【事件】台湾漁船「漁群166号」の小笠原寄港をめぐる台湾メディアの誤報道

【事件】台湾漁船「漁群166号」の小笠原寄港をめぐる台湾メディアの誤報道
日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

台湾漁船「漁群166号」の小笠原寄港をめぐる台湾メディアの誤報道
   事実は日本と台湾が一致協力して解決に当たった事件

 いささか古い話になるが、気になったので記しておきたい。

 先々週の10月2日、太平洋海域で操業中だった屏東県(へいとうけん)船籍の漁
船「漁
群166号」の船長と機関長がインドネシア籍の乗組員2人に刃物で襲われそうにな
るという
事件が起こった。

 操舵室に逃げ込んだ船長らは衛星電話で船長家族と連絡を取って救助を求め、
日本の小
笠原諸島海域に入った5日、日本側に「小笠原へ寄港し、インドネシア国籍の船員
らを上
陸させ本国に送還して欲しい」と要請したという。

 ところが、一部の台湾のメディアは、「船長の家族の話」として「日本は救援
協力およ
び船舶の寄港を拒否」と報道し、またもや日台間で外交軋轢かと心配された。

 しかし、日本側が寄港を拒否していた事実はなかった。台湾の外交部もこれら
の報道を
強く否定し、「楊進添部長は7日午前、これらの報道を改めて強く否定、『日本側
は事実
上寄港には同意していたが、船長および乗組員を上陸させるとの方針が船会社の
同意を得
られなかったため寄港は行われなかった』と述べ、日本側が協力を拒否した事は
ないと説
明した」という。楊部長はまた、「『日本は海上保安庁の巡視船を派遣し魚群166
号を保
護する意向があったものの台風18号の影響で救助活動に至らなかった』とも述べ
、日本側
は最大限の対応をしていたと強調した」(台湾国際放送ニュース)と伝えている

 マスメディアの報道は影響力が大きい。外交問題に発展しそうな微妙な問題を
含んでい
るのだから、船長の家族の話だけで記事を書かず、交流協会台北事務所が日本の
窓口なの
だから、交流協会台北事務所に事実確認してから記事を書いて欲しいものだ。

 この事件は、台湾メディアが報道するような寄港拒否事件ではなく、日本と台
湾が一致
協力して解決に当たった事件だったのだ。

 交流協会台北事務所は6日、「この報道は間違いです。客観的な事実関係を説明
します」
として「台湾メディアが、台湾籍漁船『漁群166号』船内における船長等への脅迫
事件に関
し、同漁船の小笠原諸島への寄港を日本側が拒否した旨報道している件について
」と題す
る文書を台湾メディアと台湾当局関係者に送付している。

 台湾の外交部もその翌日になって「日本側がわが国の漁船の入港を拒否したた
めではな
い」と、日本側に非はないことを発表するとともに、日本側が漁船の無事帰還の
ために全
面的に協力していることを表明している。

 誤報道によって人心が惑わされ、外交問題に発展することがままある。昨年6月
の尖閣
問題は誤報道ではないものの、報道が人心を煽って問題を大きくした典型的なケ
ースだ。

 日台間で外交的な齟齬を来たさないことを願い、またメディアの公正な報道を
願いつつ、
交流協会台北事務所と台湾外交部の発表をご参考に供したい。

 それにしても、なぜインドネシア籍の乗組員は船長たちに刃物を向けたのだろ
う。寡聞
にしてそのことを知らないが、台湾メディアはそのことを伝えているのだろうか

                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚
原 正敬)
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台湾メディアが、台湾籍漁船「漁群166号」船内における船長等への脅迫事件に関
し、同
漁船の小笠原諸島への寄港を日本側が拒否した旨報道している件について

【10月 7日 交流協会台北事務所】

1.6日の台湾メディアは、台湾屏東県琉球籍漁船「漁群166号」船長等が同漁船
インドネ
 シア人船員に刃物で脅迫されており、台湾側は、日本の小笠原諸島への入港許
可を要請
 したものの日本側に拒絶されたという主旨の報道を行っています。

2.この報道は間違いです。客観的な事実関係を説明します。
  日本政府入国管理当局は、人命を最優先に考え、インドネシア人船員に刃物
で脅迫さ
 れていた被害者である同漁船船長及び機関長を小笠原諸島において上陸許可で
きる、又
 船舶の寄港も受入れ可能な旨、台湾側船舶代理店に伝えました。しかし、台湾
側船舶代
 理店は、同漁船船長及び機関長を小笠原諸島で下船させた場合、同漁船が小笠
原諸島に
 放置された状態となることについて、同漁船オーナーから了解を得られない等
の理由の
 ため、日本側の提案に応じませんでした。このため最終的に、同漁船は、小笠
原諸島に
 は入港しませんでした。

3.日本は、常に人命を最優先に考えています。そして、そのために協力できる
ことは、
 常に全力で実行してきています。このような基本的立場は、今後も変更ありま
せん。

4.日本交流協会は、台湾メディアが正確な事実に基づく報道をすることを、心
より希望
 します。

(注)上記の内容は10月6日に台湾メディア・台湾当局関係者に送付したものです

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外交部:漁船「漁群166号」の安全帰港を積極支援

【10月8日 台湾週報】

 わが国の漁船「漁群166号」がインドネシア国籍の乗組員に刃物で脅迫された事
件に関
して、外交部は10月2日に行政院海岸巡防署(以下、海巡署)からの通報を受けた
後、直
ちにわが国の駐日代表処および駐横浜弁事処に対し、わが国の漁船に必要な支援
を提供す
るために日本側と交渉するよう指示した。

 また、漁船「漁群166号」の船長が日本の小笠原諸島に寄港することを求めたこ
とに関
して、わが国駐日代表処は日本側と積極的に交渉し、日本側は人命の安全を優先
する考え
から、その他インドネシア籍の乗組員は船上に留まることとしたうえで、わが国
漁船の船
長および操縦士長の上陸に同意した。しかしながら、船長はインドネシア籍の乗
組員が船
上に残ることにより事件が発生することを懸念したため、この提案に応じなかっ
た。結局、
「漁群166号」は小笠原諸島には立ち寄らなかったが、これは日本側がわが国の漁
船の入
港を拒否したためではない。

 その後、漁船「漁群166号」の船長は、漁船を台湾へ帰港させることを決定した
ことか
ら、海巡署は10月6日午前に漁船を出迎えるため直ちに「巡護二号」を派遣した。
外交部
は、漁船の安全な航行を維持するという目的に基づき、駐日代表処に日本側と交
渉するよ
う指示し、必要に応じてわが漁船を途中で日本の沖縄港への寄港を認め、わが国
の船長お
よび操縦士長の上陸を認め、インドネシア籍の乗組員は船上に残すことで日本側
の同意を
得た。

 本案件に関して外交部は、発生直後より海巡署および漁業署等の政府機関と緊
密な連絡
を維持しており、原則を一貫して堅持し、全力でわが国「漁群166号」漁船の安全
帰港の
ための各種必要支援を提供していくものである。

                            【外交部 2009年10
月7日】

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