トランプ政権まる2年の総括  古森 義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

2016年11月8日(現地時間)に投開票のアメリカの大統領選挙で、共和党候補のドナルド・トランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏を破って当選し、翌年1月20日、第45代大統領に就任した。

 当選前からトランプ氏への毀誉褒貶が交錯していた。型破りと言えるツイッターでの立て続けの発信に戸惑う人も多かった。

 その困惑に輪をかけたのが、2017年2月9日に行われたトランプ大統領と習近平・国家主席による電話会談だった。中国国営中央テレビ(CCTV)をはじめ米国のCNNニュース、イギリスのBBCニュースなど多くのメディアがトランプ大統領は中国が主張する「一つの中国」を認めたと報道した。

 日本メディアも、「トランプ米大統領が9日、中国と台湾は不可分の領土だとする『一つの中国』原則を尊重することを受け入れた」と報道した。親米派と言われる日本の有識者なども同様に受け止め、「前言を翻して、中国の主張を受け入れた」などと論評した。

 しかし、これは明らかな誤報であり誤認だった。トランプ大統領は「われわれ(米国)の『一つの中国』政策」を尊重すると述べ、決して中国が主張してきた「一つの『中国』原則」を受け入れたわけではなかった。日本メディアでは産経新聞だけが後日の記事で修正し、トランプ大統領が前言を翻していなかったことを明らかにした。

 この「一つの中国」の受け止め方に典型的に現れていたが、なぜか発言が誤解されやすいトランプ大統領への見方は未だに尾を引いている感がある。

 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏はこの2年間のトランプ大統領の執政について総括し「日本側“識者”の間での『負の断定』には奇妙なほど画一性がある」と指摘し、その画一性を具体的に挙げ「空疎な批判」と難じている。また、トランプ大統領像をゆがめている原因を「米国側の反トランプのメディアや中国の政治宣伝」と剔抉している。同感である。

————————————————————————————-トランプ政権まる2年の総括 古森義久【産経新聞「緯度経度」:2019年1月23日】

 米国のトランプ政権の登場から丸2年の総括が日本側でも盛んとなった。その基調は「トランプ大統領は長年の対外的な同盟関係の縮小あるいは解消を意図している」という警鐘が目立つ。その日本側“識者”の間での「負の断定」には奇妙なほど画一性がある。

 画一性といえば、昨年11月の中間選挙までは「トランプ氏は選挙のため前のめりになっている」という指摘が顕著だった。北朝鮮、中国、メキシコ国境の壁建設と、トランプ氏はとにかく中間選挙の与党勝利のため本来の方針を捨てて、人気取りに走っているとする指摘だった。

 だが中間選挙が終わった今、諸懸案へのトランプ氏の施策は選挙前と変わっていない。「選挙のための前のめり」はそもそも空疎な批判だったようなのだ。

 この2年、同様に空疎な指摘としては、第1に「トランプ政権の終わり」論があった。日本側の主要メディアではトランプ政権の「崩壊」や「終末」が何度、断言されたことか。

 第2はトランプ支持の堅固さの無視である。最新の世論調査は支持率44%で、就任時よりも、オバマ前大統領の同時期よりも高い。だが、日本側の論評ではトランプ支持層の存在や主張にはまず触れない。

 第3は日本へのトランプ政権の効用の軽視である。尖閣防衛の誓約に始まる日米同盟の堅持、日本人拉致事件解決への支援、中国の脅威の抑止など日本にとって明白なプラスが、肝心の日本側でまず語られない。

 この種のトランプ論は誰もが一斉に同じことを述べる画一性では群集心理という言葉を連想させる。その主張で、いま最大の流行は「マティス前国防長官の解任でトランプ氏はいよいよ同盟関係の解消へ傾く」という指摘だろう。

 この種の指摘は米側の反トランプのメディアからの情報が基礎となる場合が多い。ニューヨーク・タイムズ紙が1月中旬、「トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議直後の昨年夏、米国のNATOからの離脱の意向に等しい発言をした」と報じたような実例である。

