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不屈のリーダー李登輝が迷える日本の若者に送る「10の箴言」
【李登輝】迷える日本の若者に送る「十の箴言」
メルマガ「台湾の声」にて紹介された「サピオ」2010年1月27日号からの記事を引用
【箴言一】逆境は最高の修行の場
【箴言二】大器晩成を目指せ
【箴言三】安易にカードを切るな
【箴言四】金で解決できることはすべて小事
【箴言五】小さく群れるな
【箴言六】人事の要諦・奥さんを観察せよ
【箴言七】恩讐を越え、大事を成し遂げろ
【箴言八】敵を使える知恵と器量を持て
【箴言九】トラブルメーカーに成ることも必要
【箴言十】信仰心を持つことはリーダーの最重要条件

【箴言三】安易にカードを切るな


 実力や自信のない人ほど手持ちのカードを切りたがる。しかし、それは自らの弱点を晒しかねず、自らを潰す危険が孕んでいる。

 蒋経国の急死によって副総統から総統に昇格した当時の李登輝氏には全く実権がなかった。そもそもあの時代の政治状況で、台湾人に最高の権力を与えられることなどあり得なかった。彼にある唯一のカードといえば国民からの熱烈な支持であったが、国民党の一党独裁の時代では、国民の支持と国家権力の行使とは全く無関係だった。

 李登輝氏は民意を利用しての旧勢力との直接対決は避けた。行政、軍、警察、情報など国家統治機構の人事を変動させることなく相手を安心させた。だが彼はひそかに台湾の国家像を描いていた。

 二年後に再度総統に選出されると、素早く、そして着々と台湾の民主化を進め、六回の憲法改正を経て、それを不動のものにした。カードは時機が熟してから切る。これが李登輝流の戦い方であるのだ。