ン・ボルトン氏が1月17日付の日刊経済新聞の「ウォールストリート・ジャーナル」紙に寄稿、
「海洋の自由を守り、一方的な領土併合を防ぐことは米国の核心的利益だ」と強調しつつ「米軍の
台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる」と述べ、在沖縄米軍の台湾への一部移転を提案
したという。
ボルトン氏は、日本の国連常任理事国入りを支持し、また台湾の国連加盟も支持する親日・親台
湾派と言われ、トランプ政権のキーパーソンで副大統領に就任するマイク・ペンス氏と同様に「ネ
オコン」(ネオコンサバティズムの略称、新保守主義)の代表的な人物とされているタカ派。
このボルトン氏の提案に、評論家の宮崎正弘(みやざき・まさひろ)氏は「北朝鮮問題でも強硬
姿勢を示してきたうえ、日本の拉致家族が訪米したときも、まっさきに会見した」ことを伝えつつ
「このボルトン論文は、次期政権の対中政策のスタンスがにじみ出ているのではないか」(1月19
日発行「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」)と、トランプ政権の対中政策とリンクさせて評して
いる。
また、国際政治学者の藤井厳喜(ふじい・げんき)氏は「夕刊フジ」へのコメントで「中国に対
する極めて強い抑止力になる」と支持している。下記にその記事を紹介したい。
米軍台湾駐留が急浮上、元米国連大使が提言
識者「中国牽制にトランプ氏の『強烈な反撃』かも」
【夕刊フジ:2017年1月19日】
ドナルド・トランプ次期米大統領が、かつてない「対中強硬策」を選択する可能性が出てきた。
次期政権での国務副長官起用が取り沙汰されるジョン・ボルトン元米国連大使が17日付のウォール
ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、「米軍の台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる」
と述べ、在沖縄米軍の台湾への一部移転を提案したのだ。「台湾統一」を目指す中国の習近平国家
主席と、真正面から激突するのか。
ボルトン氏は「台湾は地政学的に東アジアの国に近く、沖縄やグアムよりも南シナ海に近い」と
指摘。軍事的覇権を強める中国への牽制(けんせい)に加え、沖縄米軍の一部を台湾に移すことで
「日米摩擦を起こしている基地問題をめぐる緊張を和らげる可能性がある」と述べた。
また、「海洋の自由を守り、一方的な領土併合を防ぐことは米国の核心的利益だ」と強調。台湾
との軍事協力の深化は「重要なステップだ」とした。
トランプ氏は、台湾の蔡英文総統との電話会談に踏み切ったうえ、中国が「核心的利益」と位置
付ける台湾問題で、「1つの中国」政策を見直す考えを示している。
ボルトン氏の寄稿をどうみるべきか。
国際政治学者の藤井厳喜氏は「東アジア情勢にとって大変良い発信だ。もともと、在沖縄米軍は
朝鮮半島情勢への対応と同時に、台湾防衛の意味も持っていた。中国は、トランプ氏が『1つの中
国』に疑義を示したことに反発し、空母『遼寧』を台湾周辺に派遣して牽制した。これに対する、
トランプ氏の『強烈な反撃』かもしれない。ボルトン氏は現在民間人だが、トランプ政権に近い人
物であり、中国に対する極めて強い抑止力になる」と語った。