 ところが同じ報道の中に、トランプ政権がこの報を公式に否定し、「米国とNATOの絆は非常に強く同盟関係は重要だ」としていることは日本側ではほとんど伝えられない。

 トランプ氏が就任前から米国の軍事同盟に批判的な言辞を述べてきたのは確かだ。だが、その趣旨はみな防衛負担の不平等への不満であり、同盟そのものの否定ではない。それをいかにも同盟解消論のようにゆがめて伝えるのは米国側の反トランプのメディアや中国の政治宣伝だった。

 トランプ政権の同盟の保持や強化の政策は昨年末に大統領が署名した「アジア再保証イニシアチブ法」でも明示された。アジアでの同盟・友好の相手の日本、韓国、台湾などとの安保面での絆の強化を具体的な予算額を明示して公約した新法律だった。

 トランプ氏自身が17日に発表した新戦略「ミサイル防衛の見直し」でも、アジアや欧州の同盟諸国との共同のミサイル防衛網強化を宣言していた。

 こうした予算措置まで明示した同盟強化政策と、断片的な未確認情報を集めた同盟解消説をまず比べるよう日本側の“識者”には勧めたい。(ワシントン駐在客員特派員)


【日本李登輝友の会:取扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

● 台湾フルーツビール・台湾ビールお申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

*台湾ビール(缶)は在庫が少なく、お申し込みの受付は卸元に在庫を確認してからご連絡しますの
 で、お振り込みは確認後にお願いします。【2016年12月8日】

● 美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【常時受付】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

*台湾の高級調味料XO醤は在庫切れのためお申し込みを中止しています。悪しからずご了承のほ
 どお願いします。入荷予定が分かり次第、本誌やホームページでお伝えします。(2019年1月9日)

● 台湾土産の定番パイナップルケーキとマンゴーケーキのお申し込み【常時受付】
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex
 *詳細は本会HP ⇒ http://www.ritouki.jp/index.php/info/2018pineapplecake/

*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、宅配便の都合により、恐縮ですが1件につき
 1,000円(税込)を別途ご負担いただきます。【2014年11月14日】

*パイナップルケーキ・マンゴーケーキを同一先へ一緒にお届けの場合、送料は10箱まで600円。

・奇美食品の「鳳梨酥」「芒果酥」 2,900円+送料600円(共に税込、常温便)
 [同一先へお届けの場合、10箱まで600円]

・最高級珍味「台湾産天然カラスミ」 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 [同一先へお届けの場合、10枚まで700円]

● 書籍お申し込みフォーム
  https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・浅野和生編著『日台関係を繋いだ台湾の人びと1・2』*new
・劉嘉雨著『僕たちが零戦をつくった─台湾少年工の手記』
・渡辺利夫著『決定版・脱亜論─今こそ明治維新のリアリズムに学べ』
・呉密察(國史館館長)監修『台湾史小事典』(第三版)
・李登輝・浜田宏一著『日台IoT同盟』 *在庫僅少
・王育徳著『台湾─苦悶するその歴史』(英訳版) *在庫僅少
・浅野和生編著『1895-1945 日本統治下の台湾
・王明理著『詩集・故郷のひまわり』
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉』 *在庫僅少
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』 *在庫僅少
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

● 台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

*第1号〜第15号(最新刊)まですべてそろいました。【2017年6月8日】

● 映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『海の彼方』
・『台湾萬歳』
・『湾生回家』
・『KANO 1931海の向こうの甲子園
・『台湾アイデンティティー
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『海角七号 君想う、国境の南
・『台湾人生

● 講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・2018年 李登輝元総統沖縄ご訪問(2018年6月23日・24日)*new
・2014年 李登輝元総統ご来日(2014年9月19日〜25日)
・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)


◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

・入会案内:http://www.ritouki.jp/index.php/guidance/
・入会申し込みフォーム:https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46


◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(渡辺利夫会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1
 Twitter:https://twitter.com/jritouki

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先:

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:00110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。



投稿日

カテゴリー:

投稿者: