元のウェッジには初版の在庫がなくなり重版中だそうです。
本書を担当したウェッジの吉村伸一・書籍部長は、ウェッジ顧問をつとめる立林昭彦・「歴史
通」編集長と一昨年3月から何度も台湾に足を運び、李元総統から直接お話しを聞くなどして本書
をまとめたと言い、その思い入れはひとしお深いようです。
その吉村氏が産経新聞に本書紹介の一文を寄せられているので下記にご紹介します。
ちなみに、吉村氏は祖父が台湾総督府の官僚で、父が台湾生まれの湾生だそうで、『麗しの島で
─十四歳予科練少年飛行兵の台湾青春記』(2004年)という著作もあり、よく台湾のことをご存じ
の方です。
なぜ台湾は親日なのか? 李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉』
ウェッジ 前書籍部長 吉村伸一
【産経新聞:平成26(2014)年7月12日「書評」欄】
日本人以上に日本を知悉(ちしつ)する台湾の李登輝元総統に、いつかご執筆願いたいと思って
いた私に、その想(おも)いを強くさせたのはあの大震災でした。
現代のわれわれ日本人は、今現在、国際社会において自らに直接関係する出来事の背景を、特に
歴史的なそれをほとんど知らずに生きています。未曽有の災害をもたらした東日本大震災。多くの
国々が援助の手を差し伸べてくれた中で、突出した200億円とも220億円ともいわれる多額の義捐
(ぎえん)金を寄せてくれたのが台湾でした。
なぜ台湾があれほどまでに絶大な支援の手を差しのべてくれたのか? 「台湾は親日だから」と
いう漠然とした認識しかない私たち。ではなぜ台湾は親日なのか? 同じく日本の統治下にあった
韓国となぜこんなにも違うのか? 明確に答えられる日本人が今どれほどいるでしょうか。
かつて、1949年から38年もの間、戒厳令が布(し)かれていた台湾。終戦で日本統治時代が終わ
り、その後長く暗い時代が続いた台湾の民主化、近代化に奔走したその人は、自らを「二十二歳ま
で日本人だった」と明言し、「私は純粋培養された日本人なのだ」とも語っています。
彼の名は李登輝元台湾総統。今もなお、官民問わず日本の多くの人々に慕われ、台湾のみならず
日本にとっても偉大な存在であり続ける御歳(おんとし)91歳。「なぜ台湾は親日なのか?」。本
書をご一読すれば、日本を勇気づける珠玉の言葉を通じて、その理由が必ずや深くご理解いただけ
るはずです。(ウェッジ・本体2400円+税)