――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習7)

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習7)
【知道中国 2341回】                       二二・三・仲四

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習7)

『大?和小?』『烏茲別克民間故事』『開花的時間』『小鶴飛到?児去了』の内容から判断する限り、依然としてソ連追従式教育を行っていたとも思える。だが、このような教育が無条件・自動的に受け入れられ全国に普及したわけでもなさそうだ。やはり異を唱える動きが見られた。その一例が54年に出版された『小學算術教學講話』(兪子夷 浙江人民出版社)である。

52年秋、小学校1年生から新しい算数の教科書が採用されたが、やはりソ連の教科書を機械的に翻訳した内容であり、教科内容や進度がそれまでのものと大違い。加えて中国の実情に合わないことから、多くの教師が面食らい使いこなせない。難解で詰め込み過ぎといった欠点が目立ち、生徒の学力増進の役には立たない――こんな不満が教育現場から上がるようになる。

当時、小学校での算数の教え方について多くの指導書・解説書が出版されていたが、その多くは、これまたソ連で出版されたものの翻訳であり、中国社会の仕組みを反映してはいなかった。

訳文が生硬で、中国の教師がいつも教室で使っている言葉とは違っている。そればかりか、内容も中国の子供たちの日常生活における関心とはかけ離れすぎていた。だから当然のように教育効果が上がらない。

こういった現実に直面し、同年11月、杭州の小学校教師は新しい考えに基づいた新しい教科書の必要を痛感し、53年の冬休みを利用して小学校教員有志が集まり、中国の実情を反映した新しい教科書作りに着手する。

その後、教育現場での実験教育などの試行錯誤の末に本書が出版された。著者は「わが国の実情に基づいて本書を書きあげた。訳本の不都合さはありえない」と自信を示す。

さて「わが国の実情に基づ」く算数教育だが、応用問題の3、4例を挙げておくと、

■お父さんは27日間働きます。お母さんの労働日数はお父さんより9日少ないです。では、お母さんは何日間働くでしょうか。

■お母さんは18日間働きます。兄さんはお母さんより12日間多く働きます。では、お兄さんは何日間働くでしょうか。

■お父さんは27日間働き、お母さんはお父さんより9日間少なく、お兄さんはお母さんより12日間多く働きます。では、お兄さんの労働日は何日間でしょうか。

■以上を理解させたうえで、「お母さんとお兄さんはそれぞれ何日間働くでしょう」。「3人合わせて何日間働きますか」、「3人は平均して何日間働きますか」と設問を変える。

――著者は、�初歩から出発し「一歩から二歩、二歩から三歩・・・四歩、五歩」と段階的に確実に理解させることができる。�事物の発展と変化に従って、簡単から複雑へと進むことが出来る。�2つから3つ、3つから4つと関係を発展させることで、複雑な関係を明確に把握させうる――と、彼ら教師仲間が考えた方法の長所を示し、返す刀でソ連式詰め込み教育を「明確な基本概念を欠いた底なしの浪費だった」とバッサリと斬り捨てた。

そして社会生活に即した実学重視の教育方法に自信を示し、「(本書で示した)基本概念と基本的計算方法の基礎を確実に身につけたなら、小学校を卒業して就職しようが、短時間の学習で仕事や生産現場で必要な全ての計算方法をマスターできる」と、自らの考え出した教育内容に汎用度に自信を示す。

その後、著者の教育方法がどの程度普及したのか。どんな成果を挙げたのか。それを知りたいところだが、目下の所は不明である。

早くも52年段階で、小学校算数という極めて限られた範囲ではあるがソ連式教育に異を唱える動きが見られた。ならば「中ソ一枚岩」は、どうやらマユツバだったらしい。《QED》