台湾はなぜ国際社会で孤立したのか  宗像 隆幸(台湾独立建国聯盟本部中央委員)

現在、国際社会で主権独立国家として承認されている国は194か国あり、国連加盟を希望
していないバチカン市国以外の193か国は国連にも加盟している。

 2010年の統計で見ると、台湾の国内総生産(GDP)は約4,300億米ドルで、デンマークや
アルゼンチンより多く、スウェーデンに次いで世界21位であり、台湾の人口は約2,300万人
で、オーストラリアやルーマニアより多く、世界48位であり、台湾の面積は36,000?で世
界135位であるが、面積の少ない32か国の総面積より広い。この台湾が主権独立国家として
承認されず、国際社会で孤立しているのは世界の異常事態である。

 米国が泥沼に落ち込んだ状態であったベトナム戦争からの撤退を公約して、1968年11月
の選挙で大統領に当選したリチャード・ニクソンは、米軍をベトナムから撤退させると、
南ベトナムはたちまち北ベトナムに占領されることになるから、「米国は負けてベトナム
から逃げた」と嘲笑されるので困っていた。中国の力を借りて北ベトナムと停戦協定を締
結しようと考えたニクソン大統領は、朝鮮戦争以来の米国の中国封じ込め政策を180度転換
し、1971年7月にヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官を秘密裏に中国へ派遣して周恩来
総理と交渉させた。

 米国の対中国政策の転換が公表されたら、その年の国連総会で中国の国連加盟が実現す
ることは明らかであった。周恩来が望んだのは、中国が安保理常任理事国として国連に加
盟すると同時に、安保理常任理事国であった中華民国を国連の一般議席からも追放するこ
とだった。

 「中国を代表するのは中華民国か中華人民共和国か」ということが毎年の国連総会で争
われていたが、台湾の法的地位未定が広く国連で認識されたら、中華人民共和国は台湾を
代表出来ないことが明白になり、現実に台湾を支配している中華民国が一般議席に残され
ることは明らかであった。

 そこで周恩来は、米国は台湾の地位未定に言及しないことをキッシンジャーに約束させ
た。その後、中国は同じことを日本にも約束させた。その結果、1971年10月25日の国連総
会で、周恩来が書いた「中華人民共和国の代表が、国際連合における中国の唯一の合法的
代表であり、蒋介石の代表を国際連合および全ての国際連合関係機関から即時追放する」
という決議案が採択された。

 国連憲章には現在も「中華民国は安保理常任理事国である」と書かれたままであり、中
華人民共和国の名称はどこにも書かれていない。このことは、中華民国は1949年に中国大
陸の領土を失った時点で滅亡し、中華民国の権利は中華人民共和国に継承されたことを意
味している。

 台湾を支配しているにもかかわらず、中華民国が滅亡したと見なされたのは、台湾の法
的地位は未定なので、国際法で認められた領土を持っていない中華民国は主権国家として
の資格を持っていないという意味が、周恩来が書いた国連決議案には隠されているのであ
る。

 周恩来とキッシンジャーの機密会談録は、米国政府によって2001年に機密解除された(日
本語訳『周恩来、キッシンジャー機密会談録』岩波書店、2004年刊)。このなかで周恩来
は、自分が書いた国連決議案に「台湾の法的地位未定」が秘められていることを語ってい
る。

 中国の指導者たちは「台湾は中国の領土である」と主張しているが、彼等も台湾の法的
地位が未定であることを知っている筈である。


宗像隆幸(むなかた・たかゆき)

昭和11(1936)年、鹿児島県生まれ。明治大学経営学部卒。同36(1961)年、台湾青年社
に参加、月刊『台湾青年』の編集に従事。同60(1985)年から停刊する平成14(2002)年
まで同誌編集長。台湾人元日本兵の補償問題を考える会幹事などを歴任。台湾独立建国聯
盟本部中央委員、アジア安保フォーラム幹事、日本李登輝友の会理事。主な著書に『台湾
独立運動私記─三十五年の夢』『台湾建国─台湾人と共に歩いた四十七年』『存亡の危機
に瀕した台湾』など。共著に『新しい台湾─独立への歴史と未来図』(王育徳)など。

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