台湾「中国古典」重視を転換 教育改革に野党は反発、立法委員選の争点に
【産経新聞 年11月30日】
【産経新聞 年11月30日】
【台北=河崎真澄】教育課程の改編を進める台湾の教育当局は、歴史教科の分
割案に続き、高校「国語」の改訂案をまとめた。論語や唐詩など中国の古典作品
が最大で実に75%を占める国語教育の現状を改め、古典の比率を全体で五割以
下に抑える内容だ。中国の伝統教育にこだわる中国国民党など野党陣営は、「国
語」改革をめぐっても「陳水扁政権による台湾独立思想の強要」と、反発の構え
だ。
国民党政権当時から続く現行の教育課程では、高校の国語にあたる「国文」の
授業で75%(高三)から55%(高一)を古典が占め、「白話文」と呼ばれる
口語体の現代作品は軽視されてきた。
教育当局は「現代文を重視すべきだ」として改革に乗り出し、古典比率を50
−40%に抑制▽国語の授業時間を週五時間から四時間に削減−などの改革案を
まとめた。
この結果、日本でも漢文の教科書などで知名度の高い司馬遷や諸葛孔明の一部
作品が教科書によっては姿を消すほか、孔子の「論語」などが含まれるテキスト
「中国文化基本教材」は、「必修」から「選択」に移される方向が浮上した。
実現すれば古典偏重が続いた台湾の国語教育の転換となるが、教育の“台湾化”
を問題視する野党陣営のほか、高校の国語教師の間からは反発の声が強く、歴史
課程の分割を含めた教育改革は来月の立法委員(国会議員に相当)選挙の争点と
なっている。
台湾紙・聯合報によると、中国大陸や香港の国語課程では、古典の比率は三割
程度にとどまっているという。