は繊維大手の遠東新世紀が「中国から生産拠点を多様化するにあたり、『ベトナムほど適した市場
は考えられない』と事業拡大を示唆した」と日本経済新聞が報じている。
遠東新世紀は「1949年に『遠東紡織株式会社』として創立され、本業の紡績業を築き上げまし
た。その後、紡績の原料となるポリエステル化学繊維等産業、さらに、石油化学産業にも進出し、
台湾の化学紡績繊維業界においては、初めて上流の石油化学原材料から下流のポリエステル関連製
品まで、垂直統合生産システムを確立した会社」で「経営多角化の理念のもとで小売業、運送業、
セメント建材事業、金融業、電信事業や不動産開発・投資事業を含む多くの分野に進出」(徐旭
東・遠東グループ 代表取締役会長)しているという。
昨日も記したように、蔡英文政権は現在、東南アジア、南アジア、オーストラリア、ニュージー
ランドなどの国々と互恵互助の協力関係を強化しようと「新南向政策」を推し進めている。
台湾プラスチックが販売網を中国からインド、トルコ、インドネシア、ベトナムなどへ拡散させ
る方向転換、また遠東新世紀が生産拠点を中国からベトナムに移そうとする動きは、蔡政権の「新
南向政策」を強力にバックアップすることになるだろう。
台湾の遠東新世紀、ベトナム事業拡大を示唆
【日本経済新聞:2016年10月20日】
■遠東新世紀(台湾の繊維大手) 胡正隆総経理は中国から生産拠点を多様化するにあたり、「ベ
トナムほど適した市場は考えられない」と事業拡大を示唆した。賃金や関税の低さからベトナムが
最適の進出先だと判断した。
胡氏は17日の貿易展示会で「新しい生産拠点をつくるにあたってベトナムほど適した市場は考え
られない。ベトナムは安価で質の高い労働力を提供してくれるし、環太平洋経済連携協定(TP
P)の恩恵も受けられる」と指摘した。
胡氏によると、同社はベトナムの生産ラインを2倍に増やす計画を進めている。染料工場と仕上
げ工場の生産量は1年以内に300%以上に増える見通し。ベトナムではさらに織物工場と紡績工場
を増やす計画だ。
遠東新世紀はナイキ、アンダーアーマー、アディダス、H&M、コロンビア、ユニクロ、Jク
ルーなどの世界的なブランドに生地を供給している。
(台北=鄭婷方)