前号で2月26日に麻生首相が衆議院予算委員会で「尖閣諸島は日米安保条約の対象にな
る」と述べ、続けて中曽根弘文外相が27日に「沖縄返還の時に尖閣諸島は日本の施政権下
に入るということになっている」と述べたことに対して台湾と中国が反発していたが、台
湾の米国在台協会台北事務所(アメリカの台湾代表部に相当)は28日、「1972年以降、日
本政府の行政管轄下にあり、日米安全保障条約の適用範囲に含まれる」と表明した。
つまり、日米安保条約を締結する当事者の双方が「尖閣諸島は日本の領土」という認識
で一致したということだ。
アメリカの信託統治領だった尖閣諸島は1972年(昭和47年)5月、沖縄返還協定によっ
てアメリカが沖縄とともに尖閣諸島を日本に返還したことにより、日米安保条約の対象領
土、すなわち尖閣諸島が日本の領土になった経緯を再度確認したという次第だ。
馬英九総統は2006年に日米安保条約の支持を表明している。つまり、これで尖閣諸島が
日本の領土であることを認めたことになるのである。
これは小学生にも分かる論理だ。法学を専攻した馬英九総統がこの簡単な論理を分から
ない訳はない。それでも尖閣を「中華民国の領土」と主張するのは、いかなる根拠がある
というのだろう。
恐らく馬英九氏は日米安保条約に謳う「極東」(第6条)に台湾が入るということで支
持したのだろうが、支持を表明しながら、尖閣だけは中華民国のものという「いいとこ取
り」は許されない。速やかに尖閣の「中華民国領有論」を取り下げるべきだろう。
(メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原 正敬)
尖閣諸島:領有権、米の台湾代表部が中立姿勢を表明
【3月1日 毎日新聞】
【台北・庄司哲也】台湾の中央通信によると、米国の台湾代表部に相当する米国在台協会
台北事務所のスポークスマンは28日、日本や中国、台湾が領有権を主張する尖閣諸島につ
いて、「(沖縄が日本に返還された)1972年以降、日本政府の行政管轄下にあり、日米安
全保障条約の適用範囲に含まれる」との認識を示した。一方で尖閣諸島の領有権に関して
は「米側はいかなる立場も取らない」と述べた。
米政府は尖閣諸島について従来も同様の見解を表明しており、麻生太郎首相が先に「尖
閣諸島は日米安保条約の対象」と述べたことを受け、改めて認識を示したとみられる。