台湾の教科書が変わった! 日本統治時代を初めて章扱いしてプラス面も記述

台湾の教科書が変わった! 日本統治時代を初めて章扱いしてプラス面も記述
昨日の本誌でも伝えたように、12月21日付の産経新聞は、今年9月から使われている台
湾の高校歴史教科書が「大中国主義」の歴史観から脱皮して、台湾史を中国史から切り離
した「台湾化」が進んでいることを報じた。
 具体的にどのように様変わりしているのかを、4回にわたって連載した。いささか長く
なるが、ここで一挙に紹介してみたい。                 (編集部)


教科書が変わった 台湾(1)「台湾民主国、10日で瓦解」「抗日事件相次ぐ」
【12月21日 産経新聞】

 公式教材となった台湾の新しい歴史教科書全5冊の中から主な記述を抄録する。

【日本軍上陸】

「19世紀中葉、日本と中国は同様に西側列強の侵略を受けた。明治維新後の日本はいきり
立ち、対外拡張に向かって『北進』と『南進』を同時に進めた。北進の主な目標は朝鮮半
島であり、南進の目標の一つが台湾だった」(南一)

「(清国が)『馬関条約(下関条約)』で台湾割譲による和議を申し出たという情報が伝
わると、大衆は激憤した。台湾民主国の成立で、国際勢力の介入を呼び込み、(独仏露が
遼東半島の放棄を日本に勧告した)『三国干渉』と同様、日本に台湾占領を放棄させよう
とした。(清朝の台湾における最高地方統治官である)台湾巡撫の唐景!)が総統に就任し
、1895年5月25日、台湾民主国が成立した。しかし抗日運動は脆弱で、10日あまりで瓦解
した」(翰林)

「日本軍が奥底(北部・基隆近郊)から上陸した後の6月初旬、唐景!)は台湾を離れ、約
100人の官員らも中国大陸に回帰した。日本軍は台北入城後の6月17日、台湾総督府で始政
式典を行い、台湾の植民統治が始まった」(南一)

「民間義勇軍による郷土防衛のための抗日活動が自然発生的に始まった。日本軍は援軍を
得てこれを鎮圧し、11月18日、台湾総督、樺山資紀は台湾全島の平定を宣言した。5カ月
の抵抗で死亡した台湾民衆は約1万4000人に達したが、各地の武装抗日行動は続いた」(
三民)

「民衆による血を浴びる奮戦の中、台北や台南で日本軍入城を歓迎した史実もある。換言
すれば、抗日行動だけが当時の民衆の態度ではなく、多数の人は(なだれ込む)日本に懐
疑の念と不安を抱いていた」(翰林)

【拡大する抗日運動】

「植民統治が始まって8年間、広がる武装抗日運動の中、各地の機関や派出所が次々と攻
撃された。しかし総督府は警察と保甲制度(連帯責任がともなう住民相互の互助・監視制
度)などを運用し、おびき寄せては捕らえ、迫害を受けたものは計3万2000人あまりにの
ぼる。
 総督府は抗日運動の鎮圧と同時に台湾経済の資本主義化の基礎作りを徐々に進め、日本
の資本家のための産業統制が始まり、台湾人の生業は無情な搾取と略奪に遭い、反日感情
が再び高まった。1907年からの9年間に10回あまりの抗日事件が相次いで起きた」(泰宇)

「平地における反抗が静まると、総督府は統治を山地の原住民へと広げたが、頑強な抵抗
に遭った。総督府は原住民の対外交通を封鎖。投降し帰順した原住民には森林伐採や土地
開墾などの仕事に従事させた。
 この原住民政策(『理蕃政策』)は軌道に乗ったかにみえたが、(後に台湾最大の反日
暴動である)『霧社事件』が勃発し、統治当局に衝撃を与えた。民衆は日頃の傲慢な警察
の態度や、強制労働などを思い起こし、1930年、公学校の運動会で140人の日本住民を殺害
した」(龍騰)

写真:9月から採用された台湾史を学ぶ新しい教科書


教科書が変わった 台湾(2)「風土や民情尊重」「学校制度確立」
【12月22日 産経新聞】

 台湾の高校歴史教科書に新たに設けられた日本統治時代の章には第4代総督の児玉源太
郎(1852〜1906年、日露戦争時の満州軍総参謀長)らが登場し、インフラ整備や教育など
の面で日本が果たした役割も直視しようとしている。

【社会の基礎建設】

「1898年、総督に児玉源太郎が、民政長官に後藤新平(1857〜1929年)が就任すると、台
湾の風俗、習慣、宗教信仰などを調査・分析し、政策決定に生かした。一方で風土や民情
を尊重するとして人心を丸め込み、反抗意識を取り除いた。総督府はこの時期、植民統治
の基礎建設を次々と完成させた。これには度量衡と貨幣の統一、(中央銀行である)台湾
銀行の設立、人口調査などがある」(翰林)

