【論説】2010年中国経済の危機

【論説】2010年中国経済の危機
【論説】2010年中国経済の危機

            時局心話会代表 山本善心

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆お知らせ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
6月10日(水)「政民合同會議」に中嶋嶺雄氏(国際教養大学理事長)が
登場!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆お知らせ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
6月17日(水)「時局プレス会議」に林建良氏(「台湾の声」編集長)が登場
詳細は本メール下部をご覧下さい

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 3月13日、中国共産党中央政治局常務委員である李長春氏の歓迎レセ
プションが、ホテルニューオータニで行われた。当日は「日中友好協会」「日
中協会」など7つの友好団体や関係者が多数参加。李氏は「日中友好交流
は2000年を迎えましたが、1972年に国交正常化が締結され、日中関係
が今日の緊密な関係に発展できたのは喜ばしいことです」と述べた。

 また「日中両国が繁栄するために協力が必要な時がきたと思います。日
中両国は世界最大の米国債保有国であり、米金融市場安定の鍵を握って
います」と強調。米国ドル資産への不安に警戒を強める態度を示した。

 米中両国は運命共同体として経済発展してきたが、米国の金融破綻で、
中国の不安と危機は深刻さを増している。中国は米ドルを大量に保有して
おり、為替相場の安定のため米ドルに代わる国際通貨の開発を検討して
いるが、上手くいっていない。それどころか国内では「失業大軍」がじわじわ
と中央政府に迫り、政権打倒一歩手前だ。また中国共産党の解放軍が巨
額の軍事費増大を要求し、財政赤字を膨らませている。

家電は内需拡大の牽引力

 3月13日、第11期全国人民代表大会(全人代)が開かれた。ここで世界
の経済危機に対する中国の対応と今後の中国経済に関して、報告・草案
の決議が行われている。今、中国経済発展の牽引力として「�内需拡大、
�就業の促進、�経済成長の確保」など、今後の方針が決議された。

 具体的には工業・情報化部の李毅中部長が「家電を内需拡大の牽引力
にしたい」と提案、農村の家電普及に200億元の予算をつけることが了承
された。すでに家電価格の13%は政府からの補助金で賄うことが決まった。
農村の家電普及は未開拓の分野で、これに付随して電子製造業による家
電工業の牽引が期待されよう。のみならず、鉄鋼や薄板、化学工業、機械
製造工業分野にも影響を与え、失業対策と内需拡大の決め手となる。

 沿海地域と内陸地域の農民では製品の価格や種類の需要に違いがある
が、今回の普及対象の大方は内陸地域である。今後は3年を一つの単位
とした家電普及を内需拡大の目玉にしたいとの意向だ。就業の促進に大き
く寄与すると期待されている。

内需拡大に問題あり

 家電による内需の牽引は注目すべきであるが、農村では「貧困者の貧困
化」が深刻だ。貧困農村から押し出された貧困者「民工」をどうするかが頭
の痛いところである。収入の少ない農民は9割がその日暮らしだ。消費する
能力のない農民に家電が売れるのか。

 昨年11月、政府は4兆元(54兆円)の緊急景気刺激策を発表した。これ
らが地方や農村にどれほど効果を出せるかは今後の政策次第である。地
方官僚が一部の富裕者と組んで利益共同体を構成する仕組みができあが
っており、金融、不動産、利益団体などに中央が介入できる余地は少ない。
日本における霞ヶ関体制の地方版といったところだ。

 国の景気刺激策を逆手にとって、地方の不正と腐敗が暴走する事態も考
えられよう。政府の内需拡大策は所得再分配、農村開発、雇用を吸収でき
る大規模なものだ。世界経済の停滞により、中国の生産力の長期的な低迷
が不安視されている中、農村はさらなる貧困の拡大に襲われるとの見方も
ある。

