今年で4回目となる「台湾出身戦歿者慰霊祭」が昨12月7日、李登輝学校日本校友会
(片木裕一理事長)の主催により靖国神社において斎行された。
午後2時15分、小田村四郎・日本李登輝友の会会長や斎藤毅・台湾協会理事長、松前孝
廣・NPO法人育桜会理事長、など約60名が参集殿に集合した。その中には、この日の午
前中に都内で行われた「李清興さんを偲ぶ会」にわざわざ台湾から駆けつけていただいた
黄麗華・李清興夫人とお子さん2人、李清興さんの実兄の李欽賢ご夫妻の姿もあった。ま
た、仙台、福井、岐阜など遠くから駆けつけた李登輝学校研修団卒業生もいた。
2時40分ころ本殿に参進。小田村会長と祭文奏上の柳田敬一郎・第7回李登輝学校研修団
団長が玉串を奉奠、それに合わせて参列者も拝礼して正式参拝した。
その後、柳田氏が真心こもる祭文を奉読、27,600余の台湾出身戦歿者の御霊に慰霊の誠
を捧げて顕彰し、しめやかな中にも厳粛な雰囲気に満たされた慰霊祭となった。
参拝後は靖国会館に移動して講演と懇親会を開催。李登輝学校日本校友会理事の門田永
稔氏(3期生)が司会をつとめ、主催者を代表して片木理事長が開会挨拶。今夏、靖国神
社に初めて参拝した新竹県尖石郷新楽村に住むタイヤル族マリコワン群尖石郷の總酋長、
セホタナ氏(賽侯大納、70歳、漢名・李永平、日本名・前川一郎、)が靖国神社よりいた
だいた従兄の前川行則命(タイヤル名・ライサ・ノカン)のご祭神票に基づく資料などを
紹介した。
引き続き、小田村会長が「馬英九政権は大丈夫か」と題して30分ほど講演した。
小田村会長は冒頭で柳田氏の祭文に触れ、台湾出身戦歿者は朝鮮半島出身者の戦歿者
21,000柱よりも多いが、当時の人口比からしていかに台湾出身戦歿者が多かったかを指
摘し、高砂義勇隊のポートモレスビーやフィリピンでの獅子奮迅の活躍ぶりを紹介。
小田村会長は一方で靖国神社の崇敬者総代責任役員をつとめられてもいて、「靖国神社
の務めは戦歿者の慰霊と顕彰にあり、高砂義勇隊慰霊碑はじめ台湾出身戦歿者の功績を顕
彰していかなければならない」と、この慰霊祭の意義を強調した。
本題に入ると「未だに馬英九政権はよく分からない」として、金美齢さんが12月5日の
産経新聞に掲載された「『母国に捨てられる』寂しさ」という一文に触れて共感を示すと
ともに、その懊悩の元である馬英九総統の国民党政権について「馬英九氏は総統選挙で台
湾人を強調して当選したにもかかわらず、総統就任後は中国一辺倒になった」ことを、就
任演説やその後の中国への一方的な譲歩ぶりを説明した。
日本との関係でも、6月の尖閣問題については、台湾の遊漁船が日本の領海を侵犯した
のだから、謝罪すべきは台湾ではないのかと喝破。劉兆玄・行政院長の「一戦も辞さず」
発言や許世楷大使召還などについては「常識外の外交姿勢」と指弾した。
また、台湾正名運動にも触れ、台湾郵政を中華郵政にしたり、パスポートから「TAI
WAN」を消し去るなどの措置について「今の国民党は台湾が嫌いなのかと疑わざるを得
ず、まったく理解できない」と疑念を表明。
その他にも、日本が慰安婦の強制連行をしたとして立法院で日本非難決議したことや、
馬英九総統が反日団体「中華保釣協会」に「和衷共済」の掛け軸を贈呈したことなどを
「これは大変な反日行動」とも指摘し、「先の見えない話ばかりで申し訳ないが、日本に
とって台湾は生命線なので、このような危ない馬英九政権の台湾と日本の関係をどのよう
に切り開いていったらよいのか、今後とも皆様と力を合わせて打開していきたい」と結ん
だ。
その後、懇親会に移り、斎藤強・台湾協会理事長の献杯で開糧、定刻まで懇談が続きつ
つがなく終了した。
(編集部)