大陸委員会は4日、声明を発表して中国側を批判するとともに厳重な抗議を行ったという。この声明によれば、2015年3月に双方の「空運小両会」で協議し、中国側は「『M503』航路は南下のみの『一方通行』であること、そして『W』航路の使用は始めず、使用開始の時期は双方が意思疎通をした上で確認することを重ねて保証した」にもかかわらず、使用開始を一方的に発表したという。「Taiwan Today」が交通部民用航空局が提供した航空路地図とともに「声明」について報じているので下記に紹介したい。
台湾国際放送は「民用航空局の林国顕・局長は5日、臨時記者会見を開き、中国側が4日にM503航空路の使用開始を一方的に発表して以降、中国東方航空、アモイ航空、キャセイドラゴン航空、香港航空の4社がすでに使用したと明らかにした。そのうちM503航路は延べ17フライトが飛び、W122航路とW123航路はそれぞれ延べ3フライトが使用した。また、5日午前11時までに、M503航路は北に向かって延べ5フライトが使用、W122航路は1フライトが使用している」と伝えている。
また、蔡英文総統も5日、ツイッターに英文で「中国が最近、軍事的な活動を繰り返していることやM503航路の使用を開始したことなどの一方的な行いは、地域の安定に寄与せず、絶対に避けるべきだ」とツイートし、中国の一方的な措置を批判した。
人命を乗せて運航する飛行機の航空路使用が一方的な発表だけで行われるのは、やはり異常である。台湾が中国の圧力によって国際民間航空機関(ICAO)から締め出されているからといって、看過できない由々しい事態だ。すでに米国の対台湾窓口機関のAIT(米国在台湾協会)も「民間航空とその安全などの問題は両岸双方が対話を通じて解決すべき」とするコメントを発表しているという。
—————————————————————————————–大陸が協議経ずに航空路の使用を開始、陸委会は「安全顧みない行為」と厳重抗議【Taiwan Today:2018年1月5日】http://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=148&post=127602
中国大陸側は台湾海峡両岸の協議と意思疎通を経ないまま、4日に航空路「M503」の北方向けの運用(北上)と、「W121」、「W122」、「W123」の使用を開始した。これに対し、行政院(内閣)大陸委員会(陸委会)は4日、声明を発表して中国大陸側を批判すると共に厳重な抗議を行った。声明の内容は以下の通り。
一、飛行の安全は国際社会が最も重視する基本的な要求である。中国大陸側が今回、両岸間の意思 疎通を行わないまま、同時に4本もの航路の使用を開始したことは、2015年3月に双方の「空運小 両会」(台湾の台北市航空運輸商業同業公会と中国大陸の中国航空運輸協会海峡両岸航空運輸交 流委員会)が協議して得た結果に反する行いであるばかりでなく、民間航路の名を借りて台湾に 対する政治的、さらには軍事的な企てを隠すものであり、台湾海峡の現状を変更しようとする意 図が疑われる。このため政府はこのことを、両岸関係と飛行の安全に影響する事件であると厳粛 に受け止め、中国大陸側に対して強い不満を表明し、抗議を行った。 二、2015年に両岸が意思疎通を行った中で、中国大陸側は「M503」航路は南下のみの「一方通行」 であること、そして「W」航路の使用は始めず、使用開始の時期は双方が意思疎通をした上で確 認することを重ねて保証した。今回、中国大陸側が双方の協議を経ないまま直接使用を始めたこ とは、国際的な民用航空の規範を全く守らず、飛行の安全を無視すると共に台湾を尊重しない軽 率なやり方である。政府は安全面で深刻な疑問の残る同航路を各方面が使用しないよう呼びかける。 三、我々は中国大陸側に対し、関連の飛行活動を即刻停止すると共に、双方の飛行団体による意思 疎通が始められるよう直ちに調整を行い、飛行の安全と人々の福祉を確保することを要求する。 中国大陸側が独断専行するならば将来の両岸関係に影響する全ての深刻な結果は中国大陸側が責 任を負わなければならない。