の学術論文を取り下げた。同出版局は中国からの圧力があったことを公式サイトで認めている。
大紀元の伝えるところによれば「取り下げられたのは、ケンブリッジ大学出版局の現代中国研究
誌『チャイナ・クウォータリー』で発表していた300以上の学術論文。中国側から検閲により見る
ことができなくなった論文のテーマは、1989年の学生運動『六四天安門』事件での大虐殺、文化大
革命、法の支配、訒小平の改革開放政策、毛沢東主義とマルクス主義、法輪功、労働者の権利、香
港、台湾、チベットと新疆などの地域研究」だという。
今朝(8月22日)の産経新聞「産経抄」が「『学問の自由を守るべきだった』と世界中の中国研
究者から、批判の声が上がっている」ことを紹介している。
中国の言論弾圧は国内ばかりか、海外の名門大学にまで及んでいることを実証する象徴的な事例
となった。
遠藤誉・筑波大学名誉教授は「遂に恐れていた中国の言論弾圧の世界化が始まろうとしている」
と指摘し、「日中国交正常化45周年などといっている場合ではない。中国が言論弾圧をする国で、
ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が、どのようにしてその尊い命を落としたのかを忘れないように
してほしい。チャイナ・マネーに尊厳を買われるような日本になって欲しくないと、祈るばかり
だ」(8月21日付「ニューズウィーク日本版」)と警鐘を鳴らしている。
中国に屈した名門ケンブリッジ大学
【産経新聞「産経抄」:2017年8月22日】
亡命先の米国で5年前、76歳で亡くなった中国の天体物理学者、方励之氏は、反体制知識人のシ
ンボル的存在だった。1989年の天安門事件直後に北京の米国大使館に駆け込み、1年後に英国への
出国が認められる。
▼米国入りするまで、ケンブリッジ大学で研究生活を送っていた。その間メディアの取材に応じ
て、中国の未来について語っている。「民主改革が20世紀末までに実現する可能性がある」。残念
ながら、方氏の楽観的な見通しは当たらなかった。
▼それどころか中国の言論統制は、ケンブリッジ大学にまで及んでいる。大学の出版局が、サイト
に掲載されている中国関連の論文約300点について、中国からのアクセスを遮断したことを明らか
にした。中国当局の要求に従ったものだ。
▼天安門事件や文化大革命、チベット関連の論文などが含まれている。拒絶すれば、他の論文も中
国国内で利用できなくなる、と出版局は弁明する。それでも、「学問の自由を守るべきだった」と
世界中の中国研究者から、批判の声が上がっている。
▼中国といえば昨日、ナショナル・ジオグラフィック日本版が驚くべきニュースを伝えていた。漁
業が一切禁じられているガラパゴス国立公園の海域で、中国の密漁船がエクアドル当局に拿捕(だ
ほ)された。船からは数千匹という前代未聞の数のサメが発見された。ただエクアドルは、最大の
債権国である中国に対して厳しい態度をとれないのが実情だという。
▼ケンブリッジ大学は、ある中国の団体から数億円もの寄付を受け取っている。中国で販売してい
る出版局の英語教材が、急速に売り上げを伸ばしている、との報道もある。まさか名門大学が中国
の札束攻勢に目がくらんだ、とは思いたくないが。