統領が押し切った印象が強い。トランプ大統領のしたたかさも垣間見えた。それが、孫娘のアラベ
ラ・ローズちゃんが習近平夫妻に披露した民謡「茉莉花(ジャスミン)」だ。
これについて、メルマガ「台湾の声」編集長の林建良氏は、下記のように指摘した。
<米中会談の前にトランプの孫娘アラベラ・ローズちゃんが中国の民謡を歌って習近平をもてなし
た。その民謡とは「茉莉花」(ジャスミン)だった。
そう、シリア内戦のきかっけとなる「ジャスミン革命」のあのジャスミンである。中国はジャス
ミン革命のときに国内に波及することを恐れてこの歌を一時的に禁止した。
ニコニコしながらかわいいアラベラ・ローズちゃんの「茉莉花」を聞いている習近平は、その直
後にアメリカによるシリアの攻撃が発動されることを知る由もなかった。
「好一朶美麗的茉莉花、好一朶美麗的茉莉花」(こんなに綺麗なジャスミン、こんなに綺麗な
ジャスミン)アラベラ・ローズちゃんが歌っているこの民謡は、米中外交の一ページになるに違い
ない。>(4月7日発行「メルマガ『台湾の声』」)
中国のネットユーザーの間でもこの民謡「茉莉花(ジャスミン)」のことが取りざたされている
という。それを伝える産経新聞の記事を紹介したい。
トランプ大統領は夕食会の席でシリアへ攻撃したことを伝え、時事通信によれば「アサド政権が
化学兵器で女性や子供を殺害したことへの対抗措置であるとの理由を説明し、発射した巡航ミサイ
ルの数も伝えた」といい、習主席は「子供が殺害されている時にそうした対応は必要だ」と述べて
理解を引き出したという。
ここにも「罪のない女性や子供を殺害した」として習主席から理解を引き出したトランプ大統領
のしたたかさを見る。また、中国にとってはあまり思い出したくない民主化運動とその弾圧の記憶
を呼び起こさせようとして、孫娘に民謡「茉莉花(ジャスミン)」を披露させたとするなら、やは
りしたたかという印象は拭い難い。
首脳会談を始める前からアメリカは、アドバンテージを握るため、中国への経済制裁発動をはじ
め民謡「茉莉花(ジャスミン)」披露まで様々な仕掛けを作って臨んでいたのかもしれない。
トランプ氏孫娘が習近平氏に披露の中国民謡、「ジャスミン革命」を連想? ネットで憶測広がる
【産経新聞:2017年4月10日】
中首脳会談が開かれた米フロリダ州パームビーチのトランプ米大統領の別荘で、同氏の孫娘アラ
ベラちゃん(5)が中国の習近平国家主席夫妻に披露した民謡「茉莉花(ジャスミン)」が、中国
のネットユーザーの間で話題になっている。2010年以降に中東・アフリカで広まった民主化運動
「ジャスミン革命」を連想させるためだ。
アラベラちゃんは習夫妻の前で民謡を歌ったほか唐詩を暗唱するなどし、米中首脳の友好ムード
に一役買ったとして中国メディアが大きく取り上げた。
ただ民謡「茉莉花」は歌手としても有名な彭麗媛夫人のレパートリーでもある半面、ジャスミン
革命が激化した当時は中国共産党が波及を恐れてこの歌の歌唱を規制したともいわれている。ネッ
トユーザーの中には「米国の皮肉ではないか」といぶかる声もある。
15年に習氏が英国を訪問した際も、公式晩餐会で出された高級ワインが1989年のワインだったこ
とから、民主化を求める学生が武力弾圧された天安門事件を想起させるとしてさまざまな臆測を呼
んだ。(中国総局)