麻生太郎氏は台湾で冷遇されたか

麻生太郎氏は台湾で冷遇されたか
ブログ「台湾は日本の生命線!」より。ブロででは関連写真も↓
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■麻生氏の訪問に対する寂しい対応  

麻生太郎前首相が四月五日―八日に台湾を訪問したが、同時期の六−九日には中国の韓正上海市長も訪台していた。そして馬英九総統の国民党政権が麻生氏を冷遇し、韓正氏を歓待したとして民進党の立法委員(国会議員)が外交部(外務省)を非難した。

これは本ブログの八日の記事「麻生太郎前首相の訪台と中国の反応」でも書いたとおりだ。
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1114.html 

麻生太郎氏の今回の訪台は向こうの財界の招きに応じた私的なものだった。台湾側には国民党政権の対中政策(中国傾斜政策と言える)への理解を日本側に求めたいとの意向があった。

馬英九総統とも台北賓館(迎賓館)で会見し、意見交換を行っている。

日台間の交流を何としてでも阻止したい中国にとり、長年にわたって台湾に友好的な麻生氏は憎むべき「親台」派だ。中国の脅威を脅威とはっきり指摘し、台湾を「国」と呼び(失言なのだが)、さらには中国包囲網とも見える「自由と繁栄の弧」を打ち出す同氏は、台湾側からは歓迎されても、中国にとっては警戒するべき日本の有力政治家である。

現在の肩書きは「前首相」であれ、それでもその訪台や総統との会見は、とくに中国が恐れる日台政府間交流の印象もある。そこで総統府は中国に配慮し、会見の場から一切のマスコミをシャットアウトした。麻生氏の滞在中の行程も非公開とされた。

台湾の「元総統」である李登輝氏が訪日し、日本国民から歓迎を受けたのに比べれば、たしかに寂しい扱いではあった。

現地マスコミからも「親台の麻生氏に失礼だ」との批判報道が見られた。

ところが韓正氏に対する接遇は、それとは大きく違ったのだ。

■中国の攻勢―上海市長の訪台は統戦が目的

韓正氏は●龍斌台北市長(国民党)の訪台は招聘を受けてのものだ。目的は「台北・上海都市フォーラム」の開催だ。五月一日からの上海万博の宣伝が目的ともされているが、一言で言えば台湾国民に対する統一戦線工作(敵の中に味方を作る策略)のためである。 〔●=赤におおざと〕

これには約百人の市政、経済貿易視察団が同行している。

また両市間での文化、環境保護、観光、科学技術の四分野における協力を謳う文書に調印した。これについては日本でも「馬英九政権発足で中台が急接近する中、両岸の都市間交流は最高レベルに達した」(産経、十三日)、「中台の都市が公的文書に調印するのは初めて。・・・改善する中台関係は新たな段階を迎えた」(毎日、七日)と報じられている。

産経(十三日)はこう伝える。

―――台湾への波状的な統一工作を仕掛ける中国は今回、上海市長を送り込み、台北と観光・文化・環境保護・科学技術の4分野で備忘録を交わすなど、抱き込み攻勢の手をゆるめていない。

―――韓市長は滞在中、中国で台湾元と人民元の両替業務を始める方針を明らかにしており、今後、「国権」の基本である通貨問題にも踏み込むことになる。

台湾を併呑するための、たいへんな攻勢である。在台中国人主導の国民党政権は、すっかり統一戦線工作に取り込まれ、抵抗力を喪失しているかのようだ。

■日本の前首相を蔑ろにした台湾人議員の怒り

台北市や財界の韓正氏に対する歓待の演出は大変なものだった。

麻生氏が馬英九氏と会見したのが七日だが、韓正氏はその日の夜、台北市内を見学している。その際に世界第二位のノッポビル「台北101」では全階に電飾が施され、台北側の歓迎の意が表された。だが全階の電飾は異例のことで、中国に媚を売っていると言った批判の声が噴出した。

そこで翌八日、立法院(国会)の外交・国防委員会では、民進党の蔡煌瑯立法委員が楊進添外交部長に向かい、韓正氏に比べて麻生氏への待遇はどうかと噛み付いたのである。「日本の前首相に対してはトーンが低く、一般客扱いだった。この差は何なのか」「麻生太郎が一体何の罪を犯した。いかなる国際指名手配犯なのか」と。