「総督府は上下水道を建設、大衆を動員して清潔な環境づくりをした。伝染病の予防につ
ながり、死亡率は大幅に低下した。医療面でも医学校を設立して台湾人医師を養成し、各
地に公立病院を設立した。予防接種や隔離消毒も実施され、台湾人の医療環境は大幅に改
善した」(南一)

【社会変革】

「日本人は台湾人のアヘン吸引、辮髪(べんぱつ)、纏足(てんそく)を『三悪』と見な
し、学校教育や宣伝活動を通じて徐々に廃止していった。総督府は週7日制を導入して休
日と祝日を定め、台湾全土にグリニッジ標準時(GMT)を取り入れた。公的機関の業務
や交通機関の運行も定刻に沿って行われるようになり、民衆は時間を守るという観念を養
った」(南一)

「アヘンは総督府が許可制にして専売事業となり、植民地財政の重要な財源となった。ま
た、総督府は女性が纏足をやめれば労働力になると考えた」(翰林)

【教育の近代化】

「日本統治時代に近代学校制度が確立し、教育普及の基礎となった。台湾人は学校で日本
語を習い、教科書から日本文化や世界の新知識に触れた。しかし、(統治)初期は日本語
教育と初等技術教育が主だった。初等教育は、日本人児童は小学校で、台湾人児童は公学
校で学んだ」(南一)

「(その後は)中等職業教育にも重点が置かれ、農業、商業、工業学校が相次ぎ設立され
、台湾の工業と経済発展の重要な基礎となった。最高学府は1928年創設の台北帝国大学だ
ったが、台湾人の進学は限られ、留学が選択肢のひとつとなった。留学先は日本が最多で
、留学生が持ち帰った新しい思想は台湾の政治、社会、文化活動に大きな影響を与えた」
(翰林)

「総督府は1920年代に『台湾教育令』を改訂し、台湾の教育体制を日本内地と一体化。共
学制が施行され、『内地人』『本島人』『蕃人』などの差別的な呼び方の使用をやめた」
(龍騰)

「日本当局が教育を推進したのは主に統治政策上の必要からで、初等教育を重視、『忠君
愛国』の思想を植え付けた。台北帝国大学設立も主に在台日本人子弟のためだった」(三
民)

写真:1899年に台湾初の中央銀行として設立された台湾銀行。総督府(現総統府)の隣の
   現在地に移転した後の1930年代に現在の社屋となった。

(注) 公式教材となった新高校歴史教科書の出版社は三民書局、南一書局、泰宇出版、
翰林出版、龍騰文化の5社(画数順)。 (台北 長谷川周人、写真も)


教科書が変わった 台湾(3)「製糖業発展」「運輸通信網を確立」
【12月23日 産経新聞】

 第一次大戦後、植民地解放機運が世界的に高まる中で、日本の台湾統治政策も大きく変
り、産業発展を促すインフラ整備が本格化した。台湾の高校教科書に新設された日本統治
時代の章は、日本が「同化政策」の下で進めたこうした近代化は結果的に後の台湾の発展
を支えたととらえている。

【武治から文治へ】

「日本による台湾統治の中期、台湾総督は(武官から)文官に変わり、武治から文治へと
転換した。統治政策が変わった要因は国内外にあった。国際的には、第一次大戦後、ウィ
ルソン米大統領による民族自決宣言の鼓舞を受け、民族自決の思潮が世界に広まった。日
本国内では、いわゆる『大正デモクラシー』の時期に当たり、自由民主の思想が広まった。
 こうした状況を背景に、日本は田健治郎を初の文官総督として派遣、台日間の差別待遇
の廃止や台湾人の政治地位の向上を掲げ、教育のほか法律や地方制度の改革に着手、日本
に近づけようとした」(南一)

【近代化建設】

「児玉(総督)、後藤(民政長官)の時期、新渡戸稲造博士の『糖業意見改良書』を参考
に産業発展政策が取られ、製糖業の奨励に力点が置かれた。1900年に台湾製糖株式会社が
設立され、資金調達から用地取得、販売まで総督府の保護と政策指導の下で行われて近代
的な製糖業の発展を促した。台湾人(経営する近代下した)製糖会社2社と、三井、三菱
など日本資本が主となり、独占状態を形成した」(翰林)

「製糖業以外にも、総督府はバナナ、パイナップル、お茶などの地方産業を重視、加工品
の輸出額は毎年増加して、台湾特産として世界に知れ渡った」(泰宇)

【インフラ整備】

「産業発展の基礎建設には、医療衛生や各種調査推進のほか、島内の南北を結ぶ運輸、通
信網の確立も急務だった。(基隆〜高雄間を結ぶ)縦貫鉄道が敷かれ、道路や港湾の建設
が始まり、郵便局や電信局も開設され、総督府は積極的に公共事業を推進した。台湾民衆
の郷土第一主義の打破につながり、『島内一体』の概念を形成、『台湾人』意識を芽生え
させた。発電所建設を通しては産業発展に必要な動力の供給を可能にした。1919年になる
と総督府は日月潭で、当時としてはアジア最大の水力発電所の建設に着手した」(龍騰)

