画像は2017年4月、米国のハワイ州とアリゾナ州、スペイン、メキシコ、チリ、南極にある8基の電波望遠鏡を組み合わせることで、地球の直径にほぼ相当する約1万2000キロにわたる仮想天文台をつくり、数日間にわたり収集したデータを基に作成されたという。
「Taiwan Today」は、台湾で会見した中央研究院天文・天文物理研究所の松下聡樹研究員の解説について「今回撮影に成功したのはおとめ座銀河団にある楕円銀河『M87』の中央にある巨大ブラックホール。地球から約5500万光年の距離にあり、質量は太陽の65億倍に相当する。今回公開した映像は2017年4月に撮影したもの。映像はまるで新月を撮影したもののようで、中央部分が黒くなっている。7日間観測したが、いずれも同じような映像が撮影されたという」と報じている。
中央通信社も台湾での会見模様を伝え、また中央研究院も記者会見について伝えているので併せてご紹介したい。
実は、日本と台湾は天体望遠鏡を通じても交流が深く、2014年2月7日、国立天文台と中央研究院は、ハワイ島のマウナケア山頂にある国立天文台すばる望遠鏡の性能向上へ向けた研究開発を行うため「協力継続覚書」を交わしている。
なお、中央研究院の天文・天文物理研究所には現在、日本から井上允(いのうえ・まこと)、中村雅徳(なかむら・まさのり)、松下聡樹(まつした・さとき)、浅田圭一(あさだ・けいいち)などの研究員が所属し、日本人研究者も台湾チームの一員としてこの国際共同プロジェクトに臨んでおり、こういうところにまで日台が協力関係にあることを素直に喜びたい。
◆中央研究院:看到了!中研院參與國際計畫 發表史上首張?洞影像[4月10日] https://www.sinica.edu.tw/ch/news/6191
—————————————————————————————–台湾のチームが喜び「一翼を担った」 ブラックホール撮影【中央通信社:2019年4月11日】
(台北 11日 中央社)国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」に参加した台湾の学術研究機関、中央研究院は10日夜、台北市内で会見し、世界で初めて撮影に成功したブラックホールの画像を公開した。廖俊智院長は「今世紀で最も重要な発見の一つにおいて、台湾はその一翼を担った」と喜びを示した。発表は日本など世界6カ所で同時に行われた。
観測には世界各地の8つの望遠鏡が使用され、同院は3つの望遠鏡の運用を支援したほか、データの画像化、コンピューターのシミュレーションを担当した。
同プロジェクトには世界各地から200人余りが参加。同院天文・天文物理研究所の浅田圭一副研究員によれば、同院のチームは昨年、北極のグリーンランド望遠鏡で同プロジェクトに加わった。
台湾が運用を支援したのは、アルマ望遠鏡(南米チリ)、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(米ハワイ)、サブミリ波干渉計(同)。このうちアルマ望遠鏡とサブミリ波干渉計は中央研究院が建設に最初から参加した。
(許秩維、余暁涵/編集:名切千絵)