純彦座長)メンバーで、30代から台湾の独立建国運動に携わってきた小林正成(こばやし・
まさなり)氏がこのほど『台湾よ、ありがとう(多謝!台湾)─白色テロ見聞体験記』を
展転社(てんでんしゃ)から上梓した。
本書は、台湾独立建国聯盟日本本部(当時は台湾独立聯盟)の秘密盟員だった小林氏が
1971(昭和46)年5月9日の「母の日」、台北市内のビルから台湾の民主化と独立を求める
ビラを気球からばら撒いた事件を中心に描いた半生記。2004年に私家版の『多謝、台湾─
白色テロ見聞体験記』として出版されたが、今回、文章を整理して補足説明を加え、タイ
トルも新たに出版された。
気球を上げるため、当時の台湾独立聯盟委員長だった許世楷氏(元台北駐日経済文化代
表処代表)らと模擬実験をしたり、逮捕後に収監されていた台湾警備総司令部における獄
中闘争などが、さながら未知の危険を次々と乗り越えてゆく冒険小説のごとくつづられて
いる。軽妙な筆致が300ページにも及ぶ物語を一気に読ませる。
許世楷、黄昭堂、宗像隆幸、金美齢、彭明敏、許文龍、蔡焜燦といった日本でもよく知
られている方々がすべて実名で登場する。小林氏が逮捕されたとき、金美齢さんが奥さん
に送った感謝の手紙の全文なども収録されていて、貴重な歴史資料の側面も持つ。
本書はまた、李登輝元総統から懇篤な推薦の辞もいただいている。その全文を下記に紹
介するとともに、台湾関係者に一読をお勧めしたい。
ただし、書店での発売は10月3日くらいからで、版元の展転社に申し込めばすぐ送ってく
れる。
なお、本会のfacebookでも、本書を手にした小林正成氏の写真とともに出版を祝する記
事を掲載している。
◆日本李登輝友の会facebook[2013/9/27] https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=304294809712916&id=190002921142106
◆李登輝元総統:推薦の辞
「こういう日本人がいたことに驚いた。戦後台湾の白色テロ時代に、台湾の民主化を要求
するビラを気球に積んで台北の空からばらまいたとは、当時を知る私には信じがたい事実
だ。我が身を顧みず台湾のために尽力した日本人は少なくないが、小林氏もその系譜に連
なる躬行実践の人だ。本書は、台湾の民主化の陰に日本人も関わっていた歴史を証す台日
交流秘話と言ってよい」
・書 名:『台湾よ、ありがとう(多謝、台湾))─白色テロ見聞体験記』
・著 者:小林正成
・体 裁:四六判、並製、296頁
・版 元:展転社
・定 価:1,890円(税込み)
・発 行:2013年9月29日
◆ご注文:展転社ホームページ
http://www.tendensha.co.jp/
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小林正成(こばやし・まさなり)
昭和8(1933)年10月20日、千葉県海上郡生まれ。同24年、中学校卒業後、八幡鍍金(めっ
き)工業に就職。厳しい修行を経て同29年、東亜鍍金工業を設立。同42(1967)年、初の
海外旅行先として台湾を訪問。2度目の訪台後、東大留学中の鄭欽仁・台湾大学教授と出会
い、同43年、鄭教授を通じて台湾独立聯盟に秘密盟員として加盟。同45年、台湾に台日合
弁鍍金公司を設立するも操業妨害に遭い翌年に閉鎖。同46年5月9日、台北市内のビルから
気球を打ち上げ台湾の民主化と独立を訴えるビラを撒布。同年5月11日に叛乱罪で逮捕され
8月31日に出獄。出獄時に謝聰敏氏の書簡を秘密裡に持ち出し、後日、全文が「ニューヨー
クタイムズ」に掲載。同50年、東亜鍍金工業を閉鎖するも、同53年、重量物搬入据付工事
を請け負う雄和を設立して現在に至る。
現在、台湾独立建国聯盟日本本部顧問。日本李登輝友の会「日米台の安全保障等に関する
研究会」委員。