【世界日報「View point」):2025年5月12日】https://www.worldtimes.co.jp/opinion/viewpoint/20250512-195156/
「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか(一つのみ選択)」という質問に、76%の台湾人が「日本」と回答した。
第2位は韓国の4%、第3位は中国とアメリカが3%で並んだ。
これは、昨年12月27日から今年1月5日にかけて、台湾に対する日本の公式窓口機関である公益財団法人日本台湾交流協会が実施した世論調査の結果である。
◆4人に1人以上が訪日
3年前の同じ調査では、日本は1位とはいえ60%だったから16%増となった。
年齢階層別に見ると、65歳から80歳では、前回の51%が70%へと19%増、50歳から64歳が前回の47%から74%へと17%増と急増したが、この3年間に、台湾の壮年、高齢者の間で、日本の印象が劇的に好転するような何があったのか、ちょっと思い浮かばない。
若い世代では、20歳から29歳は全体と同じ76%だが、30歳から39歳は82%で最高値、40歳から49歳が79%だった。
30代、40代という社会的中核層において、ほぼ8割の台湾人が、「日本が最も好き」と言っているのである。
「海外旅行する場合、どこへ行きたいか」(一つのみ選択)という問いでは、68%が「日本」と答えて、「ヨーロッパ」11%、「中国」5%、「アメリカ・カナダ」4%、そして「韓国」3%を大きく引き離した。
新型コロナウイルス感染拡大で、国境を越えた人の移動がなくなった2020年より以前、17、18、19年に日本を訪れた台湾人の数は、456万人、476万人、489万人だった。
台湾の人口は2300万人ほどだから、実に5人に1人が訪日していたわけで、なおかつその数は年々増大していた。
コロナ禍で1度はほぼゼロになったが、コロナ禍が明けた23年には420万人に回復し、昨年24年は604万人で記録を更新した。
実に、4人に1人以上が日本を訪れた計算になる。
こうした訪日者数データを見れば、台湾の人々は、日本や日本人の実像を知らず、遠目に見た憧れで「日本が好き」「日本に行ってみたい」と言っているのではなく、日本を訪れ、日本食を食べ、日本人と接触しながら、ますます日本を好きになってくれているのである。
そして「日本のどの分野に関心があるか」(複数回答可)と問うと、1位「観光」59%、2位「食文化」58%、3位「伝統文化」41%は普通だが、4位では何と「日本人の精神・哲学」が「自然・風土」「現代文化・ポップカルチャー」と並んで同率の33%だった。
海外旅行する場合に日本へ行きたい人が増加した理由は、円安の進行ばかりではなさそうだ。
実際、旅行するとき、日本のどこに魅力を感じるか(複数回答可)という質問には、自然環境67%、清潔さ54%、神社・仏閣など歴史的建造物の街並み51%と続いており、ショッピング42%より多かった。
訪日客の増加の背景に、広い意味での日本文化に対する高い評価があると考えるべきだろう。
いずれにしても、今後、訪日する台湾人はさらに増加すること間違いなしである。
その上、「今後台湾が最も親しくすべき国はどこか」という設問(一つのみ選択)の第1位は日本70%で、アメリカ13%、中国11%、韓国1%を大きく引き離した。
3年前、日本は46%だったから、24%も増えた。
特に、30歳から39歳の78%、40歳から49歳の75%が日本と親しくすべきだと考えているのだから、経済、文化、教育など各分野で日台交流がさらに拡大、深化する可能性が高い。
◆運命共同体の日台関係
「台湾に最も影響を与えている国(一つのみ)」の質問では、3年前と比べると、1位のアメリカは58%から10%減少して48%、2位の日本は13%から17%増加して30%、3位の中国は25%から6%減少して19%だった。
つまり、この間に日本と中国の順位が逆転した。
1人当たり国内総生産(GDP)で、昨年台湾は日本を凌駕《りょうが》したといわれるが、台湾において日本の存在感は非常に高まっているのである。
日本政府は、台湾との関係は「非政府間の実務関係」というばかりだが、「台湾有事は日本の有事、日米安保条約の有事」、つまり運命共同体というべき日台関係である。
民間活力が主導することで、官民力を合わせて、日本は、台湾の人々からの熱い期待に応えるべき時ではないか。
(あさの・かずお)
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