る」と題して特別寄稿し、その中で「安倍総理へ3つのお願い」を記している。
1つ目は「日台漁業協定に従い、尖閣諸島周辺における日台間の漁業権の問題を円滑に解決する
こと」、3つで目に「日本版・台湾関係法」の制定を上げられていた。
では、2つ目はなんだったかというと「最先端の癌治療技術を台湾の病院に売ってもらうこと」
で、次のように書かれていた。
<2つ目は、中性子を使った最先端の癌治療技術を台湾の衛生署を通じて台湾の病院に売ってもら
うことである。前ページに掲載したのは、1943年、私と両親、兄の家族が一緒に写った集合写真で
ある。兄の嫁やその子供たちを含め、現在でも生きているのは私だけだ。戦死した兄を除くと、ほ
とんどが癌で亡くなっている。日本と同じように、台湾でも死因の1位は癌である。日本がこの技
術を台湾の病院に売らないのは、中国への技術流出を恐れている事情があるのかもしれないが、
私、李登輝がそのような事態が起きないよう責任をもつ。>
去る6月25日、台湾・衛生福利部が発表した2013年の死亡原因の統計結果によると、2013年の死
亡者数は15万4000人余りで、癌死亡者は4万4,895人(1日あたり123人)で、10大死因のうち癌が1
位だったそうだ。2位が心臓疾患、3位が脳血管疾患、4位が糖尿病、5位が肺炎と続く。
癌にもいろいろあるが、その10大死因は(1)気管・気管支癌と肺癌、(2)肝癌・胆管癌、
(3)結腸・直腸・肛門癌、(4)乳癌、(5)口腔癌、(6)前立腺癌、(7)胃癌、(8)膵臓癌、
(9)食道癌、(10)子宮頸癌・子宮癌だったと発表された。
そのような中、癌治療の最先端技術を持つ兵庫県立粒子線医療センターと県の第3セクター「ひ
ょうご粒子線メディカルサポート」などが粒子線医療施設の開設を支援するため台北医学大と協定
を締結したと報じられた。
癌治療の最先端技術には、次世代型と言われている中性子線と、粒子線(陽子線と重粒子線)の
2つがあり、陽子線はすでに世界40ヵ国くらいで使われている治療方法で、重粒子線は日本発の最
先端治療だと言われている。
癌治療の最先端分野でも日本と台湾が手を結ぶことになり、心から祝意を表したい。
なお、仄聞するところによると、李元総統の月刊「Voice」6月号の論文に日本から癌治療の最先
端技術に関する情報を提供する方が現れているという。このニュースもまた李元総統を喜ばせるに
ちがいない。
粒子線医療支援へ台北医大と協定
【読売新聞:2014年7月4日】
兵庫県立粒子線医療センター(たつの市)と県の第3セクター「ひょうご粒子線メディカルサ
ポート」(同)などは、粒子線医療施設の開設を支援する台湾の台北医学大と最終協定を締結し
た。今後、日台の治療の連携や人材育成を本格化する。
粒子線は、抗がん剤や放射線の副作用による合併症の発生リスクを抑える効果が期待される。台
北医学大は、粒子線の一種・陽子線の治療施設を大学敷地内に2016年度末までに開設予定で、粒子
線治療の実績がある同センターのノウハウを共有するために、今年4月に基本協定を締結した。
6月30日に台北市内で行われた最終協定の調印式では、同センターの不破信和院長と第3セクター
の岡本周治社長、同大学の閻雲(エンウン)校長らが署名。
今後1年間、同大からの紹介患者を毎月2人、同センターで治療するほか、同センターでの医師や
医学物理士、放射線技師の育成や、同大で使用する治療装置の性能検証も行う。