【田村秀男のお金は知っている】「消費税増税」と「デフレ」が習主席を助けるのか

【田村秀男のお金は知っている】「消費税増税」と「デフレ」が習主席を助けるのか
2018.10.28 産経新聞

 会談で握手する中国の習近平国家主席(右)と安倍首相=9月12日、ロシア・ウラジオストク(共同)
 会談で握手する中国の習近平国家主席(右)と安倍首相=9月12日、ロシア・ウラジオストク(共同)
 安倍晋三首相は来年10月からの消費税増税実施を表明した後、25日から3日間、訪中し、習近平国家主席と会談して日中通貨スワップ協定、日中共同の投資ファンド設立など金融協力で一致する。

 消費税と日中金融は無縁ではない。消費税増税はデフレ圧力を呼び込む。デフレでは国内での資金需要が萎縮し、巨額のカネ余りが生じる。そこで余剰資金を海外運用せざるをえない。

 他方、米中貿易戦争に直面する中国は米トランプ政権の対中貿易制裁と金融制限のために、外貨事情が厳しくなりつつある。中国の金融制度は外貨準備に支えられているが、外貨の主要流入減である対米貿易黒字は細る。中国からは巨額の資本流出が起きる。

 それにしても、財務省・日銀が国際金融の常識を無視し、フェイク(嘘)情報をまきちらすのはなぜなのか。日本の金融エリートが中国の党幹部に赤絨毯付きで迎賓館で歓待され、国際通貨基金(IMF)などの国際機関からちやほやされて慢心する。そして、経済紙を含め無知なメディアが何の疑問もなく鵜呑みにして「日本の利益になる」と喧伝(けんでん)する。その構図はグローバル金融体制にしっかりと組み込まれたまま思考停止したデフレ日本の政官財、メディアとでも言えようか。

 グラフは、今年6月末時点をアベノミクス前の12年6月末に比べた日米英の銀行対外融資増減額である。国際金融は歴史的に米英、つまりアングロサクソンの独壇場だが、日本は2015年に米英行を抜いて世界トップの対外融資国になった。デフレに伴うカネ余りが動因となり、日銀による異次元金融緩和を追い風に邦銀の対外融資は急増している。国際決済銀行(BIS)加盟国全体の融資増加額は1兆1100億ドルで、そっくり邦銀融資増額と一致する。

 中国は日本が資金供給源である国際金融市場からの借り入れに依存している。消費税増税がもたらす日本のデフレなくして国際金融は成り立たないし、中国ももたない。(産経新聞特別記者・田村秀男)
 日経電子版10月23日によれば、日本の野村証券などが日中首脳会談に合わせて日中共同ファンドを設立する。ファンドを通じて対中投資する。

 中国金融危機の際には日銀が円資金を中国人民銀行に大量供給する。それこそが、今回の日中首脳会談での中国側の狙い目だが、日本側にとっての利益は格別、見当たらない。

 中国の共産党政権が対中投資のリスクを引き受けると期待する向きがいるかもしれないが、お人よし過ぎる。党は市場をがんじがらめに統制するだけで、自由な資金移動を許さない。円と人民元を交換する通貨スワップは中国の金融危機時に日本や銀行や企業向けに円資金を供給すると、財務省や日銀の官僚は説明するが、欺瞞(ぎまん)だ。中国の金融危機とは人民元の暴落危機であり、元資金はだぶだぶ、不足するのは外貨である。円資金に不自由しない日本の銀行や企業が困るはずはない。


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