昨年11月22日から4泊5日の日程で、第18回「日本李登輝学校台湾研修団」が行われまし
た。日本李登輝学校台湾研修団は平成16(2004)年10月から始まっていますが、参加者は
第1回の63人に続いて多い50人。団長は本会大阪府支部役員で元商社マンの衛藤慎吾(えと
う・しんご)氏、副団長は神奈川県支部役員で税理士の江成雅子(えなり・まさこ)さん。
初参加で、スタッフとしても大活躍の国立台湾大学農業経済系に在籍する内田直毅(う
ちだ・なおき)氏に研修の模様をレポートしていただいたので、2回に分けてご紹介したい。
なお、次の研修団は4月19日〜4月23日に実施。この第19回研修団では、台湾の戦後史を
知るため、かつて政治犯を収容していた絶海の孤島・緑島などを視察します。現在、参加
者を募集中です。研修内容の詳細は本会ホームページをご覧ください。
◆第19回・日本李登輝学校台湾研修団』のご案内
http://www.ritouki.jp/index.html
●第19回「日本李登輝学校台湾研修団」お申し込み【締切:3月20日】
http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0139.reg
充実した講義と野外視察に感激!
内田 直毅((国立台湾大学1年生)
◆第4日目 11月25日(日)
この日は打って変って非常に良い天気に恵まれ、基隆から宜蘭に移動。はじめに、「西
郷堤防」を築いた西郷菊次郎・初代宜蘭庁長を記念し、宜蘭川のほとりに建立された「西
郷庁憲徳碑」を見学。
この宜蘭川の堤防の建設に当たり、述べ74万人が動員され、3万9300円の建設費用、1年5
ヵ月の歳月がかけられたということです。この堤防のお陰で、台風直撃による洪水、河
川の氾濫に関連する災害が少なくなり、付近の農民たちの生活は安定し、田畑での農作物
の収穫は増加したそうです。
続いては宜蘭設治記念館を見学。この建物は太平山から切り出された檜を使って建築さ
れており、宜蘭の約200年の歴史を展示する記念館として一般にも公開されています。元々
は日本統治時代の庁長官舎で、敷地面積は800坪にもおよび、室内の床や、畳、障子など
は、ほとんど当時の通り復元されています。
昼食の後には、宜蘭神社跡(現在は員山公園)見学。日本の神社と同じく、本殿に続く
階段が真っ直ぐ通っています。ただ、参道の傍らには、明らかに意図的に、複製の神馬が
半身土に埋まった状態で置かれていたり、燈籠の基座などが無残に破壊されて放置されて
いるのが見えました。戦後、国民党に接収され、忠烈祠になったとはいえ、自分自身理解
に非常に苦しむ光景でした。
その後、台湾初の本格製法ウイスキー「カバラン」を作り上げることに成功した金車公
司のウイスキー工場を見学。伝統醸造の精神を守りながら、高度な科学技術を加え、高い
純度と品質を誇る最高級のウイスキーは、世界の品評会でも非常に高い評価を得ているそ
うです。
◆第5日目 11月26日(月)
研修最終日、ホテルで朝食後、李登輝基金会で午前10時から李登輝先生の特別講義。李
登輝先生は、満面の笑顔で研修生50名を歓迎して下さいました。
特別講義は穏やかな雰囲気で始まりましたが、日台の絆、東日本大震災からの復興、そ
して日本人よ、アジアを、そして世界をリードせよ、と鼓舞する李登輝先生の熱弁に心を
揺さぶられました。
日本精神はどこに行ってしまったんだ、と問いかける李登輝先生の姿、イアン・ブレマ
ー氏が著した『Gゼロ後の世界』を取り上げ、主導国なき時代へ突入した現代、真の日本
人のあり方が問われる、と叱咤激励された李登輝先生のお言葉に、日本人として勇気をい
ただき、感無量の思いでした。
そして、最後に李登輝先生から一人ひとりに研修修了証が手渡され、握手をしていただ
きました。
私は、このたびの研修で、日台の絆について再認識し、この台湾での生活、そして周り
の方々の思いやりや心遣いに日々感謝すると同時に、若い世代に託される日台関係の相互
発展に自分なりに努力を続けていこうと誓いました。兄弟のような深い絆を再認識した素
晴らしい研修でした。
(了)