私の奥の細道 李登輝(4)日台関係の強化−日本はアジアで主導権を

私の奥の細道 李登輝(4)日台関係の強化−日本はアジアで主導権を
6月9日、皇太子殿下ご成婚記念日の佳日、李登輝前総統は総統退任後、3度目となる日
本訪問の旅「学術・文化交流と『奥の細道』探訪の旅」を終えて帰台された。

 6月12日から、李前総統の全行程に同行取材した産経新聞の長谷川周人・台北支局長が、
李氏が発信したメッセージは何だったかを探るべく「私の奥の細道 李登輝」と題する
レポートを同紙に連載し始めた。下記にご紹介したい。本日は第4回目である。

 ちなみに、「私の奥の細道」というタイトルは、李前総統が今回の旅の目的について
「芭蕉の『奥の細道』を歩いて、日本文化とはなにかを、『私の奥の細道』と題して世
界に紹介したい」と発言されたことに由来している。

 なお、この連載は明日が最終回です。                (編集部)


私の奥の細道 李登輝(4)日台関係の強化−日本はアジアで主導権を
【6月15日 産経新聞】

 台湾の李登輝前総統の過去の訪日に対する中国の激しい抗議を踏まえ、日本の各種メ
ディアは事前に、「中国の反発は必至」と書き立てた。ところが、実際には講演や記者
会見も実現して、李氏はより自由に語りかけることができた。

 なぜか? 李氏は都内で一部邦人記者を集め、今回の訪日に抗議した中国外務省報道
官の発言への過剰反応を戒め、その理由をこう分析した。

 「中国が変わった。日本を必要とする内部事情があるんだ。昔は困ったが、今は李登
輝が(中国に)来たらいいと考えている。ただね、中国人は(国内世論に配慮し)言わ
なければならないこともある。『李登輝はだめだ』と。気にするな。あれはウソ。つま
らない言葉に目を奪われるなよ」

 「ひとつの中国」を原則に掲げる中国は李氏を「独立派の頭目」と見なし、事あるご
とに猛反発してきた。だが、攻撃を強めれば強めるほど李氏の政治的存在が際立ち、台
湾の結束を促すという皮肉な構図があった。

 その中国が今や、経済の一体化を軸に台湾抱き込み工作を着々と進め、「李登輝無視」
の戦術に転じ、李氏の中国招請で「独立派の内部分裂」を誘う余裕すら見せる。こうし
た構造変化を理解しない限り、台湾も日本もいずれ中国の術中にはまり骨抜きにされる
という危機感が李氏にはある。

 「日本は中国に対抗してアジアにおける指導力を確立すべきだ」。松尾芭蕉の「奥の
細道」を探訪する旅の途中、李氏は何度も強調した。私に、「今、一番大事なのは安倍
総理が中国以上にアジアで主導権を握ること。台湾問題だけにかかわっていてはいけな
い。それは当面、学者らに任せておけばいいじゃないか」とも語っている。

 李氏が日台関係の強化にかける思いは強い。ブッシュ米政権がアジアでも影響力を相
対的に低下させる中で、日台関係を前進させるには、アジアでの日本の影響力を強めて
もらうほかないのだ。

 自身の政治的影響力について問われると、「政界から引退した人間だ。政治的には何
も力がありません」と言う。陳水扁総統一族を含む与野党の指導者が横領や汚職で司直
の手にかかる今、老練な総統経験者の忠告に耳を傾けられるかどうか。(長谷川周人)

写真:山寺立石寺を訪れた台湾の李登輝前総統

[RelationPost]

タグ: , , , , , , , , , , , , , ,