台湾の声
台湾の馬英九政権は、1992年に台湾と大陸(中国)当局が「一中各表」(「一
つの中国」の解釈をそれぞれ表明する)で合意したとする「1992年合意」があり
、台湾側の「一つの中国」は「中華民国」であり、その上で「台湾独立はしない
」と主張している。
一方、このほど中華人民共和国(中国)の対台窓口機関である海峡両岸関係境
界の李亜飛・常務副会長兼秘書長は、「1992年合意」について、「両岸(中台)
がそれぞれ『一つの中国』原則を堅持することを表明した」と発言した。
この中国側の発言内容は馬政権が主張する「1992年合意」に対する回答であり
、馬政権側が言うような「1992年合意」などなかったことを改めて証明するもの
であるほか、馬政権にさらなる妥協を引き出す意図があるとみられる。
台湾の民進党などの野党は、「一つの中国=中華民国」などという「一中各表
」は自分で自分を欺くものであるから、台湾は「台湾と中国は別の国だ」と主張
すべきだと馬政権の「1992年合意」論を批判した。
台湾の馬政権は9月中旬に開かれる国連総会に馬総統の公約だったはずの「中
華民国」の国連“復帰”申請を今年も断念する方針を明らかにした。馬政権は、
断念する理由について、毎年友好国を通じて国連に提案しても毎年却下され、台
湾住民が挫折を感じるほか、提案することは国連を突き上げることになり両岸関
係に影響するなどとしている。台湾は陳水扁総統時代の2007年に「台湾」名義の
国連“新規加盟”申請を初めて行ったが、馬政権になってから馬総統が主張する
「一つの中国=中華民国」と矛盾するため中止されている。