載の「宮家邦彦のWorld Watch」で「実態は同床異夢」と冷静な分析をした「中台首脳会談は歴史
的か」を紹介した。
実はこの宮家氏の一文に瑕疵があった。宮家氏は下記のように記していた。
<米国は、中国が主張するという事実こそ認めたが、主張内容自体を認めてはいないのだ。日本の
考え方も基本的には同様である。
いやいや73年、大平正芳外相は台湾問題が「基本的には中国の国内問題」だと答弁しているでは
ないかとの反論もあろう。>
瑕疵とは、大平外相答弁を「73年」と記したことだ。本誌で宮家氏の「World Watch」を紹介し
たその日(11月13日)、本会から産経新聞に「73年ではなく、72年の間違いではないか」と、1972
年11月8日の衆議院予算委員会における大平外相の答弁(下記)を付して質問していた。
<中華人民共和国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には、中国の国内問題であると考えま
す。わが国としては、この問題が当事者間で平和的に解決されることを希望するものであり、か
つ、この問題が武力紛争に発展する現実の可能性はないと考えております。 なお、安保条約の運
用につきましては、わが国としては、今後の日中両国間の友好関係をも念頭に置いて慎重に配慮す
る所存でございます。 >
すると、週明けの11月16日、宮家氏本人から本会事務局へ直接連絡があり「73年の表記は誤り
で、正確には72年11月8日、衆議院予算委員会における大平正芳外相の答弁だった。ご指摘いただ
きありがとうございました」と、お詫びと御礼の電話が入った。
宮家氏本人からの連絡にいささかビックリしたものの、宮家氏の馬習会談についての論評は大事
なポイントを押さえているので、自らその瑕疵を認めて電話をいただいたことに恐縮した。
この件は、すでに本会ホームページで掲載し報告している。宮家氏が分析するように「この程度
で台湾有権者が国民党を見直すとは思えない」馬習会談であり、本誌でも「馬習会談は総統選や立
法委員選に影響を与えるためのものではなく、中国の統一について、馬氏が中国側に確認するため
の会談で、台湾の人々に負の遺産を押しつけた会談だった」ことを改めて確認する意味で、本誌で
も報告した次第だ。
◆中台首脳会談は歴史的か 宮家 邦彦(評論家)
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20151112/
※2:産経新聞に問い合わせたところ、11月16日に著者の宮家氏から本会事務局へ直接連絡があ
り、73年の表記は誤りで、正確には72年11月8日、衆議院予算委員会における大平正芳外相の
答弁だったとのこと。