【中央社:楊明珠記者:14日東京発】国家安全会議諮問委員の楊永明氏は「日本李登
輝友の会」の招待を受け、日台関係をテーマにしたシンポジウムで講演を行った。
楊氏は講演の中で、中華民国の馬英九総統は対日関係を重視しており、日台関係を深
めていくことは台湾にとって重要課題であり、台湾海峡における両岸関係は経済問題を
主として対話が重ねられており、中国の軍事力は依然台湾にとって最大脅威である。日
本は民主主義価値観を共有する台湾のパートナーであり、自分は「友日派」になりたく、
また「知日派」にもなり、日本の精神、文化、日本人の考え方等を理解したいと述べた。
楊永明氏は基調講演で次のように述べた。
日本と台湾は地理、歴史、文化面において共通点があり、米英あるいは日米関係と同
様に外来要素の影響を受けることはなく、両岸関係の改善が日台関係に影響を及ぼすこ
ともない。馬総統も日米安保体制を支持すると早くから表明している。
台湾海峡における両岸関係は経済問題を主として対話が重ねられている。中国の軍事
力は依然台湾にとって最大脅威であり、馬総統の政策は「不統、不独、不武」(統一せ
ず、独立せず、武力行使せず)であり、両岸の対話の積み重ねが、東アジアの繁栄と安
定化に繋がる。
また今後、日台間は平和的かつ理性的に入漁権交渉を進め、共同開発と管理問題も討
論していきたい。その他、日台自由貿易協定(FTA)の早期締結を希望し、貿易経済
関係を強化し、台湾が国際組織に参与するための日本側の協力を望み、羽田空港―松山
空港・桃園空港間における定期航路を早期実現させ交流を促進させていくことを強く望
む。
シンポジウムには前駐米公使の岡崎久彦氏、評論家の黄文雄氏、知性派キャスターの
櫻井よしこ氏、外交評論家の田久保忠衛氏、メールマガジン「台湾の声」の林建良編集
長がパネリストとして登壇した。
岡崎氏は、馬政権発足後の日台間が信頼関係に乏しいことは、6月に起きた漁船「聯
合号」衝突事件から看て取れる。台湾の立法委員から軍艦と多数の巡視船を出動させる
べきとの声が出た。台湾の内部世論による影響を受けた馬政権が件の発言をしたとして
も、先に一声連絡を取るべきだ。李登輝前総統と陳水扁執政時代の10数年間は、李・陳
両氏が何を考えているか日本人は知っていたので心配をしていなかったが、現在となっ
ては日本人の心配は増している。と述べた。
(櫻井よしこ氏から寄せられた幾つかの質問に対する楊氏の答えは以下の通り)
櫻井氏:馬政権の施政に対する台湾人の満足度はなぜこんなに落ちているのか? 台
湾は両岸間の直行便を就航させ経済発展面では過度に中国に頼っている。将来的には中
国の一部分になるのではないか? なぜ台米間の武器購買が順調ではないのか? 「聯
合号」事件以降、中国外交部は日本に対し強硬な声明を発したが、将来台湾が中国と手
を組んで日本に対処するのではないか?
楊氏:馬政府の支持率がなぜ降下したかは総統自身にもわからないが、両岸関係の改
善、経済問題は短い期間では効果が見えてこない点が理由かもしれない。
「聯合号」事件発生当時、発足して間もない馬政府内部は確かに連携が取れていなか
ったが、馬総統が日本に対し「一戦を辞せず」と言ったことはない。
釣魚台問題で、台湾が中国と連携して日本を制することは絶対にない。事件発生後、
中国政府が発した声明には馬政府も困惑を感じている。
アメリカから台湾への武器売買が遅れ、購買が停止している件については、問題はア
メリカ側にあり、可能性として11月まで待ち、大統領選情勢が明るみにでたときに、武
器購買の案件を発展させたいというアメリカ軍側の意見がある。
岡崎氏:陳水扁政府の過ちによって武器購買が順調にいかなくなったと言う人がおか
しなことに台湾側にいる。アメリカ側に問題があると言う人もいるが、実際は中国が足
を引っ張っている。
田久保氏:2002年10月に、当時の江沢民中国国家主席がアメリカに対し、台湾への武
器売買を止めるよう条件をすでに出していた。
今回のシンポジウムには約300人が出席した。閉会の辞を述べた「日本李登輝友の会」
小田村四郎会長は、台湾と中国は国と国の関係ではない、と馬総統は外国メディアの取
材では言及しているが、馬総統が国際間で何と言おうと、守護主権があってこそ一つの
主権国家になるのであると述べた。小田村会長は、台湾はすでに主権独立国家であると
見ている。 (翻訳:メルマガ「日台共栄」編集部)