(みずしま・さとる)事務局長は東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、「お金の問題では
なく、心の問題。日本人の名誉と誇りの問題」など、訴訟の意義を説明した。
加瀬英明氏は本会副会長、水島総氏は理事。本会の小田村四郎会長も原告の一人で、本会関係者
の多くも原告となっている。
この朝日訴訟に関連し、メディアに対する大規模訴訟として平成21年(2009年)に小田村会長や
水島氏らが原告となって提訴したNHK「JAPANデビュー」裁判がよく持ち出される。平成25
年(2013年)12月、一部敗訴の高裁判決を不服としたNHKは最高裁に上告、すでに1年以上経つ
がまだ判決は出ていない。
今回の朝日訴訟と先のNHK「JAPANデビュー」裁判をからめて、J-CASTニュースが詳しく
報じているので下記にご紹介したい。
「吉田証言」誤報で朝日新聞に訴訟ショック 提訴続々、原告2万人超えと異例の規模に
【J-CASTニュース:2015年2月19日】
いわゆる従軍慰安婦が済州島で多数強制連行されたとする「吉田証言」に基づく誤報を朝日新聞
が30年以上取り消さなかった問題で、「日本国及び日本国民の国際的評価は著しく低下」したなど
とする訴訟が相次いで起こされている。いずれも謝罪広告の掲載と原告に対する慰謝料の支払いを
求めており、多いものでは原告数は2万人を超える見通しだ。
過去にもメディアに対する大規模訴訟は起きており、09年には、NHKの番組をめぐって原告1万人
が損害賠償を求めて提訴し、係争中だ。今回の訴訟の請求額はNHK訴訟の2倍程度になりそうだ。た
だ、NHK訴訟では、1、2審ともに一般視聴者に対する賠償請求は退けられており、今回の朝日新聞
に対する訴訟でも、訴えが認められるかは不明だ。
◆在米日本人ら約2000人が、主要米紙への謝罪広告掲載などを求める
上智大学の渡部昇一名誉教授を原告団長とする約8700人は2015年1月26日、原告1人あたり1万円
の慰謝料と謝罪広告の掲載を求めて提訴した。訴状によると、
「朝日新聞の本件一連の虚報により、日本国及び日本国民の国際的評価は著しく低下し、原告らを
含む日本国民の国民的人格権・名誉権は著しく毀損せしめられた」
というのがその理由だ。
「朝日新聞を糺(ただ)す国民会議」を名乗る団体が原告の事務局を担当しており、原告に加わ
るために必要な「訴訟委任状」の数は2月14日に2万通を超えた。2月下旬にも2次提訴に踏み切る予
定で、原告数が2万人を超える異例の訴訟となりそうだ。
2月23日午後には「国民会議」の加瀬英明・代表呼びかけ人と水島総事務局長が東京・有楽町の
日本外国特派員協会で会見予定だ。
これとは別に、2月18日には在米日本人ら約2000人が、主要米紙への謝罪広告掲載と原告1人あた
り100万円の慰謝料を求めて提訴。この訴訟でも、朝日新聞の記事で慰安婦問題に関する誤った事
実関係が世界に広がったと主張。在米韓国系団体がカリフォルニア州グレンデール市に慰安婦像を
建立するなどして誤った認識が「定着」したとしている。
これ以外にも、2月9日には「朝日新聞を正す会」を名乗る会メンバー約400人が、誤報の検証が
遅れたことで「読者が真実を知る権利を侵害された」として原告1人あたり1万円を求める訴訟を起
こしている。
◆NHK訴訟では視聴者に対する賠償請求は棄却
メディアに対する大規模訴訟はこれが初めてではなく、日本による台湾統治に焦点を当てたNHK
スペシャル「シリーズJAPANデビュー」の初回「アジアの『一等国』」をめぐる09年に起きた訴訟
が有名だ。
この訴訟では、09年6月に「放送法などに反した番組を見たことで精神的苦痛を受けた」などと
して約150人の台湾人を含む約8400人が、約8400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。同10月
には、番組で取り上げられた先住民族パイワン族の出演者を含む約1900人が2次提訴し、原告数は
約1万300人、請求総額は約1億1000万円に膨らんだ。
12年12月の1審判決では原告が全面的に敗訴。13年1月には原告42人が控訴し、13年11月の高裁判
決ではパイワン族の女性に100万円の支払いを命じた。
ただ、視聴者として原告になった人については、
「さまざまな立場の人たちへの十分な配慮もないまま、先入観に基づいて本件番組を制作し、放送
してしまって被控訴人(編注:NHK)に対して損害賠償を請求したいという思いは理解できないわ
けではないが」
と一定の理解を示しながら、法的責任については、
「個々の具体的な権利を侵害するものでない限り、いわば報道のマナー違反にとどまるべき」
として認めていない。
NHKは高裁判決を不服として13年12月に上告し、係争中だ。今回の朝日新聞に対する訴訟も長期
化する可能性が高い。