台湾のTPP加入 世界の経済発展に貢献  陳 銘俊(台北駐福岡経済文化弁事処長)

台湾のTPP加入 世界の経済発展に貢献  陳 銘俊(台北駐福岡経済文化弁事処長)

 昨日の本誌で、産経新聞に寄稿した台湾の黄嘉禄・刑事警察局長による「国際刑事警察機構(ICPO)参加支持を」を紹介しました。

 振り返ってみますと、日本に駐在する台湾の外交官には論客が多いようです。

 中でも謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表は2016年6月9日に着任するや、2ヵ月後の8月2日に「南シナ海の平和には対等な話し合いを」世界日報紙に寄稿、その後も産経、朝日、毎日、読売、日経、東京の各新聞や月刊誌などに28本も寄稿しています。

 台北駐日経済文化代表処札幌分処処長だった周学佑氏(現、台湾日本関係協会秘書長)も、本会の北海道道央支部で講演したり産経新聞に寄稿するなど多彩な方でした。

 10月1日に陳忠正処長の後任として着任した陳銘俊氏もまた筆の立つ方で、着任して1ヵ月しか経たない11月1日、産経新聞に台湾のTPP加入について寄稿しています。

 陳銘俊氏は、許世楷氏が台北駐日経済文化代表処代表(2004年〜2008年)をつとめたときに特別秘書として許代表の補佐として活躍しました。このような日本で培った経験を糧に日台関係のさらなる発展につながるための意見を述べたいとして、台湾のTPP加入を実現したいと訴えています。

—————————————————————————————–台湾のTPP加入 世界の経済発展に貢献陳 銘俊(台北駐福岡経済文化弁事処長)【産経新聞「陳銘俊の一筆両断・特別編」:2021年11月1日】

 私は令和3年10月1日付で台北駐福岡経済文化弁事処の処長(総領事に相当)に着任した陳銘俊と申します。福岡駐在の「総領事」は、九州・山口を中心に、日本と台湾の一層友好な関係を形成するとともに、この地域に生活する台湾人の生命と生活を守る責任を負っています。

 私は、これまで東京や大阪で勤務したり、大学で学んだりした経験がありますので、日本や日本の人々について一定の知識を持っているつもりですが、今回福岡勤務を拝命し、トータルで日本の多くの人口をカバーする地域の人々と接触する機会を得たことをきっかけに、より広く、高い視点から日台関係のさらなる発展につながるための意見を述べさせていただきたいと思います。そして、それが台湾人の考えを理解して頂くことにつながれば幸いだと思っています。

 その第一は、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入の問題です。TPPは日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、カナダ、ペルー、チリ、メキシコの11カ国が参加する自由貿易協定の一つで、アジア太平洋地域の人口5億人をカバーしています。参加国の国内総生産(GDP)は10兆ドルを超え、世界全体の約1割を占めています TPPはお互いの関税をなくしたり、投資のルールを透明にしたりすることで、貿易や投資を活発にして世界経済を発展させる狙いがあります。トランプ政権の下で離脱したアメリカが復帰すれば、さらに大きい規模となります。

 台湾の蔡英文総統は、2016年の就任時からTPP加盟を切望してきました。現在の台湾経済は中国に大きく依存し、輸出は4割強を占めています。統一圧力を強める中国への依存度を引き下げるためには、TPPに加盟する必要があります。もし中国が台湾より早くTPPに加盟した場合には台湾の加入は絶望的になるでしょう。加盟国すべての賛成があることが加盟条件だからです。幸い、今年(2021年)は日本がTPPの議長国の立場にあります。日本の強いリーダーシップの下で、台湾のTPP加盟が実現すれば、台湾の経済を大きく変革・発展させるとともに、民主主義、自由経済のルールの下で世界全体の経済発展に貢献できると考えています。

 新型コロナウイルスを一番有効に防御した台湾が世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加すら許されないことや、莫大(ばくだい)な資金力で台湾と国交関係のあった国々に断交を迫るなど、中国は台湾を世界の「村八分状態」に追い込んでいます。

 また、中国は「一国二制度」を英国と50年間守ると約束していたにもかかわらず、香港から自由を奪ってしまいました。あの時、ささやかれた「昨日のウイグル、今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄・九州」という言葉がいま不気味な現実味を帯びつつあると思います。

 日本と台湾は、これまでずっと助けあって来ました。世論調査では台湾人が一番好きな国はいつも日本です。一方、日本を取り囲むロシア、北朝鮮、韓国、中国などは日本に批判的、あるいは日本が嫌いな国々です。

 基本的な価値観を共有する台湾が現在の形で存在すること、台湾と手を携えることこそが、日本を守り、発展させることにつながるのではないでしょうか?

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【陳銘俊(ちん・めいしゅん)】1964年3月、台湾東部、花蓮県生まれ。台北市の中国文化大韓国語学科を卒業後、台湾外交部入り。大阪外国語大(現大阪大)や慶応大への留学経験がある。カリフォルニア大学バークレー校、ハーバード大学客員研究員。許世楷・台湾駐日代表(当時)の補佐官や台北駐ボストン経済文化弁事処の副処長などを歴任し2018年7月から日本の内閣官房にあたる台湾総統府で機要室長を務めた。趣味は語学研究。台湾語、中国語、客家語、アミ族語、広東語、英語、日本語、韓国語、スペイン語、フランス語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、ヘブライ語などの比較研究に取り組む。

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