そして「なぜ会見場所として総統府ではなく台北賓館を選んだのか」とも問い質した。

つまり「中国を怖がって、自国を矮小化している」と、国民党政権の中国傾斜の姿勢を非難しているのだ。正論に思える。

これに対して楊進添氏は「麻生氏は私人として来訪した。台北賓館を選んだのは麻生氏も参観したがったからだ。それにあそこは総統府に属する」「総統は麻生氏を昼食会に招いた。絶対に低レベルの接遇ではなかった」と反論した。

ところで中国側は、訪台した麻生氏と、同氏と会見した馬英九氏をいかに非難したかと言うと、それが沈黙したのだ。

■馬英九氏を擁護する中国の御用メディア

そればかりか中国の御用メディア、中国評論新聞(香港)は、この立法院での両者のやり取りを報じながら、「ここで私たちは公正に指摘したい。蔡煌瑯氏の質問は間違っている」などと馬英九氏を擁護しているのである。

次のように論評する。

―――もし接遇のレベルを言うなら、麻生氏の方が韓正氏よりハイレベルの扱いを受けている。馬英九氏は麻生氏と直接会見したばかりか、昼食会をも開いている。それに比べて韓正氏に対してはどうか。馬英九氏は面会を避け、人づてに挨拶しただけだ。

そして皮肉たっぷりに、こう問いかけた。

―――蔡煌瑯氏が質問するべき相手は馬政権ではない。馬英九氏でもさらにない。質問しなければならないのは台北市民である。「あなたたちはなぜそこまで韓正氏に関心があるのか。なぜ麻生氏には無関心なのか」と。市民はそれに何と答えるだろうか。

「親台」と呼ばれ、台湾の中国への対抗を支持する日本の政治家の代表的な一人と位置付けられてきた麻生氏と、台湾を中国の側に引きずり込むための統一戦線工作の使者と呼ぶべき韓正氏だが、この論評を読めば、中国側は後者が国民党から大歓迎を受けたことで自信満々となっていることが想像できよう。

■麻生氏を歓待せよー大学生が不満の投書

しかし韓正氏が「台北市民」を含む台湾の一般国民の間で、麻生氏より人気が高いなどとはとても思えない。なぜなら第一に、あの国の国民感情には「親日反中」が際立っているからだ。

自由時報(十日)に掲載された淡江大学学生、黄俊翰の投書の内容は常識的な見方と言える。

―――麻生氏は日本の前首相であり、それ以上に日本の衆議院中、台湾に友好的な代表的一人だ。この極めて友好的な客人を馬政府は重視したのかとの疑問を、多くの人が抱いている。

―――韓正氏に対して馬政府は上下ともに彼を貴賓と奉じ、歓迎のため台北101をライトアップするなど、まるで正月を迎えるような喜び方だった。

―――麻生氏は前首相、友台議員であり、『温暖抱擁』(※台湾の流行語)のために来訪したのだから、馬政府は厚く持て成さなければならなかった。しかし韓正氏は上海市長にしか過ぎず、台湾にも「祖国回帰」しか期待していないにも関わらず、馬政府から相当重要視された。

―――そこで伺いたい。もし家に「三千基のミサイル」を持つお客と「温暖抱擁」のお客が同時に来たとしたら、あなたはどちらを厚く持て成しますか。

韓正氏は台北市のほか、台北県、台中市などを参観し、それぞれの首長(国民党)の歓待を受けているが、しかし行く先々で民衆の抗議の声に晒されている。

叫ばれたのは「台湾と中国は別々の国」と言ったものから「法輪功の迫害を止めろ」といったものまで様々だが、麻生氏に対してなら、絶対にそのようなことは行われないだろう。

■「麻生氏は馬英九氏に騙されるな」と政治評論家

著名な政治評論家の林保華氏は自由時報(七日)に掲載のコラムで、馬英九氏が麻生氏、韓正氏の二人を同時に迎え入れたのは「中間路線」を体現するためだとして上で、「決してそれに騙されるな」と訴えている。

