フランスから上院に続き下院の超党派議員6人が訪台

フランスから上院に続き下院の超党派議員6人が訪台

 本誌は、台湾とヨーロッパが関係を強化しつつあることに注目し、その嚆矢として、チェコ共和国の首都プラハ市が北京市との都市間提携を取り止め、昨年(2020年)1月13日に台北市と姉妹都市協定を締結したことを挙げ、それ以降の動きを逐次お伝えしている。

 今年に入ってからはその動きがいっそう顕著となり、フランス、オランダ、リトアニア、スロバキア、チェコ、イギリス、アイルランド、ドイツで、次々と中国・新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族の状況について「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定する動議や台湾の国際機関への参加を支持する決議が採択されている。また、ヨーロッパから続々と台湾訪問が続いている。

・10月6日、フランスのアラン・リシャール元国防省率いる上院議員団4人が訪台。・11月3日、欧州連合(EU)欧州議会が公式代表団として、フランス選出のラファエル・グリュックスマン議員を団 長に、リトアニアのアンドリュス・クビリュス元首相やチェコ、ギリシャ、イタリア、オーストリアの6カ国から選 出の7人と議会事務局スタッフ13人を派遣。・11月28日、リトアニア、エストニア、ラトビアのバルト3国の国会議員団10人が台北で開催されるフォーラム「2021 年開放国会論壇」に参加するために訪台。・12月5日、スロバキアから、経済政務次官が率いる政府や産学関係者43人が訪台。

 今度は、フランス国民議会(下院)の前下院議長で、親台派議員連盟で主席を務めるド・リュジ議員を団長とする、下院で外交や財政委員会に所属する超党派の6議員が12月15日から台湾を訪れている。

 台湾の中央通信社はド・リュジ氏の台湾訪問は2016年に次いで2度目だと伝え「19日までの滞在期間中、蔡英文総統をはじめとする政界関係者を訪れ、台湾側と新型コロナウイルス禍後の経済回復やデジタル転換、インド太平洋地域の安全保障などについて意見交換する。文化や経済関連施設も視察する予定」と報じている。

 下記に紹介する朝日新聞は、このフランス下院議員訪台団の目的を「中国の巨大市場を欧州にさらに開かせる狙いから、対話と牽制(けんせい)を組み合わせる姿勢をとる。今回の議員訪台もそうしたカードの一つになるとみられる」と分析している。

—————————————————————————————–台湾支持広がる欧州 フランス議員ら続々訪台、中国にらみ対話と牽制【朝日新聞:2021年12月15日】https://www.asahi.com/articles/ASPDH6757PDHUHBI00Z.html?pn=11&unlock=1

 フランスのドリュジ前下院議長らが15日、台湾を訪問した。16日に蔡英文総統と会談する。仏議員団の訪台は10月に続いて今年2度目。マクロン政権は台湾との関係が、中国との外交カードになるとして黙認しているとみられる。

 台湾外交部(外務省)によると、一行はドリュジ氏のほか、下院で外交や財政委員会に所属する超党派の6議員。ドリュジ氏は下院の台湾友好議連トップも務めているという。

 19日まで滞在し、蔡政権の幹部とも会談する。中国の軍事圧力や、台湾が世界的な優勢を誇る半導体産業での協力などについて、意見交換するとみられる。

 ドリュジ氏は環境相などを歴任し、マクロン氏を初当選時から支えた側近の一人。11月末、台湾が世界保健機関(WHO)の年次総会などに参加できるよう促す決議が下院で採択された際、共同提案者となった。

 フランスの政治家では10月にも、元国防相の上院議員らが台湾を訪問。仏外務省は当時「訪問先は国会議員が自由に決めるもの」と容認した。今回も中国の反発は織り込み済みだ。

 フランスは中国に対し、「インド太平洋地域で築かれつつある覇権」や人権問題に懸念を示しつつ、北京冬季五輪の外交ボイコットには加わらないことを表明。中国の巨大市場を欧州にさらに開かせる狙いから、対話と牽制(けんせい)を組み合わせる姿勢をとる。今回の議員訪台もそうしたカードの一つになるとみられる。

 一方、国連非加盟で日米欧などの各国政府と正式な外交関係を持たない台湾は近年、議員外交に力を入れてきた。相手国が、台湾を自国の一部と唱える中国の圧力を懸念し、台湾との関係強化に尻込みするのを避けるためだ。

 蔡政権は、中国との対立を深める米国が台湾支持の姿勢を鮮明にするなかで、欧州との関係強化に努めてきた。

 昨年以降、チェコや仏、バルト3国、スロバキアから議員や政府職員の訪問団を受け入れた。今年11月には欧州連合(EU)の欧州議会に所属する6カ国の計7議員の公式訪問も実現しており、欧州内で台湾との関係強化を探る動きが広がりつつある。

 北大西洋条約機構(NATO)に依存する小国もあることから、米シンクタンクの関係者は「米国は各国と連携して中国を牽制(けんせい)する戦略を描いている。NATOの枠組みを台湾支持へのテコにしている可能性もある」とみる。

 ただ、巨大市場の魅力や経済協力をうたう中国に比べ、台湾が各国に提示できる「実利」は限られる。スロバキアの経済政務次官は訪台時の会見で、半導体をめぐる協力に期待を示し、「我が国は欧州の自動車生産の拠点だ。それが台湾訪問の最大の理由でもある」と言い切った。蔡政権は外交政策で中国との援助競争はしない方針で、各国の支持をいかに維持できるかが今後の課題になる。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は15日、仏議員団の訪台について、「いかなる形式であれ、中国と国交を結ぶ国と台湾との公的、政治的交流には断固として反対する」と表明した。そのうえで各国に対し、中国が主張する「一つの中国」原則の順守を改めて求めた。(台北=石田耕一郎、パリ=疋田多揚)

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