「日本統治時代における台湾の経済発展で大切なのは農業経済に着眼したことだ。総督府
は土地調査から耕地面積を割り出し、水利・灌漑施設の整頓に力を注いだ。これは台湾の
農業生産に直接的な影響を及ぼし、地主階級と総督府の地租収入を助けることにもなった。
 1920年から総督府は台湾南部で(巨大灌漑施設の)嘉南大[土川]の建設に着手した。
技師、八田與一の計画の下、(烏山頭ダムの建設とともに)曽文渓と濁水渓の水源から行
われた水利工事は、30年に完工した。嘉南大[土川]の完工後、耕地面積の拡大と生産量
の増加がもたらされ、後の台湾の農業発展に深遠な意義を持った」(龍騰)

写真:八田與一の指揮下で建設された烏山頭ダム

(注) 公式教材となった新高校歴史教科書の出版社は三民書局、南一書局、泰宇出版、
翰林出版、龍騰文化の5社(画数順)。 (台北 長谷川周人)


教科書が変わった 台湾(4)「孤児意識」「日本降伏に心情複雑」
【12月24日 産経新聞】

 台湾史を教える新しい歴史教科書は、経済発展や社会改革を受けて高まる台湾の民族意
識を詳述する。しかし、戦時体制下のくだりは被抑圧民族としての視点からの記述に染ま
り、植民地政策に翻弄された台湾の複雑な立場がにじむ内容だ。

【高まる民族意識】

「1921年から台湾議会の設置と自治権を求める『台湾議会設置請願運動』が始まる。台湾
総督の圧力で活動が停止されるまでの14年間に15回の請願書を提出したが、日本(帝国)
議会は最後まで聞き入れなかった」(南一)

「1921年に結成された政治団体『台湾文化協会』は、『台湾文化の発達の助長を目的』に
掲げた。講演や文化活動を行って新思潮と近代文化を紹介し、台湾総督府の体制と(台湾
にとり)不当な施政を批判した。その後、分裂、台湾人による初の合法政党『台湾民衆党
』が結成され、(後にその一部が)地方自治の確立 を唯一の目標とした『台湾地方自治聯
盟』をつくった」(三民)

「総督府は1935年についに地方議会議員の制限選挙を実施する。台湾住民が初めて投票権
を有し、投票率は96%に達した」(南一)

「『台湾新文学の父』と呼ばれる頼和は民族主義を意識し、台湾語で文章を書いた。日本
語で小説を書いた呉濁流は『アジアの孤児』で、文化祖国(中国)からも植民母国(日本)
からも同一視されず、太平洋戦争期には双方からスパイ扱いされる台湾人の主人公を通し
て、自らのアイデンティティーを探し求める台湾知識 人の苦悩、日本統治時代の台湾人
の『孤児意識』を描き出した」(翰林)

【戦時体制】

「総督の専制統治下にある台湾は、日本の対外戦争の渦に巻き込まれざるを得なかった。
軍人出身の小林躋造(海軍大将)が総督となり、『皇民化、工業化、南進基地化』という
台湾統治の三大新方針を実施。太平洋戦争が始まると『大東亜共栄圏』を叫び、『共存共
栄』という修辞をもって、皇国を核とする日、満、華の 結合による『大東亜新秩序』を建
立しようとした」(泰宇)

「1936年末に『皇民化』運動が展開されたが、目標は台湾人の政治と文化のアイデンティ
ティーを改変することで、彼ら(台湾人)を日本天皇に忠誠を尽くす『子民』とした。(
皇民化運動には日本語の浸透を図る)『国語』運動のほか、台湾固有の信仰宗教の信者の
日本神道への改宗、改姓、志願兵制度などが含まれ た」(南一)

「中日戦争勃発後、日本は、台湾、日本、東南アジア間での分業体制化を進め、旧式設備
を台湾に持ち込み、東南アジアの工業原料を台湾で加工、製品を日本や東南アジアに運ん
だ。この結果、台湾の金属、化学、機械などの軍需工業は急速な成長を遂げ、農産加工、
紡績などの生産能力も増大した。しかし、1944年以降、(米軍など)同盟軍の空襲による
破壊の影響で、大部分が停滞状態に陥った」(泰宇)

「1945年8月15日、日本天皇は日本の降伏を宣布した。台湾人は戦争の結果に極めて複雑
な心情を抱いた。最後の台湾総督である陸軍大将の安藤利吉は論告を発布し、『冷静にな
り、落ち着いて生業に励め』と呼びかけた」(翰林)

写真:現在の台湾総統府。1919年に建てられた総督府が終戦前年の空襲で部分的に焼失、
   その後修理されて今に至っている

(注)公式教材となった新高校歴史教科書の出版社は三民書局、南一書局、泰宇出版、翰
林出版、龍騰文化の5社(画数順)。(台北 長谷川周人、写真も)=おわり


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