【寄稿】太陽花学生運動は台湾を救える

【寄稿】太陽花学生運動は台湾を救える
2014.4.5

王 紹英(日本台湾医師連合理事)

一時台湾は神に見放され、もはや救えないと思った。台湾人は、先人が血を流して手に入れた自由と民主を濫用し、中国人留学生スパイのリーダーに二度も台湾の運命を託したのだ。台湾人の見識の無さと先人の努力を裏切った選択に絶望感を恥ずかしく覚えたのは私だけではあるまい。末期がんの患者を見るように虚脱感が体中に満ちていた感じは今も忘れられない。 

案の定、中国国民党と中国共産党の阿吽の呼吸で台湾の経済が中国の泥沼に深く嵌った。早晩台湾は中国に飲みこまれ溺れ死ぬのが大方の予測だった。「台中サービス貿易協定」は華々しい最後の留めになるはずだった。

「台中サービス貿易協定」が実行されたら台湾は中国からの投資で大いに繁栄するのが馬英九の持論だった。しかし、大企業は儲かるかどうかは別に、中小企業は大打撃を受けるのは高校生でも分かる。さらに台中貿易どうこうはともかく、協定で中国人は僅少な投資で台湾に移住し、定住できるようになる。そうしたら、あっという間に中国人の人海は台湾に一挙に流れ入り、津々浦々に横暴で詐欺に長けた中国人が充満するのは火を見るより明らかのである。台湾はチベットとウイグルの轍を踏み、台湾人は自分の国に居ながらも圧迫される少数民族に転じる。それ以後どうなるかは、チベットとウイグルを見れば一目瞭然である。

3月18日、本土派政党は阻止に奮起し頑張ったが、多勢に無勢つい「サービス貿易協定」が強硬通過された。国会の順法闘争の失敗を知り、外に抗議中の学生が「蜂起」した。国会を突入し占領する前代未聞の快挙を成し遂げたのだ。

奇しくも、私は占領四日後の21日に現地入りを果たし、「視察」できた。立法院の庭と全面道路に初々しい学生で一杯でした。立法院院内の状況はもちろん分からないが、外の女学生の多さにびっくりした。ほとんどは私の末娘よりも若くて可愛かった。こんな台湾人を見たかった、こんな台湾人を期待していた、と心の中に呟きながら彼らに拍手を送った。
彼らは青天白日の旗を逆さに掲げていた。国家存亡の印しいだと私に教えてくれた。彼らが、もし太陽花(ヒマワリ)の代わりに運動の旗を創って国会の上に爽やかに翻せたら、新国家の旗になれるかもしれないと思った。我々は新国家のトーテムを渇望しているのだ。

学生たちは組織されて秩序を守り、礼儀正しく平和的でした。大学生リーダー達の発表も説得力に満ちていて決して衝動的な発言をしなかった。良くもこんなんに勉強されたな、と感心した。馬英九はとっても太刀打ちできないと悟ったではないかと推測できる。

学生の反「台中サービス貿易協定」抗議運動は、ただ将来自分の仕事がなくなる不安による短小な動機と思わない。彼らは今の中国寄りの政策に危機感を覚え、中華民国体制内の「民主」的国会運営に絶望感を抱き、台湾は存亡の岐路に立たされていると深刻に考えているはずと思われる。

弱冠25歳の学生リーダー林飛帆さんが馬英九に要求した四項目を見れば良く理解できる。その一、「台中サービス貿易協定」の白紙化。
その二、台中協議監督条例の制定。
その三、「台中サービス貿易協定」の審査は監督条例の制定後にする。
その四、全国民の憲政会議を招集。

中華民国国会を無視するところか、第四項の憲政会議の招集の要求を見るだけでも中華民国憲法を排除すると云わんばかしであろうか。本土派政党よりはるかに革新的で明快でした。これで心ひかれない台湾人はいるであろうかと思った。

今のところ、本土派政党は黒子に徹して学生運動を応援しているように見える。体制外闘争の学生運動と本土派政党のベクトルは同じであり、軌を一にしていると錯覚される。しかし、学生の体制外の闘争は、本土派政党が中華民国体制内改革で勝ち取った利権を脅かすに違いない。 

(本土派政党は「台湾独立」の看板を掲げながら多くの体制内の利権を「民主的」に手に入れ、掲げた「台湾独立」を一向に進めず、何時経っても看板に過ぎないのだ。「台湾独立」の看板を降ろさない限り、本土派政党の候補者に最低でも三割の票が集まると打算的に独立志向の台湾人の焦りを利用してきた、と私は悪意を持って見ている。)

選挙で得られた体制内の肩書、利益、権力、人脈、などは麻薬のようなものであり、そう容易く手放しできないことだけが確かである。体制外闘争が成功に進めれば本土派政党が苦心惨憺で得た利権が雲散霧消しかねないのだ。現に呂秀蓮前副総統は早々と不満を露わにし、学生の長期抗争を否定的な見解を述べた。太陽花学生運動は中国国民党よりも本土派政党に崩されるではないか、敵は本能寺にあり、と疑い深い性格の私が心配している。本土派政党を育ったように太陽花学生運動が本土派政党を取って代わるぐらいに成長させるのが台湾人の責務であろう、と思った。

多くの独立志向の台湾人は、本土派政党に期待をしながらも不満を抱いている。自分が是としてきた中華民国体制内改革の限界と矛盾を今回の学生太陽花運動で分かったと期待したい。太陽花学生運動は我々が危惧した暗澹たる台湾の将来に神々しい光を射し込んでくれた、と多くの台湾人が感じたではいか。全ての新国家は体制外闘争から始まるのが歴史の鉄則である、と太陽花学生運動が明示してくれたことに心から感謝せざるを得ないのだ。

参考・動画

30年前汝們守護我們 現在換我們守護台湾(中英日三国語言字幕版)
It’s our turn to protect Taiwan

Youtube 動画
http://youtu.be/fKU7A22usls

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