農村の実態

 全国政治協商会議は「第一回中国人口資源環境発展態勢分析会」を開
催した。そこで「失業大軍は2400万人いる」「相次ぐ企業の倒産による10
00万人の出稼ぎ農民を加えると3400万人になる」と発表されている。実
際の失業率は10%近いとみられている。

 有毒食品問題をはじめ、中国製品に対する世界の不信感と最近のコスト
高が原因で外資が撤退し、倒産が相次ぐ事態は深刻だ。この問題を修正
するのに当面時間がかかるのは仕方あるまい。しかしこの問題が修復され
なければ、企業倒産はさらに加速しよう。これら連鎖的な経済危機が原因
で離婚が相次ぎ、若者の生活や夢を奪っている。自殺者数は我が国(3万
人)の50倍以上に達していると聞く。

 中共第17期全会の農業に関する「第三次土地改革」(土地を私有化、担
保や譲渡の対象にできる)は今や幻想と化した。ましてや農村地域の役人
腐敗が失業を加速させていよう。追いつめられた「失業大軍」3400万人は
いつ大暴動に転化するか分からない、中国崩壊の予備軍である。

米国に資産の安全を要請

 世界的な金融危機と輸出減少に直面している中国経済が生き残るには、
家電を持たない9億の農民をターゲットにするしかない。だが09年以降、農
業・農村・農民に関する経済的、社会的矛盾が噴出し、深刻な事態になって
いる。家電普及と内需拡大政策の難点は、農民の消費能力である。

 中国は大量の米国債とデリバティブ金融商品を購入しており、米国経済の
動向次第で中国資産の大半が紙屑同然になる。温家宝首相は次のように
語っている。

「中国は米最大の債権国であり、米国は世界最大の経済体でもある。我々
は米経済の発展に関心を寄せている」「外貨準備高の問題では、我々は国
家の利益を第一に置いているが、同時に世界金融全体の安定も考えなけ
ればならない。我々は巨額の資金を米国に貸しているが、少し懸念がある。
米国は約束を守り、資産の安全を確保するよう重ねて言明する」(人民日
報09.3.24)

中国経済の減速

 この発言に見られるように、中国は米国と運命共同体、一蓮托生の関係
だ。米国債保有高は2000年には620億ドルだったが、現在は5850億ド
ルと8年間で10倍近く増加、日本を抜いて世界一となった。それだけに米
国経済の影響を最も受けやすい。

 中国経済は広大な陸地面積と推定13億人という人口の多さが売りだ。ま
た世界各国から70%以上という投資ブームの上に築かれており、製造業も
7割が世界の資本と技術に頼ってきた。しかし製造業の外資が撤退を始め、
失業者が増大している。中国は経済大国というが、金融投資ブームに便乗
したバクチ国家だ、との声も聞かれよう。

 中国の繁栄は、我が国のような消費者の力や技術の蓄積などで長期的に
作られたわけではなく、外資と安い労働賃金による下請け工場で築かれて
いる。中国経済は海外需要の停滞と金融破綻に見舞われた。

地方政府と先軍政治

 今、世界で景気が後退する中、中国だけが年6%以上の経済成長という
のは本当であろうか。ゴールドマン・サックスをはじめ、米国の外資も中国
の輝かしい未来を予測してきたが、すでに中国経済の実質的な減速は始
まっている。

 胡錦濤政権は構造改革に懸命に取り組んでいるが、先述のとおり、地方
政府官僚による汚職や腐敗は地域の国富を食いつぶしている。国土が広
大で中央政府の指揮が行き届かないため、地方政府は自由に振る舞って
きた。今では共産党政権さえ手のつけられないアキレス腱になっている。

 もう一つ政府が手をつけられないのは、中国解放軍だ。胡錦濤政権の民
主化路線による軍の後退に、軍首脳は危惧を感じている。3月の全人代
によると、財政赤字が昨年対比で9倍以上に膨らむ中、2009年の国防予
算は2ケタ台の14.9%に急増した。旧ソ連と同様、やがて軍拡が体制の
足を引っ張ることになりはしまいか。

