台湾の株価が下がり続けている。5月の就任時に9068ポイントだったのが、国際的な
金融危機の影響もあって10月24日には4579ポイントと、下落率は50%にも達した。時価
総額にして10兆元以上になるという。
一方、馬英九総統に対する支持率(満足度)も軌を一にして下がり続けている。TV
BSの世論調査では、汚染粉ミルク事件が発生後の10月2日には23%まで下がり、不支持
率(不満度)は59%にも達している。劉兆玄・行政院長に対する支持率はさらに下がり
19%にも落ち込んでいる。
日本の福田康夫内閣は昨年9月26日に発足した時点で53%の支持率(朝日新聞調査)
だったが、就任3ヶ月目の12月には31%に落ち込んで「異常」と評された。8ヵ月後の5
月には20%とさらに下落し、不支持は59%に上昇していた。そして、9月1日夜の突然の
辞任表明に至る。
こうして見てみると、馬英九政権と福田内閣に対する世論の動向はよく似ている。
「相手の嫌がることをしない」といって靖国参拝を忌避した福田首相の対中国姿勢は、
馬総統の対中国姿勢とも重なってくる。
表向きは台湾経済のためと称しながら対中経済依存を深めていくものの、一向に経済
は回復せず、失業率に至っては9月は4・27%(行政院主計処:10月22日)にも上昇し、
2005年8月の4・36%に次ぐ、この3年間で最も高い値になっているという。企業の倒産件
数も昨年の同時期の2倍になったという。
このような馬英九政権に対して、ようやく民間の勢力が動き出した。それが25日行わ
れた民進党の「反政権集会」の参加者60万人という数字によく表れている。民間が馬英
九政権に対して明確に「ノー」と言いだしたのである。李登輝元総統も「台湾の国家主
権と安全を守るために行動せよ」と、同党主催の反政権デモへの参加を呼びかけ、「台
湾の前途は台湾人民が決めることで、胡錦濤(中国国家主席)や馬英九(総統)が決め
ることではない。台湾を売り渡すな」と馬政権を批判した。
本年1月の立法委員選挙、3月の総統選挙でねじれた台湾のいわゆる「独立派」勢力に
ようやく連動する動きが出てきた。民間の「独立派」勢力が一政党(民進党)応援団に
なってしまっては、社会変革のエネルギーは出てこない。
またぞろ台湾では特務が動き出して、蒋経国時代に戻りつつあるといわれる台湾の
現状だ。民の活力に期待したい。 (編集部)