「台湾は中国領」で譲らない東京書籍の回答

「台湾は中国領」で譲らない東京書籍の回答
嘘で塗り固められた教科書会社の驚くべき見解

                           『日台共栄』編集部

?「訂正の意思」に関する福田編集長からの回答

 中学校の教科用図書である帝国書院の『中学校社会科地図』と東京書籍の『新
しい社会科地図』が、誤って台湾を中華人民共和国と扱っている問題で、本編集
部は7月4日付で2社に対して公開質問状を送付し、以下の質問を行った。

一、『新編中学校社会科地図』(『新しい社会科地図』)は、日本人の中学生が
 使用する教科書でありながら、現実も政府見解も無視して、あえて中華人民共
 和国の主張どおり、台湾を中華人民共和国の領土と表記するのは、いったいど
 のような理由からでしょうか。
二、中学校学習指導要領では「地球儀や世界地図を活用し、緯度と経度、大陸と
 海洋の分布、主な国々の名称と位置などを取り上げ、世界の地域構成を大観さ
 せる」ことを求めています。その点で、台湾を中華人民共和国の領土と表記す
 ることは「世界の地域構成を大観」することを妨げることになりますので、明
 らかに学習指導要領に違反しています。来年の供給本ではこれらの誤りを訂正
 する意思はありますか。

 その後、東京書籍からは7月19日付で「『新編新しい社会科地図』ご質問への
返答」と題する回答文書が寄せられた。差出人は「編集局 社会編集部 福田行
高」と編集長名義になっている。この「返答」(「編集上の考え」)は以下のよ
うなものだ。

 今回ご指摘を賜っております『新編新しい社会科地図』は,文部科学省検定済
み教科書としての地図帳でございます。文部科学省の検定基準では,外国の国名
の表記は,原則として『世界の国一覧表』によることと定められております。『
世界の国一覧表』は,外務省監修のもとに発行されております。台湾は独立国家
として扱われておりません。対外関係,すなわち国名を含めた領土・領域の記載
につきましては,こうした書を含めて日本国政府の見解に基づいて取扱っており
ます。

?事実を歪めた東京書籍の「返答」内容

 このように「政府見解を無視している」とする当方の指摘に対し、「政府見解
に基づいている」という返答であるが、これは事実であるとはいえない。なぜな
ら政府には、台湾は中華人民共和国の領土であるとの見解など持っていないから
だ。
 また、ここで触れられている『世界の国一覧表』においても、台湾は中華人民
共和国とははっきり別個の「地域」として扱われているのである。ところが福田
編集長は、そこで台湾が独立国家ではなく「地域」として扱われているため、中
華人民共和国の領土だと極め付けているのだ。
 そこで、本誌編集部は福田編集長に「『世界の国一覧表』に基づいてはいない
」と電話で指摘したところ、「(その指摘は)一つの見解。ちゃんとそれに基づ
いている」として、主張を改めようとはしなかった。
 だが実際には、政府見解も『世界の国一覧表』も、台湾を国とはしていないが
、中華人民共和国の領土であるともしていないのである。よって福田編集長の「
返答」は、事実を歪めたものといわざるを得ない。
 このように、なぜ常識に沿った「返答」をしないのかといえば、それは誤りを
認めたくないため、それができないからなのだろう。東京書籍の姿勢が判明した
だけでも、質問状の送付は無駄ではなかったといえそうだ。

?中国のデッチ上げと一致する東京書籍の「1945年 台湾返還」説

 本誌編集部は東京書籍に対する質問状の中では、次のような指摘も行っていた。

 一六頁の「アジア各国の独立」のなかで、「日本領」であった台湾について「
一九四五 中国へ返還」と記述しています。しかし、これは中華民国や中華人民
共和国による何ら法的根拠のない主張を反映したにすぎず、実際に台湾は、サン
フランシスコ講和条約が発効するまでは法的に日本領でしたので、重大な誤りで
す。

 おそらくこの指摘への回答であろう、「返答」には次のような「編集上の考え」
も書かれていた。

 なお,台湾と日本との第二次世界大戦終了後のかかわりにつきましては,以下
の二点をふまえて記載いたしております。一つは昭和20年8月に受諾したポツダ
ム宣言でございます。ここには「カイロ宣言の条項は履行せらるべく,又日本国
の主権は,本州,北海道,九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべ
し」と記されております。もう一点は,昭和20年10月25日に台北において当時の
台湾総督らが署名しました降伏文書でございます。これ以降,台湾は事実上日本
領でなくなっております。

 昭和20年の段階で台湾が「法的には日本領だった」という指摘に対し、「事実
上は日本領ではなくなっていた」と言っているようだが、おそらくこれを以って
「中国への返還」が行われたと主張したいのだと思われる。
 なぜならば、事実を歪めて「中国への返還」があったと強弁する中華人民共和
国は、常にこのカイロ宣言(あるいはポツダム宣言)と台北における降伏文書へ
の署名をその法的根拠として挙げているからだ。東京書籍の見解が中華人民共和
国とのそれとほとんど一致するのは果たして単なる偶然だろうか。そこで、東京
書籍と中華人民共和国が一致する見解の虚偽を明らかにしよう。

