しかし、学内外から批判が相次ぎ、すべての論文を閲覧できるように復活させたものの、この事件によって、自国の利益のためには学問の自由や言論の自由も蹂躙して顧みないという中国政府の基本姿勢があらわになった。
また、このキーイワードは中国政府が厳しく言論を統制しなければならないと考えているNGワードでもあり、中国がなにを恐れているのかも明らかにもなったと言える。
中国政府はこのほど、「政治的に悪影響がある」などの理由で企業名に含んではいけないNGワードを決めたと報じられている。朝日新聞が伝えているので下記に紹介したい。
この報道によれば、禁止用語は6分野にわたり、「支那」「大地主」などは「否定的で政治的に悪影響がある」、「九一一」「東突(東トルキスタン)」「占中(オキュパイ・セントラル:香港で起きた民主化デモ)」などは「テロや分裂、過激思想を広める」、「大東亜」「大和」「福爾摩薩(フォルモサ)」などは「植民地文化の色合いがあり、民族の尊厳と人民の感情を損なう」、「法輪功」「汪精衛」などは「非合法組織や反動的な政治的人物」という理由で企業名に含んではいけない用語に指定したという。
これもまた中国独特の言論統制の一環であることは間違いない。なんとも息苦しい社会であり、一党独裁のなせるところだ。
—————————————————————————————–「大和」「法輪功」…中国、使ってはいけない企業名制定【朝日新聞:2017年9月5日】http://www.asahi.com/articles/ASK944JQ3K94UHBI013.html
中国政府が企業名に含んではいけないNGワードを決めた。日本の企業名によくある「大和」が具体例に挙がり、この字を含む企業の中国展開に影響する可能性もある。ただ、全体的には独立運動など国の分裂を思わせる言葉が多く、現在の中国が抱える敏感な問題が浮き彫りになっている。
国家工商行政管理総局が7月末付で「企業名称禁止・使用制限規則」を各省や自治区、市場監督管理部門に対して通知した。リストの最初には「否定的で政治的に悪影響がある」として、中国の蔑称「支那」や「大地主」など歴史的に敏感な言葉が挙がっている。
だが、そのほかはウイグル独立派が使う「東突(東トルキスタン)」や、中国側が導入しようとした選挙制度改革に反対し、2014年秋に香港で起きた民主化デモ「占中(オキュパイ・セントラル)」、台湾の別称の「福爾摩薩(フォルモサ)」、取り締まり対象の気功集団「法輪功」などが並び、政治的な安定に気を使っているのがわかる。
また、企業名への使用を制限する言葉も決まった。「中国」や「中華」などを冠した名前は、政府が設立を決めた企業以外は禁止の対象。「国家級」「最佳(最もよい)」といった字を含む企業名も誤解を招く恐れがあるため、制限がかかっている。
大和証券グループ本社は中国の二つの法人の名称に「大和」を使っているが、「現時点で変更の予定はない」(広報)としている。(北京=福田直之)