ピンチをチャンスにする中国

 2010年以降、中国に何かが起こると筆者は考えている。�金融投資の
破綻、�地方政府の汚職と腐敗、�解放軍の独走、�失業大軍と言った
問題が一気に押し寄せてこよう。政権内部でさえ、経済危機をめぐる亀裂が
表面化しつつある。

 これらの問題を解決すべく、胡政権は真剣に取り組む姿勢を見せている。
今後は世界との協調と安定、国内では官僚や党幹部の汚職と腐敗の一掃
が課題になるのではなかろうか。国民は経済の再生と新産業の創出に取り
組んでいる。中国人は一つの方向を示すと、いかなるピンチや危機もチャン
スに変える能力とエネルギーを持ち合わせていよう。

 中国では、政治次第で世界的危機を払いのけるエネルギーが、国民にみ
なぎっている。この危機をバネに、さらなる発展を期待したいものだ。胡主
席は日本と台湾に「平和発展」という言葉を自ら用い、敵を作らない共存共
栄の政策に神経を使っている。これが中国の対外工作に他ならないといわ
れる所以であろう。                   次回は6月11日
(木)

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◆◆◆◆◆◆◆◆ 6月10日「政民合同會議」ご案内◆◆◆◆◆◆◆◆◆
  「中国の微笑外交と軍拡」
 講師/中嶋 嶺雄氏  国際教養大学 理事長

 靖国問題や反日デモから一転、「日中友好」「雪解け」を語り始めた中国。
しかし一方で軍備増強を進め、空母の建設やミサイル配備、ソマリア海賊対
策の駆逐艦派遣などが着々と始まっている。中国の虚実と二面性は何を物
語るのか。 またアメリカの金融危機のあおりで輸出が伸び悩み、内需の弱
い中国では景気が急速に悪化している。これらの動きは日本や米国、台湾
など周辺諸国にどのような影響をもたらすのか。 中国情勢の現状と将来を、
中国問題の第一人者が読み解く。どうぞご期待ください。

日 時/平成21年6月10日(水)
  AM 11:50〜PM 1:30
会 場/参議院議員会館 1F「第1会議室」
参加費/4,000円(お弁当代含む)
お申込み先/�03-5832-7231またはメールshinwa@fides.dti.ne.jp      
  
  詳細はホームページhttp://www.fides.dti.ne.jp/~shinwa/でご覧下さい
事前申込のない方はご参加できません。ご注意下さい
すでにご案内をお送りしている方には、重複してのご案内となりますことをお
詫びいたします。ご容赦下さい。

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◆◆◆◆◆◆◆◆ 6月17日「時局プレス会議」ご案内◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「中国に併呑されるか−馬英九政権下の台湾」
 講師/林 建良氏  「台湾の声」編集長

 去年台湾で、中国国民党の馬英九氏が圧倒的大差で民進党候補を破って
当選した。しかし世界金融危機の影響もあって国内経済は伸び悩み、期待さ
れていた中国からの観光客増や中国企業との提携もはかばかしくない。しか
も馬政権は発足以来、急速に中国への歩み寄りを進めており、台湾国民か
らも不満の声があがっている。「台湾は中華民国の一地方」と公言する総統
が、台湾の自由と安全を保てるのか。
 林氏は日本在住、李登輝元総統の信頼厚い台湾独立運動の中心的存在
である。発足1周年を迎える馬政権、そして台湾の現状と未来を問う。東アジ
アの政局・経済に興味のある方は必見だ。

日 時/平成21年6月17日(水)
  PM 6:00〜8:00
会 場/日本外国特派員協会
   20F「メディアルーム」
   東京都千代田区有楽町1-7-1
     有楽町電気ビル北館20F 
     �03-3211-3161
参加費/8,000円(食事付)
お申込み先/�03-5832-7231またはメールshinwa@fides.dti.ne.jp

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