湾選挙史上初のことだ。総統選挙は中国国民党と民進党の激戦となり、最新の世論調査で
も支持率はまったくの互角。
台湾の人々はこの選挙が公平かつ平和的に行われることを願っているが、公正な選挙を
覆す重大な政治事件が起こらないとは誰も断言できない。
そこで、1996年の総統選挙で李登輝氏と戦ったこともある国際法学者の彭明敏氏を主席
に、また李登輝元総統を名誉主席に、昨12月15日に「台湾公正選挙国際委員会」を設立し
た。昨日の中央通訊社の記事を下記に紹介したい。
その趣意書によれば、台湾人が苦労して勝ち取った民主主義と人権を守り、外部からの
不当な干渉を阻止し、選挙過程や選挙後においても平和な環境を確保することを目的とし
ている。「台湾公正選挙国際委員会」の英語名は「International Committee for Fair
in Taiwan」で、略称は「ICFET」。
趣意書にあるように、選挙過程もさることながら、選挙後の環境が今回は特に大事だ。
なぜなら、総統選挙と立法委員選挙の投開票日が1月14日に設定されたため、5月20日の総
統就任式までは約4ヶ月もの空白期間ができてしまうからだ。
先にこの「台湾公正選挙国際委員会」について記事を書いた産経新聞の千野境子特別記
者は、台湾公正選挙国際委員会の発起人の一人、許世楷・前駐日台湾代表の「その間に何
か事件や危機が起きたらどうしますか。選挙の後に何が起こるか分からないと危ぶむ人は
少なくない。それで政府、国会にもアプローチ、超党派で国際的な監視を高めたい、とな
ったのです」という発言を紹介している。同感である。千野記者の記事も併せてご紹介し
たい。
◆台湾選挙覆う中国の影:産経新聞(2011年12月6日)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111206/chn11120602440001-n1.htm
「台湾公正選挙国際委員会」が発足
【中央通訊社:2011年12月15日】
【台北 15日 中央社】中華民国総統府でかつて資政(高級顧問)を務めた彭明敏氏が主
席を務める「台湾公正選挙国際委員会(ICFET)」が15日発足した。
台湾をはじめ、日本、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国から集まった政界関係者、学
識専門家から構成される同委員会の名誉主席には李登輝元総統が就任する。
委員会発足の趣旨として「過去30年来、民主・人権のために努力してきた台湾住民の成
果」、「来年の総統・立法委員選の無事進行」、「選挙期間中と選挙後の国内・国際環境
の平和」の3点を確実にすることがあげられている。
なお、来年1月14日投開票の総統選挙を見守るため、ICFET国際委員は来月来台し、台湾
滞在期間中、中央選挙委員会や総統候補者、所属政党などの訪問、選挙活動に関するレポ
ートの聴取、選挙決起集会への参加を予定している。