―――麻生太郎前首相は日本の右翼だ。だから中国傾斜のイメージに馬英九氏の平衡感を与えることができる。

―――問題は、現在の日本の与党は民主党であり、麻生氏の自民党は影響力を発揮しにくくなっていること。従ってここに馬英九氏のパフォーマンス的な性質が明らかになる。

つまり麻生氏と会見することで対中関係だけでなく、日米陣営との関係も重視し、それらともうまくやっているとの印象を有権者に与えようと考えていると言うわけだ。

コラムは麻生氏に対し、そのような馬英九氏の話を「真に受けてはならない」と訴えている。

何でも馬英九氏は、西側の政治家やメディアに対しては、「中国との統一を急がない」などとリップサービスをしているが、実際には「彼の尊敬する胡錦濤と同様、『内と外では別の顔』『言うこととやることが別』」であることに長けるなど、典型的な偽君子、嘘つき」なのだとか。

たとえば「〇六年に訪日したとき、首相候補の安倍晋三氏と会見したとか、安倍氏は台湾独立に反対したなどと嘘をついていた」と。

また「専制中国への媚び諂いと民主日本への好戦的姿勢が馬英九氏の本質だ」とした上で最後に、「麻生氏の来台に関し、馬英九氏は事前に中国の許しを得ていたのではないか」と指摘している。

中国が事前に許可していたと言うのは事実と思える。だからあの国は麻生氏の訪台に関して沈黙を守ったのではないだろうか。

中国としては、自らの傀儡である馬英九氏には次の総統選挙でも再当選してもらわなければならない。批判の強い中国傾斜のイメージで支持率を下がるなか、麻生氏との会見を果たすことで反中世論を納得させることができるなら、それを黙認しようと判断しても何の不思議もないのである。

すでに台湾では国民党が政権を握り、日本でも自民党保守派(親台派)の影響力は落ちている。だから中国には、馬英九氏のパフォーマンスを許すだけの余裕があるのである。

産経新聞(十三日)は下のように報じている。中国の台湾併呑戦略は、ここまで順風満帆なのか。

―――馬総統も、台湾の安全は日米安保条約が基礎との考えを強調しながら、中国と和平協定の締結を目指す構想も明らかにしている。

―――総統選まであと約2年。台湾内政が混迷を深める中、中台融和が経済から安全保障問題に踏み込む事態になれば、東アジアの安全が抜本から覆る可能性も出てくる。

■中国を憚ることなく台湾に激励メッセージを

台北市民は「なぜ麻生氏には無関心なのか」。この中国評論新聞の問いに対する答えは、「台北市が歓迎を行わなかったから」だが、「市民には麻生氏を歓迎する機会を与えられなかったから」とも言うことができる。そこで考えなければならないことがある。

「低いトーン」で終始したのは馬英九氏側だけでなく、麻生氏側もそうだった。

日本政府はこれまでも、中国から「日台政府間交流だ」と疑われるのを恐れ、台湾側との接触には慎重に慎重を重ねてきたが、そうした慣習が今回の訪台にも表われたのではないだろうか。こちらもまた事前に、中国の何らかの黙認を取り付けていたのかも知れない。

しかしもし麻生氏が台湾で、現地国民への親善メッセージを発しながら旅を行ったならどうだっただろう。

かつてそのような台湾訪問を行った石原慎太郎都知事のように、日本の友情の象徴として大衆に歓迎されたはずである。

そもそも日米陣営が中国への配慮で、台湾に冷淡な姿勢を見せ続けたことが、中国の脅威に直面する台湾国民から国防の自信を奪ったのだ。そしてその結果として、今日の中国傾斜政策を許す事態が現出したとも言うことができる。

しかし「中台融和」によって「東アジアの安全が抜本から覆る」ことが懸念されるなかだからこそ、堂々たるメッセージを何も憚ることなく発信することが、日本側には求められているのだ。

台湾国民を激励するべきだ。なぜなら日台は中国の膨張政策も前において、明らかに生命共同体だからである。中国に「余裕」を与えている場合では断じてないのである。


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