リート・ジャーナル」紙に「米軍の台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる」と、在沖縄
米軍の台湾への一部移転を提言したことは本誌でもお伝えした。
この提言について、国際政治学者の藤井厳喜(ふじい・げんき)氏の「中国に対する極めて強い
抑止力になる」と高評する「夕刊フジ」のコメントも併せて紹介したが、米カリフォルニア州弁護
士でタレントのケント・ギルバート氏もボルトン氏の提言を「素晴らしい論文」と高く評価する。
ケント・ギルバート氏は、その理由を「ボルトン氏の提言が実現すれば、沖縄の基地負担を減ら
しつつ、南シナ海や尖閣諸島周辺でのPRCの横暴を、今より効果的に牽制できる」からだと述べ
つつ、「在沖米軍基地への反対運動を行う勢力にとって、これ以上素晴らしい提言はないはず」に
もかかわらず、基地反対派からは絶賛する声がまったく聞こえてこないと皮肉っている。
基地反対派のダブルスタンダードを衝いた小気味よい指摘だ。
ケント・ギルバート
台湾に米軍駐留、ボルトン元米国連大使の衝撃論文 琉球新報は報道するも…
【夕刊フジzakzak「ニッポンの新常識」:2017年1月28日】
米国はカーター政権下の1979年1月、中華人民共和国(PRC)と国交を樹立し、対日戦の同志
だった中華民国とは断交した。中国大陸の支配権は49年から共産党に移っており、米国はついに、
現実に屈服したのだ。
54年12月に調印した米台軍事同盟である「米華相互防衛条約」も、同じ時期に失効し、在台米軍
は撤退する。あらゆる周辺国と衝突してきた人民解放軍が、いずれ台湾を軍事進攻することは確実
と思われた。
だが、米国は台湾関係法を整備した。米軍駐留は終了するが、武器売却や沖縄などの在日米軍の
力で、自由主義陣営である台湾を守れるようにしたのだ。沖縄(日本)はそれ以来、米国の台湾防
衛政策に、片務的貢献を果たしてきた。
17日のウォールストリート・ジャーナル紙に、ドナルド・トランプ政権での国務副長官(日本で
言えば外務副大臣)起用が取り沙汰されるジョン・ボルトン元米国連大使が、素晴らしい論文を寄
稿した。台湾に再び米軍基地を設置して、沖縄の戦力の一部を移すべきという内容だ。
在日米軍基地が沖縄に集中した唯一の理由は、地政学上有利な位置に沖縄があるからだが、台湾
は沖縄と同等か、それ以上の地政学的価値がある。
ボルトン氏の提言が実現すれば、沖縄の基地負担を減らしつつ、南シナ海や尖閣諸島周辺でのP
RCの横暴を、今より効果的に牽制(けんせい)できる。
民主党政権の鳩山由紀夫元首相が無責任に言い放った「最低でも県外」を通り越し、国外移転が
実現するかもしれない。在沖米軍基地への反対運動を行う勢力にとって、これ以上素晴らしい提言
はないはずだ。
ネットで調べると、産経新聞、毎日新聞、時事通信、琉球新報などのメディアは、この提言を取
り上げていた。
驚いたのは琉球新報の記事である。事実報道に徹しており、バイアスが感じられないのだ。立ち
位置に困った揚げ句の観測気球かもしれないが。
在沖米軍基地を「諸悪の根源」のように報じてきた一部の新聞やテレビ局が、ボルトン氏の提言
を報じた形跡は、ネット検索では見つからなかった。
その原因が、彼らの情報収集力不足のせいなのか、「報道しない自由」を行使した結果なのかは
不明である。
沖縄の自然環境保護と、オスプレイなどの騒音や事故発生の危惧を理由に、米軍普天間飛行場の
辺野古移設に反対してきた市民団体や、翁長雄志知事の口から、ボルトン氏を大絶賛する声が上が
ることを期待していたが、今のところ聞こえてこない。
複雑な心中、お察しいたします。
■ケント・ギルバート
米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『い
よいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人』『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』
(いずれもPHP研究所)、『日本覚醒』(宝島社)など。
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