台南・赤嵌楼に設置された「最後の台南市長」羽鳥又男の胸像(その2)

台南・赤嵌楼に設置された「最後の台南市長」羽鳥又男の胸像(その2)
台南市政府と許文龍氏宅を訪問した(3)
                               羽鳥 明子

■奇美博物館のこと
 今回、許文龍氏の奇美博物館を石榮堯館長さんに案内していただいた。こんな
に扱う種類が多く、分かりやすく、興味深い博物館をはじめて見た。西洋絵画・
日本絵画、彫刻、楽器、武器、動物や昆虫の剥製……隕石まで。まるで家の子供
用図鑑を実際に集めたようなところだった。実際に、台湾中の子どもたちに無料
開放しているとのこと。
 もうけたお金は社会でこう使うべきものだと示唆しているようだ。
 種子島銃の陳列棚の前で
館長さん:「種子島銃を実際に戦いで使ったのは誰ですか?」
私:「……のぶなが、でもなんでそのような事を知っているのですか?」
館長さん:「日本時代に勉強させられたからですよ」
 嬉しそうに言われると、なんとも複雑……。

■奇美博物館の概要
 奇美博物館は台南市の郊外、台南県仁徳郷三甲村59−1号にあって、奇美実業
本社ビルに向かって左側にある。前庭に大きな立像群があるので先ず驚かされる。
地下1階:300人収容の音楽ホール、1階:喫茶、おみやげ販売コーナー、5階:美
術区、6階:楽器区、兵器区、動物区、7階:西洋絵画区、古文物区、8階:西洋絵
画区、西洋雕塑区、大型動物区となっている。子連れで行くと必ず興味あるもの
が発見できる。

■奇美博物館及び許文龍が保有する楽器のこと
 許文龍氏はヴァイオリンを弾き毎週ホームコンサートを開いておられるが、私
共訪問と同じ日にヨーロッパの著名なヴァイオリニストが訪ねてこられた。
 台湾は音楽の島で世界中の一流演奏家が頻繁に訪れるのだ。日本の多くのヴァ
イオリニストが欧米の音楽院で台湾系の先生に師事していることからもレベルの
高さがわかる。
 奇美博物館及び許文龍氏が保有する名器は多く1600年代から1800年代のヴィオ
ラ、ヴァイオリン、チェロなど20ぐらいはあるようだ。1億円以上するものなど、
私のような素人には、骨董的価値と実用的価値についての想像がつかない。
 日本人のアマチュア・ヴァイオリニストが『台湾でストラディヴァリウスを弾
く』(徳山幸一郎氏)と感激して1冊の著作がでているほどである。
*編集部注 徳山幸一郎『台湾でストラディヴァリウスを弾く−台湾での音楽体
 験と音楽を愛する人たちとの出会い』(パレードP.Press出版部、1,575円、平
 成16年10月刊)

■美術品について
 前館長で直之お父さん旧知の 潘元石氏が駆けつけて来てくださり芸術品の説
明をして下さったのには恐縮してしまった。又男おじいさんの胸像制作を監督さ
れた方である。美術品蒐集家として著名な方とのこと。日本の美術館のように高
価なものを目玉にするような豪華主義では無く、教育的なコレクションをされて
いると思う。

■烏山頭ダムのこと
 李登輝前総統の演説や許文龍氏との会話の中でもたびたび登場する八田與一氏
の烏山頭ダムも見学した(台南市からバスで往復3時間)。
 金沢出身。東大卒業後まもなく(今から80年ほど前)台湾に任命された。当時
自動車などほとんどなく、歩きや自転車が当たり前で、戦争よりも疫病で死ぬ人
のほうが多いという生活レベルの中、長い時間をかけ自分で地形を調べて指揮を
とった。31歳の時である。15歳年下の方と結婚、8人の子を授かるが、全く家庭は
顧みず、家のことはすべて妻の仕事(これは日本内地でも同じような家庭ばかり
だったと思われるが)。2、3年ごとにマラリアやチフスなどの疫病にかかりなが
らも、終生台湾につくされた。
 與一氏は56歳の時、南方開発派遣要員として新しい任地に赴く際に乗っていた
船が魚雷攻撃をうけ撃沈され死去。夫人は3年後日本の敗戦により強制送還され
る前に、台湾を離れる事を拒否し、夫與一氏所縁の烏山頭ダムに身を投げられた
。ダムができたお陰で嘉南平野の15万戸の農家に水を送ることが可能となった。
今でも與一氏の誕生日には毎年欠かさず、八田氏記念公園でその功績に対する感
謝の祭りがあるとのこと。週末は119歳の誕生記念祭とのこと。(このダムは世界
第3位の人工湖として通称八田ダムとも言われている。(これは現地のダム記念
館で日本語ビデオを見ての記録です)
*編集部注 八田與一の誕生日は2月21日(明治19年、1886年)。石川県河北郡今
 町村(現、金沢市今町)にて、八田四郎兵衛とサトの5男として生まれた。昭和
 17年(1942年)5月8日、フィリピンに向う途次、アメリカ潜水艦の魚雷攻撃を
 受けて乗船していた大洋丸が撃沈され、東シナ海にて死亡した。今年は生誕119
 年、歿後63年。
 八田氏銅像は湖水を見て何か考え事をしているような風情である。金沢の兼六
園と同じ琴柱の灯篭が添えられていた。金沢につながりのあるひとのシンボルと
すぐ理解できた。
 週末5月8日の「追思八田技師系列活動表」が嘉南農田水利会 会長の徐金錫氏
名で掲示されていた。記念音楽会、歓迎友好昼食会、「追思八田技師祭典」119歳
冥誕とあった。 場所は嘉南農田水利会烏山頭水庫、八田記念公園などである。
                                 〈続く〉
                     【シニアネット170号・7月10日号】


●メルマガのお申し込み・バックナンバー・退会はこちらから。
 http://www.melma.com/mag/57/m00100557/
●ご意見・ご感想はこちらに。
 ritouki-japan@jeans.ocn.ne.jp
●ホームページはこちらから。
 http://www.ritouki.jp/


マガジン名:メールマガジン「日台共栄」
発 行 日:毎週配信
発   行:日本李登輝友の会



タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,