外務省元中国課長への反論(下)【石川公弘】

外務省元中国課長への反論(下)【石川公弘】
武力で台湾を吸収しようとすることこそ「中国の邪念」

外務省元中国課長への反論
                        石川台湾問題研究所代表 石川公弘

 外務省元中国課長であった浅井教授に、私は次のように反論したい。

(1)日中の相互信頼を妨げたのは江沢民の登場である

 浅井教授は、自分の外務省中国課長時代、それまでの日中友好3原則に、「相互信頼」な
るものを提案して4原則にしたという。その後、日中の「相互信頼」は有名無実になって
しまったが、有名無実にしたのは日本側に責任があるかのようなニュアンスでレポートを
書いている。
 しかし、その責任の大部分は中国側にある。「4原則」を取り決めた中国側の責任者・胡
耀邦が、その後中国の政変によって失脚してしまったのだ。総書記と言えば、中国では第
一級の大物である。それが政治の自由化を嫌った独裁者!)小平によって、一夜のうちに失
脚させられた。代わって登場したのが江沢民。彼は口を開けば日本を非難し、各地に無数
の抗日戦争記念館を建設して、反日教育に熱中した。そんな無茶苦茶な国を、だれが信頼
するだろうか。

(2)中国の覇権主義こそアジアの暗い影である
 
 浅井教授は、日中の関係改善に常に暗い影を投げかけているのは、アメリカであると非
難する。確かに世界で唯一の超大国になったアメリカの、特にブッシュ政権の、世界の警
察官気取りの行動には、私も懸念は抱く。しかし、東アジアにおける緊張をすべてアメリ
カの行動のせいにすることには、賛成できない。むしろ中国の覇権主義こそ、アジアに暗
い影を落としていないのか。
 教授のレポートは、中国を肯定的に評価するばかりで、その覇権主義について一言の批
判もない。これは公平を欠くものである。我々の歴史には、アメリカを非難攻撃し、全体
主義国と結託したがために、国を破滅させた苦い先例がある。中国の言い分にすり寄るだ
けの日中友好は、「百害あって一利」なしである。

(3)民主化された台湾を否定するのは時代の逆行である

 浅井教授のレポートは、李登輝総統による台湾の民主化を、「一つの中国」への撹乱要
因としてとらえている。台湾の自由化、民主化を評価するところが全くない。李登輝総統
の登場によって、台湾は大いに変わった。全体主義国家から民主主義国家へ無血革命とも
言える変化が起きたのである。それは歓迎すべき変革でなかったのか。40年近く、戒厳令
下で苦悩してきた台湾の人たちは、それを大いに歓迎した。
 中国人の理不尽な圧制と腐敗の体制下で、台湾人意識は確実に育ち、自分たちを中国人
ではなく台湾人だという意識を多くの人が持つようになった。その台湾人が民族自決を叫
んでいる。こうした台湾側の変化が、「一つの中国」という虚構を崩している。今日、台
湾海峡の両側には、中国人しかいないという解釈こそ、実態とかけ離れたものである。台
湾民主化の動きを、「一つの中国」の好ましからざる撹乱要因として捉える教授の考えは
、全く時代に逆行している。

(4)「跋扈」しているのはむしろ親中国ロビーである
 
 まず辞書を頼りに言葉の定義から入ると、「跋扈」という言葉は、「悪いものが思うま
まに勢力をふるうこと」とある。浅井教授の立場からすると、親台湾のロビー活動は、悪
いことになるらしい。そしてそうした悪い動きは、台湾が豊かになり、金が出来たからと
いう解釈らしい。しかし政治家を含め、多くの日本人が台湾を好むようになったのは、台
湾が豊かになって台湾から何かもらったからではない。台湾が民主化され自由な国になっ
たため、強い連帯感を抱くようになったからである。
 李登輝総統という日本をよく理解する指導者が台湾に出現したことも大きい。我々台湾
サポーターは、何の見返りも求めていない。「袖の下をもらったと勘ぐる人こそ、袖の下
を貰って中国のために働いているのではないか」と、逆に私は勘ぐってしまう。中国は贈
収賄花盛りのお国柄だ。教授は、汚職天国中国の実態をどう見ておられるのか。それこそ
「跋扈」の名に相応しいのではないか。

(5)中国は国内矛盾を外へ向けるためナショナリズムを操作している

 浅井教授は中国ナショナリズムを、「政権首脳部が仮に妥協しようとしても、広範な人
民がそれを許さないと私は確信している」と自信たっぷり賛美している。だが教授は、中
国のナショナリズムを賛美はしても、中国のデモクラシーに関心はないらしい。また何億
という農民が貧富の格差と独裁政権の圧制に苦しんでいるのも、理解していないようであ
る。
 最近の反日デモに見られるように、中国のナショナリズムは、中国政府によって操作さ
れ、扇動されたり、抑圧されたりしている。ある日全国的に荒れ狂ったかと思うと、翌日
は沈静化する。国内に鬱積する不満を、外に向けるのは独裁政権の常套手段であり、その
格好な標的が日本なのである。

(6)武力で台湾を吸収しようとすることこそ「中国の邪念」である

 浅井教授は、「要は、アメリカと日本が台湾に対する邪念を捨てること、問題はこれに
つきる」と結論づけている。これを中国人が言うのなら私は理解するが、日本人しかも日
本の国益を主張すべき外務省の役人だった人が、言う言葉とはとうてい考えられない。こ
の人は中国政府の広告塔なのかと疑ってしまう。いわゆる反日的日本人の代表格だと思っ
てしまう。こういう人物が、たとえ一時期にせよ、日本外務省の対中国政策を司っていた
という事実を、私たちはどう考えたらよいのだろう。 
 一握りの人間が政治も経済も掌握する独裁帝国が、武力で台湾を併呑しようとする。そ
れこそ「独裁帝国中国の邪念」でなくて何であろうか。


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