイント増加したが、中国国民党の洪秀柱氏は17%で8ポイント減少し最下位になった、と伝
えている。
中国国民党も8月17日に世論調査の結果を発表、蔡英文氏37%、宋楚瑜氏19%、洪秀柱氏18%
だった。この世論調査でも蔡氏は4ポイント増えているという。
総統選挙と同時に行われる立法委員選挙について、蔡英文氏の側近は64議席取りたいと希望的観
測を洩らしているという。
立法委員113人の内訳は、比例:34人、選挙区:73人、原住民:6人。また現有勢力は、中国国民
党:65人、民進党:40人、台湾団結聯盟:3人、親民党:3人、無党団結聯盟 :1人、無所属:1人。
現在の情勢では、民進党が過半数の57人に届くかどうか微妙なところだ。
【中国共産党内報告】 台湾の政権交代「確実」 日米と連携警戒
【産経新聞:2015年8月20日】
中国政府系の台湾専門家が、共産党内で行った台湾に関する情勢報告で、台湾の次期総統選(来
年1月実施)で最大野党、民主進歩党(民進党)による8年ぶりの政権奪還が確実だと結論づけたこ
とが分かった。報告は中国国民党の公認候補を「二軍だ」と酷評する一方、民進党政権の独立路線
や親米傾向を予測し、台湾が日米と連携して中国と対峙(たいじ)する局面の形成に強い警戒感を
打ち出した。(山本秀也)
この報告は、中国政府のシンクタンク、中国社会科学院台湾研究所の朱衛東副所長が7月、「当
面の台湾情勢と両岸(中台)関係の前途」と題して行った。
判明した報告内容によると、台湾の内政状況については、昨年11月の統一地方選で、政権を握る
中国国民党が惨敗したことを例に同党の弱体ぶりを悲観。同党の総統候補となった洪秀柱・立法院
副院長(国会副議長)を「人気のない二軍的な存在」と論評した。
これに対し、民進党候補の蔡英文・同党主席に関しては、「しなやかな台湾独立」「笑顔の台湾
独立」を進めていると評し、「われわれは民進党『台湾独立』政権が、再度登場することに備えな
ければならない」との結論を示した。
報告は、台湾の独立傾向が強まるなかで、「米国、日本が(台湾に)手を突っ込む余地が広がっ
ている」と指摘し、蔡英文氏が政権獲得後、米国への依存を強めると予測した。
その上で、台湾の政権交代後の周辺情勢として、(1)台湾海峡での民進党政権の挑戦(2)南シ
ナ海問題で、ベトナム、フィリピンと連携する米国の挑戦(3)尖閣諸島(原文では中国名「釣魚
島」)問題での日本の挑戦−を列挙。東シナ海から台湾海峡を経て、南シナ海に至る日米台の包囲
網を意味する「三海連動」の状況が生まれると懸念を示した。
中国が取るべき対策について、報告は経済をはじめとする中台の実力差が中国優位に傾いている
などとして、国民党政権の8年間に深まった中台の経済・貿易関係を軸に民進党政権を揺さぶる方
法を提言。「両岸(中台)の統一は台湾の宿命だ」と述べ、統一政策に自信を抱くよう党内に訴え
た。
台湾の総統選について、中国政府は公式には「介入も論評もしない」(馬暁光・国務院台湾事務
弁公室報道官)として、選挙情勢や候補者への評価は通常明らかにしない。
任期満了にともなう次期総統選は、来年1月16日に立法委員(国会議員)選と同時に投開票され
る。現地の世論調査では、民進党の蔡氏がリードし、国民党の洪氏と8月に出馬表明した宋楚瑜・
親民党主席が蔡氏を追う情勢となっている。