呉外交部長が豪テレビ局インタビューで日米豪印との協力強化を求める

呉外交部長が豪テレビ局インタビューで日米豪印との協力強化を求める

 中国外交部の趙立堅報道官がオーストラリア軍の兵士がアフガニスタンの子供を殺そうとしているフェイク画像をツイッターに投稿したことで、オーストラリア政府はモリソン首相が緊急声明を発表、オーストラリアと中国の関係がぎくしゃくする中、台湾外交部の呉[金リ]燮部長は11月30日、オーストラリア放送協会(ABC:Australian Broadcasting Corporation)の単独インタビューを受けた。インタビューの内容は12月1日にテレビとインターネットで公開されたという。

 台湾の「Taiwan Today」誌によれば、呉外相は、台湾海峡両岸、台豪関係、米大統領選後の台米関係などについて話し「米、日、豪、印など近い理念を持つ国々との情報交換や協力を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に努めたい」と強調したと報じている。

 「ニューズウイーク」誌も、呉外相のインタビュー内容をかなり詳しく伝えている。いささか長いがその全文を紹介したい。また、Taiwan Todayの記事およびオーストラリア放送協会の国際ニュース番組「The World」の動画も紹介したい。

◆Taiwan Today:外交部の呉部長、豪テレビ局の単独インタビュー受ける[12月2日] https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=190053&unit=149&utm_source=

—————————————————————————————–台湾外相が豪に支援要請、中国の侵攻回避で【ニューズウイーク:2020年12月2日】https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/12/post-95113.php

◆フェイク画像をめぐり中国とますます険悪になったオーストラリアに、台湾外相が台湾防衛への協力を要請

 オーストラリア軍の兵士がアフガニスタンの子供を殺そうとしている偽画像を中国政府の報道官がツイッターに投稿した事件で豪中関係が一段と悪化するなか、台湾外相はオーストラリア政府に中国の台湾侵攻を抑止するための支援を呼びかけた。

 台湾の呉[金リ]燮(ウー・シエチャオ)外交部長は、オーストラリアのテレビ局ABCのニュース番組「ザ・ワールド」に出演、台湾海峡での軍事衝突が起こるリスクは「以前よりもはるかに高まっている」と語った。

 台湾と中国本土を隔てる約160キロの海域における中国の軍用機と船舶の活動はここ数カ月、急激に活発化している。台湾政府は、中国が軍事力で台湾を再統一しようとすることを「非常に懸念している」という。

 12月1日に放映されたこの独占インタビューで呉は、11月に中国人民解放軍海軍が行った2回の大規模な上陸訓練をはじめ、台湾周辺で急増している中国の軍事活動の「圧力を感じている」と述べた。

◆戦火はアジア太平洋に波及

 中国空軍の軍用機は、毎日のように台湾海峡の中間線を越え、台湾の防空識別圏への侵入している。アメリカはこれに対抗して11月、中国の領空を侵犯したとも報じられているほどだ。

 呉外交部長は、中国政府が今年の夏、香港で国家安全維持法を施行したこと、東シナ海と南シナ海における紛争海域で軍事力による勢力拡大を進めていることを指摘し、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、中国を「これまで以上に独裁的」な国にしていると述べた。

 「中国側はまさに臨戦態勢であり、中国が台湾に対して軍事攻撃を開始する現実的な脅威を真剣に憂慮する」と、呉は番組で語った。

 台湾政府は、台湾と中国の軍事紛争はアジア太平洋地域に広く波及する可能性があると考え、準備をしている、と呉は言う。

 台湾は中国政府に「攻撃に踏み切る口実」を与えないよう、節度と責任をもって行動しようとしていると彼は主張した。しかし、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統率いる台湾政府は、8月と9月にアメリカの閣僚級政府当局者の公式訪問を初めて受け入れ、また2017年以降、トランプ政権下で米国務省と10件以上の武器取引を行っている。

 台湾は挑発的と見なされる行動を避けようとしている、と呉は主張するが、中国政府は米台関係はすでに一線を越えていると見て、繰り返し警告している。

 呉は、ジョー・バイデン次期大統領が提唱する民主主義国の連合に賛意を表明し、オーストラリアを含めて同じ志を持つ国々は中国の侵略に対抗するために協力すべきだと述べた。

 「オーストラリアは、インド・太平洋地域を構成する強国だ」と、呉は言った。

 「オーストラリアが(グローバルな)原則と価値観を守るために多くの犠牲を払ったことは、これまでの歴史で明らかだ。だから日本やオーストラリア、インド、アメリカなど、同じ志を持つ国々とも協力して中国の拡張主義の進展を防ぐことができると思う」

 「私たちはこれまで一貫して、台湾の防衛はみずからの責任であり、自分の手で台湾を守ると明言してきた」と、呉は語った。その一方、「台湾とアメリカ、その他の同じ志を持つ国々がそれぞれに保有する中国に関する情報を共有できることを望んでいる」。

 「なぜなら、わが国が中国について知っていること、認識していることだけでは十分ではないかもしれないからだ」

 台湾海峡で紛争が発生した場合の軍事支援の見通しについて、オーストラリア軍を「頼みにしているわけではない」と付け加えた。

◆新型コロナ以来の犬猿の仲

 オーストラリアは公式には、アメリカと同様、台湾を正当な政府とは見なさず、公式な外交関係を結ばない「一つの中国」原則を遵守している

 だが中国からの圧力にもかかわらず、台湾とオーストラリアの「実質的な」関係を継続的に進展させる余地はあると呉は指摘した。

 12月1日に中国外務省の趙立堅(チャオ・リーチエン)報道官がオーストラリア兵に関する偽画像をツイートして以来、オーストラリアと中国政府の間では非難の応酬が続いている。

 オーストラリアのスコット・モリソン首相はこのツイートを「きわめて不快」と表現し、中国に謝罪を要求。中国政府はこれをはねつけた。何度も記者会見を開いて自国の立場を繰り返し表明、この画像はアフガニスタンにおけるオーストラリアの戦争犯罪疑惑に関する事実に即した描写であると主張した。

 中国政府はかねてから、オーストラリアのワインに200%の関税を課すなど一連の制裁措置を取っていた。オーストラリアが中国を新型コロナウイルスの発生源として公式の調査を求めたことに対する報復だ。今回の偽画像問題で、豪中関係は一段と冷え込んだ。

 呉は、中国が貿易をオーストラリアに対する武器として選択したことは「本当に残念だ」と述べ、国際社会が団結してオーストラリアを支持する必要性を強調した。

 「団結すればわれわれはもっと強くなる」と、彼は言った。

 台湾が中国政府の圧力に屈すれば、台湾も香港と同じ運命になると呉は付け加えた。「民主主義国として、台湾はしくじるわけにはいかない」

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。

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