福田首相は「台湾の住民投票」に関して中国の言い分に組してはならない

福田首相は「台湾の住民投票」に関して中国の言い分に組してはならない
日本は米仏やシンガポールに追従するなかれ

 昨日の産経新聞の社説「主張」が、今日から訪中する福田首相に対し、台湾が3月の総
統選挙と同時に行おうとしている「台湾の名義での国連加盟」の是非を問う住民投票に
ついて適切な助言を呈している(下記に全文を紹介)。

 周知のように、すでにこの住民投票については中国の要求に応じたアメリカやフラン
スが反対を表明し、最近ではシンガポールも反対の姿勢を打ち出している(12月25日)。
しかし、これは台湾を一度も統治したことのない中国の「台湾は自国領」とする言い分
を丸呑みした明らかな内政干渉だ。

 台湾の外交部が表明しているように、「この公民投票は台湾の民意を示すもので、台
湾の人々が国連に参与したいという強い願いを表現するもの」に過ぎない。

 ましてや、産経新聞が指摘しているように、日本はサンフランシスコ講和条約という
国際条約にのっとって「台湾の帰属については発言する立場にはない」と主張してきた
のであるから、中国の言い分に組してはならないのである。

 この問題に関する宮崎正弘氏の見解を本誌で紹介した際(12月23日、第668号)にも指
摘したように、日本は、2004年の総統選挙のときに行われた住民投票に対して、アメリ
カに追従するように「申し入れ」を行って台湾国内に大きな混乱をもたらした。その失
策を踏襲しないため、これまで何ら明確な方針を表明していない。

 日本は「相手の嫌がることはやらない方がいい」のではなく、国益に適うなら、中国
の嫌がることでもやらなければならない。日本は日本の国益のために、台湾の住民投票
に口をはさむような内政干渉をしてはならないのである。福田首相の対応をしかと見極
めたい。               (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)


福田首相訪中 台湾への姿勢を変えるな
【12月26日 産経新聞「主張」】

 福田康夫首相が27日から4日間、中国を訪問する。中国側の主要な狙いのひとつは、
台湾の陳水扁総統が計画する「台湾の名義での国連加盟」の是非を問う住民投票に対し、
日本の反対表明を引き出すことにあるのだろう。

 中国はこの住民投票が台湾独立につながると警戒を強めている。米仏は中国の求めに
応じて反対の姿勢を打ち出したが、日本は従来の台湾政策を堅持し、これに同調しては
なるまい。

 福田首相の訪中は当初、1月の予定で調整が進んでいた。年内に繰り上がったのは中
国側の働きかけによるところが大きい。日中の最大懸案である東シナ海のガス田問題で
は、今回の訪中で突破口が開ける状況にはない。

 にもかかわらず中国が早期訪中を望んだのは、来年3月の総統選挙時に予定される住
民投票が要因のひとつだろう。米国はこの住民投票を「台湾海峡の緊張を高める」(ラ
イス国務長官)として反対を表明してきた。

 中国は、台湾が独立問題をも住民投票で決めるような事態に発展するのを極度に警戒
し、独立阻止のためには武力行使も辞さない姿勢を強調している。米国は台湾の安全保
障に関与することを明示した台湾関係法を制定しているだけに、中台の緊張激化にひと
きわ神経質にならざるを得ない。

 しかし、日本は台湾問題には慎重であるべきだ。日本は「台湾は自国領」とする中国
の立場を「理解し尊重する」としているが、「サンフランシスコ講和条約では台湾への
領土権を放棄したのみで帰属先は触れていないため、台湾の帰属については発言する立
場にはない」と主張してきた。

 親日感情の強い台湾に向け、日本の首相が「住民投票反対」を言えば影響は大きい。
投票を強行しても住民投票不成立の可能性が高まる。日本の反対表明は、住民投票支持
の与党、民主進歩党候補には不利に働き、野党の中国国民党候補には有利に働こう。

 福田首相が住民投票に反対する姿勢を示せば、台湾住民は日本も中国の要求に屈した
とみなし、対日不信を強めるだろう。日台関係にも悪影響を及ぼす。台湾海峡の緊張を
高める結果にもつながりかねない。日本は台湾有事を誘発しないためにも、中台緊張緩
和の橋渡し役となるべきだ。

[RelationPost]

タグ: , , , , , , , , , , , ,