(イ)「返答」にはなぜか触れられていないが、カイロ宣言(あるいはポツダム
 宣言)は日本による台湾の中国への「返還」を謳ったもので、それが日本に対
 して拘束力を持つようになるのは、実際には昭和20年9月2日、米艦ミズリー
 号上で日本が「降伏文書」に署名した時点からである。
  だが、日本が「返還」を誓ったからといって、その即時実施が求められたわ
 けではなく、それが実施されないまま、日本はサンフランシスコ講和条約を締
 結し、台湾を中国に「返還」することなく、それに関する主権を放棄したのだ
 った。この新たな取り極めに抵触する「降伏文書」での規定が、これを以って
 無効になるのは国際法の常識である。

(ロ)次に、台北での「降伏文書」だが、「返還」が実施されなかった事実を覆
 い隠すため、中華人民共和国が常に持ち出してくるのがこれである。しかし、
 これは「返還」の法的根拠などにはなり得ないものである。
  なぜならこの文書は、9月2日、日本が「降伏文書」に署名した直後に出さ
 れた連合国軍最高司令官マッカーサーによる「中国(満州を除く)台湾及び北
 緯十六度以北の仏領インドシナにある日本国の先任指揮官ならびに一切の陸上
 、海上、航空および補助部隊は蒋介石総統に降伏すべし」との一般命令第一号
 の?−A項に基づき、中華民国が任命した陳儀・台湾省行政長官が安藤利吉・
 台湾総督兼第十方面軍司令官に交付したものにすぎないからである。
  だが、陳儀はこのとき、日本の軍隊の降伏を受けるだけにとどまらず、「台
 湾、澎湖列島の領土人民に対する統治権、軍政施設ならびに資産を接収する」
 と、台湾の統治権をも接収するという越権的な行政長官第一号命令を発したの
 である。安藤総督はその命令受領証において「本命令および以後の一切の命令
 、規定、指示に対し、本官および本官が属し、あるいは代表する各機関、部隊
 の全官兵は、それを完全に執行する責任を負う」として署名した。そして陳儀
 はこの式典直後、ラジオ放送を通じて台湾が正式に中華民国の版図に入ったこ
 とを声明したのである。
  この陳儀の声明は、台湾を戦利品にしようという中華民国の計画によるもの
 だったが、これは単なる「返還劇」にすぎない。中華民国が台湾における日本
 の投降代表に指定したに過ぎない安藤総督が中華民国側の「統治権の接収」に
 従うことを約束したからといって、それだけで領土の変更が行われたなど、国
 際法の常識からはとうてい考えられないことだ。この場合の統治権とは単に行
 政権を意味するもので、日本の台湾総督府が中華民国台湾行政長官公署への行
 政権の引き渡しと考えるのが妥当である。

(ハ)結論をいえば、日本はサンフランシスコ講和条約に基づいて台湾を放棄し
 ただけであり、「中国への返還」は行っていない。それは同条約の締結国であ
 るアメリカやイギリスなど連合国の見解であるだけでなく、実は中華民国です
 ら日華平和条約を通じ、その取り極めを承認しているのである。それでも中華
 民国は自らの台湾統治を正当化すべく、そして中華人民共和国は中華民国の承
 継国家として台湾を手中に収めるべく、これまで「1945年の中国への返還」を
 デッチ上げて宣伝してきた、いわば一種のプロパガンダなのである。
  このデッチ上げを検証することなく、史実として教科書に記載しているのが
 東京書籍なのである。これは無知のなせるわざか、あるいは中国への追従のた
 めか。いずれにせよ教科書会社としてはあってはならない重大な誤りである。

?誤りを教えた責任を東京書籍はどうとるのか

 本誌編集部はこの「返答」の文書を受け取った後、福田編集長に電話をかけ、
そこに書かれている内容が、東京書籍という会社全体の見解であることを確認し
ている。
 またその際、台湾を中華人民共和国とする誤りを来年度(平成18年度)版では
改めるよう要請したが、すぐには回答できないといった対応だった。
 そこで、「この誤った記述のため、台湾を中華人民共和国の領土と信じる生徒
がわずかでも出たなら、教科書会社としてどう責任を取るのか」と聞いたところ
、事の重大さを弁えているのか、それに対しては無言だった。
 本誌編集部からは今回の「返書」内容をも踏まえ、東京書籍には再度質問状を
送る予定だ。また、このような内容の地図帳を検定で合格させている文部科学省
の検定姿勢も当然ながら問われるので、文部科学省に対しても同様の質問状を送
るつもりである。
 なお、帝国書院からの回答は、7月28日現在、まだ届いていない。

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