日華懇「戸籍PT」座長の滝波宏文議員夫人が戸籍の台湾表記への変更を申請

本誌5月29日号でお伝えしたように、5月26日に戸籍法施行規則の一部を改正する法務省の省令が施行され、戸籍の国籍欄や出生地欄に「台湾」と記載できるようになりました。

また、出生届や婚姻届などの届出用紙でも「記入の注意」に説明を付けて、台湾出身者は「台湾」と記載できるようになっています。

そこで指摘したように、ことは台湾人の人権や尊厳にかかわる問題であり、少なからぬ実害が出ている問題でした。

そして、何より台湾出身者を「中国」国籍と記すことは、中国が主張する「一つの中国」を日本が承認している証だとみなされかねない懼れがあり、日本政府の立場や日中共同声明にも合致しないこのような戸籍表記は一刻も早く改められるべき問題でした。

この問題の解決には超党派の国会議員でつくる日華議員懇談会の「戸籍における国名表記問題に関するプロジェクトチーム(戸籍PT)」の滝波宏文・座長(参議院議員)をはじめ国会議員の方々のご尽力により解決に導くことができました。

滝波議員は台湾出身の女性と結婚しており、婚姻届を市役所の窓口に提出したとき、本籍欄に妻となる女性の国籍を「中国」と記さなければならなかったときの衝撃をまざまざと覚えているそうで、台湾出身者の戸籍問題の解決のために大車輪の活躍でした。

下記に紹介する産経新聞によると、滝波議員夫人の史織さんは、滝波議員と結婚して日本に帰化した後も「台湾は中国ではない。

私の実家がよその人に『ここは俺の家だ』といわれるような気持ち。

納得できない」と釈然としない思いを抱いていたそうです。

そこで、戸籍の国籍欄や出生地欄に「台湾」と記載できるようになったことから、6月2日、滝波議員が夫人に同道し、地元の福井県大野市の市役所に赴き「戸籍の出生地について『中国台湾省〜』から『台湾〜』表記への変更申請を同市役所に届け出た」そうです。

本会には、2009年ころから、台湾人女性と結婚した日本人の方や日本で米国人と結婚した台湾出身の女性らから「何とかして欲しい」との要望が寄せられていました。

皆さんの思いは「台湾は中国ではない」という史織夫人と同じ思いでした。

戸籍の婚姻欄の配偶者の国籍が「中国」にされている方や、出生欄の出生地が「中国台湾省〜」と記載されている方で、「台湾」への変更を希望される方は、市区町村の窓口で変更申請をして下さい。


台湾出身者「やっと…うれしい」戸籍の「中国」表記→「台湾」可 「尊厳に関わる問題」【産経新聞:2025年6月4日】https://www.sankei.com/article/20250603-AQXXAIVKPJFYDCYHYPD427RT74/

戸籍法施行規則が5月26日に改正施行され、戸籍の「国籍」欄の表記が「国籍・地域」に改められ、台湾出身者が従来の「中国」でなく「台湾」と記載することが可能となった。

台湾出身者は昨年6月時点で約6万7千人おり、既に「中国」と記載される台湾出身者も表記変更が可能となる。

多くの台湾関係者にとって「台湾」記載は長年の悲願で「うれしい」と静かに喜びをかみしめる。

◆日華懇が水面下で調整

「やっと『中国』ではなく『台湾』と書ける。

もっと早く…との思いもあるが、うれしい」

福井県大野市の滝波史織さん(52)は2日、戸籍の出生地について「中国台湾省〜」から「台湾〜」表記への変更申請を同市役所に届け出た後、産経新聞の取材にこう語った。

約1週間後に申請が反映されるといい、「戸籍のコピーを郵便で送って実家の両親に見せたい」と喜びを打ち明ける。

史織さんは台湾出身で2002年、自民党の滝波宏文参院議員と結婚、同年帰化が認められた。

「心から自分を日本人と思っている」という一方、戸籍の出生地欄に記載された「中国台湾省」の記載に釈然としない思いを抱いていた。

「台湾は中国ではない。

私の実家がよその人に『ここは俺の家だ』といわれるような気持ち。

納得できない」

台湾出身者の「中国」表記は「台湾人の人権や尊厳に関わる問題」(日本李登輝友の会)だ。

是正に向けて、超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)は22年11月に戸籍PTを発足し、木原稔前防衛相や山下貴司元法相らが戸籍法を所管する法務省との調整にあたった。

滝波氏もPT座長に就任、今回実施された氏名の振り仮名記載を可能とするシステム改修に合わせ、施行規則を改正することで改正の道筋をつけた。

◆「台湾は中国ではない」

この問題は、日本に帰化した台湾人の出自に関するものにとどまらない。

日本人女性と結婚した台湾の立法委員(国会議員に相当)も、滝波氏に対し、妻の戸籍に配偶者として「中国」と書かれていたことを明かした。

「台湾の国会議員が、日本の戸籍上の扱いで中国にされるのはおかしい」(滝波氏)と疑問視される問題も、今回の改正で「台湾」表記が可能になり解消されるという。

「台湾出身者も台湾人にとってもうれしいニュースだ」

台湾メディアの中央通信社東京支局、楊明珠支局長も産経新聞の取材に今回の施行規則の改正を歓迎し、「台湾は中国ではない。

日本政府がいろいろな形で台湾を認めてくれるのがうれしい」と語っている。

(奥原慎平)。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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