口のバスターミナルでは、日の丸の小旗や緑の台湾旗を手にした50人を超える歓迎の人々に握手し
ながら車に乗り込まれ、訪問先の「総合南東北病院・BNCT(ホウ素中性子補足療法)研究セン
ター」へ。
総合南東北病院では、理事長の渡邉 一夫氏をはじめ、瀬戸?一・BNCTセンター長、吉本高
志・最高顧問、寺西寧・院長などが出迎えました。BNCT施設は瀬戸BNCTセンター長が説明
しながら案内しましたが、林慎平・本会福島県支部長や野地純一・同支部幹事長、総合南東北病院
とご縁のあるエッセイストで本会会員の酒井杏子さんなども同行しました。
陽子線や重粒子などの放射線治療に詳しい李元総統は、台湾で癌による死者が多いことや自身の
大腸がんの経験を挙げて「どうにかして癌を減らしたい」と述べ、台湾への導入に意欲を示されま
した。
また、実際に治療に使用される予定の加速器などをご覧になりつつ、それらの治療法とBNCT
による治療法の違いや治療費などについて質問され、説明役の瀬戸センター長が返答に戸惑う場面
もあり、瀬戸センター長はその深い知識に裏づけられた鋭い質問に感心した様子でした。
地元紙の「福島民報」が訪問の様子を伝えているので、下記にご紹介します。
台湾の李元総統が初来県
【福島民報 :2015年7月25日】
来日している台湾の李登輝元総統(92)は24日、福島県郡山市を訪れ、最先端のがん治療を目指
す南東北BNCT研究センターを視察した。来県したのは初めて。
同センターには、ホウ素を取り込ませたがん細胞を中性子で破壊する「ホウ素中性子捕捉療法」
(BNCT)の装置が設置されている。
李氏は「台湾ではがんによる死亡率が高く、日本が誇る最新のがん治療を見たかった。ぜひ台湾
でも導入したい」とあいさつ。瀬戸?一センター長らから治療法の説明を受け、治療装置などに興
味深そうに見入り、盛んに質問していた。視察終了後、李氏は本県の印象について「震災からの回
復を感じた」と記者団に述べた。
センターを運営する脳神経疾患研究所の渡辺一夫理事長は「李氏のBNCTに対する大きな期待
を感じた。国の協力を得ながら治療法を世界に広めていきたい」と語った。
李氏は25、26の両日、宮城県の震災被災地などを訪れる。