東アジアで明確になる敵味方の勢力図  黄 文雄(文明史家)

東アジアで明確になる敵味方の勢力図  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2022年3月2日】 https://www.mag2.com/m/0001617134*読みやすさを考慮し、小見出しは編集部が付けたことをお断りします。

◆ウクライナに寄せる台湾の支援

 台湾政府は、在台ウクライナ人はいくらでも台湾にいて下さいという許可を出しました。下記の記事によれば、在台ウクライナ人は205人だそうです。

・台湾、ウクライナ人の在留延長申請を許可 回数制限なし=内政部長 https://japan.focustaiwan.tw/politics/202203010007

 一方、日本も岸田首相が在留ウクライナ人の在留延長を可能とする措置を取ると述べました。

 在日ウクライナ人は以下、河野太郎氏のツイッターによると、1915人です。

「現在、日本在住のウクライナ人は1915人。内、永住者947人、日本人の配偶者等266人、在留資格が技術・人文・国際業務193人、など。」

 加えて台湾では、閣僚たちが次々と給料を寄付することを表明しています。

 蔡英文総統は、「1カ月分の給与を寄付するとの意向を明らかにした。総統のほか、頼清徳副総統と、蘇貞昌行政院長(首相)も、それぞれ月給相当を寄付するという」。

 上記記事には、以下の情報もありました。

「台湾は今週、ウクライナ支援第1弾として、27トンの医療物資を送っている。関係者がロイターに述べたところによると、蔡氏の総統としての給与は月額40万台湾ドル(1万4250米ドル)程度だという」。

 こんなところで給与額がバレるとは、蔡総統も思っていなかったでしょう。

 いずれにせよ、世界各国でウクライナへの支援の輪が広がりつつあります。台湾ではこのウクライナ問題は他人事ではなく、まさしく自分たちにも直結する話なので、テレビでも四六時中、この話題を取り上げています。24時間、キエフの状況を映し出しているテレビ局もあります。危機感が次第に高まっているといえるでしょう。

◆ウクライナ危機を利用する中国

 一方、中国はウクライナ危機を利用して、またもや台湾を貶める行動に出ました。中国がウクライナ現地の中国人をチャーター機で撤収させる際、登場対象に台湾人も含めることを発表したのです。

 しかし、ウクライナにいる台湾人は、すでにロシアの侵攻が始まった24日にはポーランドへ出国するために首都キエフからバスで移動しており、中国のチャーター機に乗る必要はなかったのです。

 にもかかわらず、中国が「台湾人も乗せる」とわざわざ表明したのは、台湾政府の台湾人保護がうまくいっていないと貶め、「中国の一部である台湾の民衆を中国が助ける」というイメージをばらまくためです。台湾政府はこうした中国の発表について「不純な意図がある」と反発しました。

 ロシアのウクライナ侵略は、当然、中国にとって台湾侵略の布石ともなります。そのため、アメリカは台湾と歩みを合わせるために、米代表団が訪台しました。

「バイデン米大統領が派遣したマレン元統合参謀本部議長ら元政府高官が1日、台湾を訪問した」。「蘇貞昌・行政院長(首相)は1日、代表団の訪台について「台米関係の重要性と、米国がこの地域の平和を重視し台湾を支持する強固な姿勢を示している」と歓迎の意を表した。2日夜には蔡総統との宴席が予定されている。」

◆重要性を増す日米台の民主主義国の連携

 今回のロシアの行動については諸説ありますが、ネットでも、裏で糸を引いて漁夫の利を得るのは中国だ、という説が散見されます。

 同じ共産圏でも、これまでの中国はロシアを抜くことはできなかったし、対等でもありませんでした。旧ソ連時代から、共産主義国としては、やはり本家のロシアより中国は格下の立場でした。それを、この戦争に乗じて覆し、経済面、産業面、政治面などあらゆる局面で、中国がリーダーシップを取れるように立ち回っている、という説です。

 西側諸国がロシアを金融界から追い出せば、ロシアは人民元建てでの経済に依存するようになるし、西側が放棄したロシアの大量のエネルギーを中国が安く買い叩くことができる、といった論が起こっているというのです。

 前述しましたが、もともと中国とロシアは何度も対立を繰り返してきました。ロシアもかなりしたたかですから、中国にいつまでもおとなしく従うことはないでしょう。むしろいずれ反目し合う可能性もあります。

 とはいえ、ロシアは制裁を決めた日本に対して反発し、中国とともにさまざまな挑発を仕掛けてくる可能性があります。実際、3月2日には北海道根室沖にロシアの航空機が領空侵犯しました。中国の尖閣諸島での活動に加え、ロシアの挑発も増えてくることでしょう。

 東アジアでは、中ロの独裁国家連携に対して、日米台の民主主義国の連携がますます重要となってきます。間もなく大統領選挙が始まる韓国は、与野党候補のどちらが大統領になっても、あまり頼りにならないでしょう。

 実際、アメリカが発表した対ロシア制裁の参加パートナー32カ国から、韓国は外されました。文在寅政権がロシア制裁に消極的だからです。

 今回のウクライナ問題をきっかけに、東アジアの新しいアライアンスがより鮮明になりつつあります。それだけ、台湾や尖閣への危機が迫っているということでもあるのです。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。

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