8月27日発行の本誌357号で、本会の多田恵理事による宗像隆幸著『存亡の危機に瀕した
台湾』の書評を掲載しましたが、本誌読者を対象に、定価1,470円のところを割引価格1,300
円で、その上、1冊でも「送料サービス」、しかも「代金後納」でお送りいただけることに
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本書は、なぜ台湾が独立しなければならないかを説いた「台湾独立のバイブル」と言っ
て過言ではありません。宗像隆幸氏が心血を注いで書き上げた論考の一つひとつに、独立
に向けた台湾の苦悩が詰まっています。苦悩を共有したいと思っている関係者ばかりでな
く、台湾の本当の姿を知ろうとする方に、ぜひお奨めします。
ここに改めて多田理事の書評を掲載します。 (編集部)
宗像隆幸著『存亡の危機に瀕した台湾』を推す
−台湾独立に注目する諸賢にはぜひ手元に置かれたい
多田 恵(台湾の声編集部、日本李登輝友の会理事)
■宗像隆幸著『存亡の危機に瀕した台湾−中国は台湾を併合すれば日本を属国にする』
■発行:自由社(2006年8月)本文:236頁、定価:1470円(税込)
■図書コード:ISBN4-915237-43-5
本書では、日本人として45年台湾独立運動に関わり、元『台湾青年』編集長として知ら
れる著者の重要論文を収録し、巻頭には今年二月の李登輝前総統へのインタビューをオリ
ジナル掲載している。論文には重要な事項が典拠を示して網羅されており資料集としても
重宝する。
李登輝氏へのインタビューでは、インタビュー当時ごたごたしていた「国家統一綱領」
廃止を巡る陳水扁政権の準備不足などを挙げ、政治の勉強が必要だと、陳政権への率直で
建設的な批判をあらわにしている。
李登輝氏が1969年、突然憲兵に連行されて一週間にわたり拘束・取調べにあったのち独
裁政権国民党に登用され、蒋経国の死後いかにして「ロボット総統」の逆境の中、二月政
変などの危機を乗り越え権力を掌握していくか、また、いかに中国人の中で中国人のやり
方を学び、対処していったかが吐露されている。著者によって李登輝氏が『台湾青年』を
始めた王育徳氏と日本で会ったことも明らかにされ、陳水扁総統をはじめとする後進に、
政治的手腕や問題の経緯をよく研究して「静かな革命」を着実に継続して欲しいという李
氏の思いが垣間見られる。
台湾の防衛予算がなかなか通過しない問題についても、陳政権の指導力、タイミングの
悪さで政治的駆け引きに利用されたことなど、経験者ならではの指摘をしている。最終的
には国防人事の変更により、指導力を示したと評価もしている。
アジア安保フォーラム幹事でもある著者と、当事者であった李登輝氏の安全保障につい
ての対談部分は、中国の軍事的脅威と日米台安保協力の実像の輪郭をはっきりと示してく
れる。相手を知り、自らの努力を重視する李前総統の着実さや行動力が窺える。全編を通
じて、著者に対してであればこそ李前総統が語ったという側面を感じさせる貴重な記録で
ある。
論文部分は、台湾人が日米の対応を見て情勢判断をし方向を調整している点に触れ、日
米が中国との駆け引きの中で自分の首を絞めるような誤った政策をとらないように呼びか
けている。
また中国人の宣伝や、「一つの中国」という、現実を見ない政策により誤解されている
台湾独立の真の意味と、台湾憲法制定という課題を解説。日米がこの問題を直視し、台湾
の民主主義の深化に誤った圧力をかけないよう理解を求めるものだ。台湾独立に注目する
諸賢にはぜひ手元に置かれたい。
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