陳水扁総統、親民党と政策合意、「台湾本土化路線」が大きく後退

陳水扁総統、親民党と政策合意、「台湾本土化路線」が大きく後退
李登輝氏や台連が猛反発、「連合」離脱も。憲法、対中問題で与党内部に不
協和音

 2月24日に交わされた陳水扁総統と親民党の宋楚瑜主席の10項目合意は、民主
化・台湾化を進めてきた台湾の人々にはまるで原爆が落ちたような感触で受け止
められているようです。27日に開かれた「台湾問題講演会」でも、林建良氏と周
英明氏がこの問題に言及し、「これからは、陳水扁総統が『何をやってくれるか』
ではなく、『何をやらせるか』だ」と意識の転換を求めています。
 切れ味鋭い評論で定評ある評論家で本会理事の宮崎正弘氏もその反響の大きさ
を伝え「カメレオンのごとく改憲、修憲、一辺一国などとその場その場で政局戦
術発言を繰り出してきた陳水扁総統個人への、与党支持者からの不信感は拭いき
れないほど甚大となった」と解説しています。         (編集部)


宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成17年(2005年)3月2日(水曜日)通巻 第1050号

 台湾の陳水扁政権がリーダーシップをめぐって国内的に窮地に立たされた。
 昨年師走の総選挙で議席伸び悩みの責任をとって民進党主席を退いた陳水扁総
統は、2月24日に対中協調派の第二野党、親民党の宋楚瑜主席(党首)と十項目
で合意した。
 宋楚瑜主席との合意事項はほかにも六千百八億台湾元(約二兆円)の武器シス
テム導入予算および本省人と外省人の和解問題など。
 27日に発表された合意宣言は次の通り。
「我々は大陸と台湾が一つの中国に属することを一貫して主張する。両岸はまだ
統一されていないが、大陸部と台湾が一つの中国に属するという事実に変化はな
い。両岸関係の平和と安定の保護と両岸統一の段階的な推進は両岸関係を処理す
る上で基本的な目標と努力の方向である。我々は自信、誠意、忍耐心を持ち、交
流の強化、協力の推進、台湾の同胞との意思疎通と相互理解の増進を通して、両
岸関係発展の未来のために努力する」。

一つの中国?

 陳政権を強力に支援し「汎緑連合」(与党連合)を形成してきた台湾団結連盟
(台連)は猛反発を示し、とくに「中国と台湾は特殊な国と国の関係」と二国論
を展開してきた李登輝元総統は「国民をないがしろにした」として陳水扁総統を
厳しく批判した。
 台連は憲法問題で民進党との政策協力拒否を打ち出したため、与党間の足並み
が大きく乱れる。また台湾独立運動の長老格で、総統府資政(最高顧問)の辜寛
敏氏も辞意を表明した。
 陳総統は米国からの圧力を前に「新憲法」路線を大幅に後退させ、親民党との
合意では、「在任中は中華民国憲法を順守し、国号変更や独立宣言をしない」と
した。
 もともと台湾団結連盟の「憲法改正」は新憲法を意味し、虚妄でしかない「中
華民国」を名実ともに葬り去ろうとする。
 このため正名運動を根気よく展開し、組織、団体、企業名から「中国」をはず
して「台湾」と改名したところも多い。
 陳水扁総統が唱える「改憲」は、中華民国憲法の修正であり、「中華民国は台
湾、台湾は中華民国である」と曖昧な表現に終始して米国の圧力をかわしてきた
経緯がある。
 またイラク問題で泥沼にはいり、中国の協力を必要とするブッシュ政権は「台
湾海峡でいかなる企てであれ、現状維持から逸脱することには反対」と何回も声
明してきた。だから住民投票にも米国は反対した。
 辞任直前のパウエル前国務長官も「台湾は主権国家ではない」と発言し、ライ
ス現国務長官も「米国の”一つの中国”政策は変わらない」と言明した。
 その替わり北京に対してもワシントンは「現状維持」を強く要請し、「反国家
分裂法」の制定に圧力をかけつづけた。27日にはクリントン前大統領が台北入り
し、陳水扁総統の歓迎晩餐会にも出席した。
 李登輝前総統は国家の根幹を定める基本姿勢でふらつく陳総統を比喩して「新
憲法を求めて、鬼を捕まえに行って鬼に捕まった」と批判のオクターブをあげた。
 もっとも陳政権の狙いは野党第二党の親民党と政策協調を演出することで「汎
藍連合」(野党連合)の一角を切り崩し、国民党内部を霍乱しようとしたことは
明らか。
 しかしカメレオンのごとく改憲、修憲、一辺一国などとその場その場で政局戦
術発言を繰り出してきた陳水扁総統個人への、与党支持者からの不信感は拭いき
れないほど甚大となった。
 国民党は8月に主席選挙を控えるが、実力者の王金平に挑戦する馬英九(台北
市長)の人気が高く、この国民党内の争いを利用して、現主席の連戦が居座るシ
ナリオもある。
 3月8日の全人代で反国家分裂法制定が目の前となっているが、台湾は内輪も
めの最中。そんな場合ではないのでは? とする醒めた意見も多いのだが……。

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