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待ちに待った台湾新幹線(台湾高鉄)、私も乗ってみました。
日本の「のぞみ」をベースにした車両ということですが、私が「のぞみ」に乗ったのは
もう10年以上前ですので、比較など不可能です。しかし、走行中の列車の揺れはほとんど
感じず、さらには東北新幹線よりも座席と座席の間隔が広く、十分に足を伸ばして座れる
ため、乗り心地は日本の新幹線よりも良いと思われます。
しかし、「順風満帆のスタート」とはとてもいえない状況で、台湾高鉄は試験営業運転
期間(乗車券半額優待期間)を1/31までに延長することを1/15に発表しました。(当
初の試験営業運転期間は1/5〜1/14、その後トラブルが相次ぎ〜1/19までに延長し
たので今回で2度目の延長です)
日本にはあまり聞こえて来ませんが、どのようなトラブルが発生しているのでしょうか?
主に次のようなものがあります。
・乗車券の2重発券により乗客の座席がない(ほぼ毎日)
・券売機の故障により乗車券が買えない
・発券システムトラブルにより乗車券が買えない
・自動改札口の故障により乗客は臨時口より入出場
・車内に煙が充満
・乗車扉の開閉状態を確認する装置の故障により列車運転が遅延
・台南駅で乗車扉の開閉が異常になったものの運転手が気づかずに定刻どおり発車したた
め乗客が上下車できず、再度列車が台南駅に戻る
この10日間、記憶しているだけでもこれだけの大小のトラブルが発生しています。その
中で、車内に煙が充満した理由は乗客がトイレで喫煙し、燃えがらがゴミ箱内で引火、そ
のまま車内の空調を経由して煙が充満したということなので、乗客のモラルの問題です。
しかし、その他のものについてはほとんど原因説明がなされておらず、回復に向かってい
るのかどうかもわからないのが現状です。
「乗車券の2重発券」はいくつかの理由があるようですが、その中で説明のあったのは
「発券済座席のデータベースをプログラマーが誤って開放してしまい、再度別の乗客に販
売してしまった」という大変お粗末な原因で、苦笑するしかありません。
もちろん弁解にならない弁解をすれば、高鉄運転開始以降様々なプログラムトラブル(
上記以外に券売機で同時に複数枚の乗車券を購入しても座席が隣同士にならないなど)が
発生し、プログラマーは睡眠時間を削ってプログラム改修に勤(いそ)しんでいるため、
集中力が低下し更なるソフト不良を招いたというのがおそらく実情でしょう。
さらには発注者(高鉄)からのプレッシャーも非常に大きく、作成プログラムの確認時
間が少なかったのかもしれません。
もちろんこのようなことは台湾に限った話でなく、日本でも同様です。通常システム不
良が発見された時は発注者とプログラマーが協調して問題解決に当たるのですが、もちろ
ん発注者はプログラムのことなどわからないので、
発 注 者 :プログラム不良原因究明までどのぐらいの期間が必要か?
プログラマー:1週間あれば究明できます。
発 注 者 :1週間も待てない。もっと短期間でできないか?
プログラマー:それでは3日間で頑張ります。
というような会話が行われてしまいます。この「3日間」はプログラマーが言ったとい
うより発注者に言わされた3日間ですが、3日間で原因究明できなければまた「約束を守
らなかった」と言われるために、結局、睡眠時間を削り集中力が低下する環境下で改修に
当たるしかないのです。
(私のサラリーマン時代がそうでした。私は発注者側でしたが、発注者側担当も上司やお
客さまの要求に応えるために必死なんです。これも上司の要求は言い訳にはなりませんね)
もっとも、私の偏見で言わせてもらえば、一つのプログラム不良が与えるお客さまや社
会への影響度について、プログラマーは理解はしていても実感はしていないと感じます。
数多(あまた)の大小のプログラムを扱っているプログラマーにとって所詮プログラムは
プログラム、どんなに発注者が重大性を説明してもわかってもらえない空気を感じたもの
です。
さて、話題が脱線しましたが、このように台湾新幹線はまだまだ順調とは言えません。
一時は試験営業運転の停止も検討されていましたが、とりあえず人命に影響するようなト
ラブルは皆無であると判断したのか試験営業運転を延長しその間に問題解決を図るという
ことに落ち着きました。確かに乗り心地は最高なので、1日も早い正常運転を期待したい
ものです。
また、明るい話題として、まだ運転が開始されていない「台北〜板橋」間ですが、早け
れば1月末にも運転可能というニュースが流れています(ここまで何度も運転延期されて
きたのであまり信用はできませんが……)。
この「台北〜板橋」間の開通は大変大きな問題で、多数の乗客が予想される春節(台湾
のお正月:今年は2/18)までにこの区間が開通するかどうかは乗客の利便性に大きく影
響を与えます。
板橋駅は去年MRT(地下鉄)がようやく開通し、板橋から台北市内の交通は便利にな
ったとはいえ、券売機、改札共に少なく、多くの乗換客に対応可能な設計はされていませ
ん。ですからこのニュースが真実になることを期待したいと思います。
ガンバレ!台湾新幹線!!
*中西功氏は、青森李登輝友の会事務局長、青森日台交流会事務局次長、第4回台湾李登輝
学校研修団卒業生。昨秋より台湾に語学留学中。一昨年の「日台共栄の夕べ」で台湾往
復のフリーチケットが当たった。