『チャイナ・クウォータリー』で発表していた300以上の学術論文に中国からのアクセスを遮断し
たことは、学術界などからの批判を招き、同出版局は一転、「21日、閲覧制限の撤回を発表」(N
HKニュース)したという。
論文は315本にのぼり、昨日付の大紀元紙は「1989年の学生運動『六四天安門』事件での大虐
殺、文化大革命、法の支配、●小平の改革開放政策、毛沢東主義とマルクス主義、法輪功、労働者
の権利、香港、台湾、チベットと新疆などの地域研究」と報じていた。(●=都の者が登)
この批判の大合唱に対して、中国政府系メディアの環球時報が反論し「西側の価値観が正しいわ
けではない。中国が強くなれば、自分の利益を守るために行動するのは当然だ」と発表しているこ
とを朝日新聞が伝えている。
学問に西側とか東側とかあるのだろうか。あるとすればノーベル賞は成り立つまい。こういう白
を黒と言い張る、いけしゃあしゃあとした中国らしい物言いに「馬の耳に念仏」や「蛙の面にしょ
んべん」などの諺を思い浮かべたのは編集子だけだろうか。自国の利益のためには、学問の自由や
言論の自由も蹂躙して顧みない中国の本音がよく現れている。
ケンブリッジ大、論文のアクセス一時遮断 中国の要請で
【朝日新聞:2017年7月22日】
英ケンブリッジ大学出版局が、中国政府の要請を受け、中国研究誌のサイトに掲載された天安門
事件などに関する論文や書評について、中国内からアクセスできないように遮断した。この決定
に、学術界から「学問の自由が損なわれる」などと批判が相次ぎ、出版局は21日、一転してアクセ
スを認めることを決めた。
アクセスを遮断したのは、同大出版局の中国研究誌「チャイナ・クオータリー」のサイトにあ
る、天安門事件や民族問題を抱えるチベットなどを扱った315点の論文や書評。中国が神経をとが
らせる内容が含まれているとみられる。
出版局は18日の声明で、アクセスを遮断する措置を取ったことを明らかにし、中国側の要請に
従ったものだとしたうえで、「我々が出版するほかの学術資料などを中国で研究者らが使い続けら
れるようにするためだ」と説明。中国側から出版差し止めなどの圧力があったことを示唆した。
この決定に対し、研究者らから「中国の言論統制の要求に屈した」「学問の自由が制限される」
などと批判する声が相次ぎ、中国側の要請を拒否するように求める署名運動も始まった。
出版局は21日、「学問の自由は、ケンブリッジ大がよって立つ最優先の原理原則だ」とする声明
を発表。アクセスを遮断した決定は「一時的」だったとして、論文などを中国で閲覧できるように
すぐに戻す方針を示した。
論文などへのアクセス制限について、中国メディアでは「西側の価値観が正しいわけではない。
中国が強くなれば、自分の利益を守るために行動するのは当然だ」(人民日報系の環球時報)と正
当化する声があがる一方、ネット上では「歴史を忘れるなと言いながら、自分の歴史は隠すのか」
との批判も出ていた。(ロンドン=寺西和男、北京=延与光貞)